散日拾遺

日々の雑感、読書記録、自由連想その他いろいろ。
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ある異変 / ブッデンブローク

2016-05-21 08:42:03 | 日記

2016年5月20日(金)

「先生、どうしたんですか、それ?」と受付さん。

「いやちょっと、奥さんに殴られて・・・」

「またぁ」とハナから信じない。

「実は愛人に引っかかれて・・・」

 今度は返事もしないで仕事に戻ってしまった。ということは、事実それらが起きたときには本当のことを言えばいいのね、誰も信じないわけだから。

 右頬だから患者さんには見えない側で、気がつかれずに済むだろうというのは甘かった。自分で思っているよりも正対しているらしい。午前中8人の来院者のうち、たぶん隠しおおせたのが2人、「どうしたんですか?」とまともに訊かれたのが2人、明らかに気づいたが息をのんで言葉を控えたのが1人(たぶん来週訊かれる)、気づいたはずだがコメントなしが3人。特に不快や動揺は与えなかったようで安心する。性別や診断に関して明白な反応の違いがあるが、実は僕にとっては新しい発見ではなく、学生実習のある場面が今でも強く印象に残っている。

 常に顔の片側 ~ 確か右 ~ だけを肖像に描かせ写真に撮らせた小泉八雲ことラフカディオ・ハーンのことなど思い出したが、健康とはありがたいもので半日単位でみるみる引いていく。羽田発ANA529便では気もちよく居眠りし、起きた後で『ブッデンブローク』の中巻を読み終えた。下巻をもってくるのだった。

 続きは後で。