2015年12月31日(水)
「さくらのこえ」から、堀江君へのメールに記した4編を紹介する。これらを含む6編が、同じ2014年8月14日に作られている。何と創造的な一日だったことだろう!
「まんてんのほし」
まんてんのほし
ひとつぐらいいなくなっても きがつかれない
いちばんちいさいのをひとつ ぽけっとにぬすむ
ぜったいにばれていないはずなのに
すぎたときには おおさわぎになっていた
どうしてばれたのかとおもっていたら
ぽけっとのなかのほしが いなくなっていた
じぶんでそらにかえって みなにほうこくしたのだ
まんてんのほし どれひとつとっても
じぶんのものにはならない
(2014年8月14日)
「きみにきかせるために」
きみにきかせるためにうたをつくった
どんなフレーズにしようか
とことんなやんでつくった
きみに もしきかせることができたなら
このうたは もうぼくのものではない
きみにきかせて
きみの心にひびいて きみのうたになる
そんなきみへのうたを
いつかきっときかせてあげたい
(2014年8月14日)
「せみのなくころ」
せみのなくころ にほんはまけた
ながくつづいたせんそうも
きっとかつとしんじて たたかってきたのに
せみたちはいまもむかしも なにひとつかわらずにないている
そのこえは
まるでせんそうなんて はじめからなかったかのようだ
せみのなくころ せんそうはおわる
そしてせみのなくころ
にほんじんの心は いつもないている
(終戦記念日をまえにして 2014年8月14日)
「とおいむかしに であった人と」
いまはなつ
むかしをおもいだしていた
せみのなきごえとともに よみがえるきおく
あせをかき 水をもとめた しろシャツのひと
とおいきおくで いまにもぼやけてしまいそうなそのかおを
そっとおもいだす
そう、あれはなつのひ
あのひがさいごとなった
わたしとほんとうの ちちとのであい
(2014年8月14日)