ヒジュラ暦1427年ラビーウ・ル・アウワル(3月)12日 ヤウム・ル・イスナイニ(月曜日) |
第3回アラビア語オリンピックの書道の部への出場を目指す決意を昨日の記事に書いたけど、考えてみるとアラビア書道ってあまり知られていないことに気付いた。
経験が浅いのに偉そうだけど、ちょっとだけ説明しておこうと思う。
世界で、書道が発達したのは日本と中国とアラビアだけだと言われている(ラテン文字のカリグラフィは、書道とは違った独立のジャンルらしい)。
アラビア書道のことをアラビア語では
الخط العربي (アル・ハットゥ・ル・アラビー)
という。または、単純に「ハットゥ」ということもある。
筆記用具としては、
قلم (カラム)
を使うが、これは「ペン」「筆」などと訳される。アラビア書道をやっている人は「筆」と呼び習わすのが一般化している。
ただし、日本の書道の筆とは先端の形状がまったく異なる。毛のようなものは一切使用しない。
素材は葦や竹で、一般的には、左の図のように先端を加工する。
先端に一本溝を入れ、墨やインクがここに染みこむようにする。そして、斜めにカットする。
("Arabic Calligraphy Naskh script for beginners" by Mustafa Ja'far THE BRITISH MUSEUM)(『アラビア書道 初心者のためのナスヒー書体』 ムスタファ・ジャアファル著、大英博物館発行)7ぺージより引用。
ただし、カラム(筆)をいかに工夫して作るかが、ハッタート(書道家)にとっては重要な研究事項であり、オリジナルの筆の作り方を秘密にする書道家も多い。
私は自分で工夫してカラムを作れるほどのレベルではないので(チャレンジしたことはあったけど)、先生に作って頂いた筆を何本も買い、先端を小刀で削って太さを調整したりしながら使用している。
私はまだ初級レベルだが、中級レベル以上の方は、より多くの筆を持ち、自分なりにアレンジしている。
ニードル(針)と、紙ヤスリはカラムの手入れ用である。結構墨がつまるため、手入れを怠ると、あっという間に使えなくなる。
ورق (ワラカ)「紙」
は、ふだん練習するときには、A3のアート紙を使っている。表面がつるつるした紙でないとカラムがうまく滑ってくれない。
それに日本の書道と違って「滲み」は良くないとされるので、つるつるの紙の方が適している。
昔はアート紙など無かったので、紙の表面に卵白を塗り、瑪瑙(めのう)で磨いてつるつるにして書いたようである。
墨は普通の墨汁を使っているが、人によってはポスターカラーのようなものを使ったりもする。
青いポスターカラーを使うと、カラムの軌跡がはっきりと残り、どこに問題があるかがわかるので、そうやって自己チェックしながら練習に励む人もいる。
そうやって、ありとあらゆる工夫をしながら練習をしている人を見ると、「頑張らなきゃ!」と思うのだが、実際は全然頑張っていないのが現状である。