ヒジュラ暦1426年シャッワル(10月)5日 ヤウム・ル・スラーサーィ(火曜日) |
実に久しぶりの「中東ヘロヘロ紀行」。旅行から3ヶ月が経ち、記憶も薄れつつある。
何事も中途半端に終わりがちなので、なんとしても「中東ヘロヘロ紀行」くらいは、今年中に終わらせたい。
さて、前々から行きたかった、シリアのパルミラ遺跡を訪ねている。今回はベル神殿。
1~3世紀くらいに作られた石造の神殿。ベルとは、バビロニアあたりに起源を持つバール神のこと。他の地域の出土品などでは、牛みたいな角を持つ土着の神として表されたりしている。豊穣の神である。
このベル神と、太陽神ヤヒボール、月神アグリボールに捧げられたのが、ベル神殿の本殿。
その後、キリスト教会となって壁画が描かれ、さらにモスクとなって壁画が消されてミフラーブが作られたが、だんだんと文明の中心からは見向きもされなくなり、長い間、現地の人々が勝手に神殿の敷地内に家などを作り普通に暮らしていた。
そして、20世紀になって、調査隊に勝手に「再発見」されてしまい、この神殿を出て、新しくできた町に移住させられた。
パルミラのライバルでもあったペトラもそうだが、数百年という単位で、普通の人々が遺跡に住んでいたというのがスゴイと思う。
本殿内部では、シリアの若者集団がフランクに「日本からのみなさん、一緒に写真に写りませんか?」と誘ってくれたが、添乗員さんの「たぶん、みなさん、ダメだと思います」という一声で企画倒れになった。
いえ、あの、誰も「ダメ」って思っていないと思うんですけど…。いい記念になるし。
それまで盛り上がっていた、シリアの若者集団が急に意気消沈してしまったのが、気の毒であった。
ごめんね、シリアのみなさん。悪気はなかったんだよ。
太陽神の祭壇からモスクへ転用された。 | ミフラーブの跡がある。 |
この石柱の下に仰向けにもぐりこむと… | このような美しいレリーフが見られる。 |