モキュメンタリー?POV方式?
そうした「スタイル」がやりたかったわけではない映画だと思います。
むしろ、やりたいことをやるために選択した一手段といった趣です。
そうした無駄な拘りのなさが、ちょうど好いのです。
でも、やるからには最低限の誠実さでもって採用してます。
ただ、レンズ割れたり、暗視モードに切り替わったり、カメラマン交代したり・・・
といったお約束がややノイズになっちゃってる気がしなくもないけれど、
小休止というか気分転換にはなってるかもしれません。そのあたり、結構律儀です。
とはいえ、もうちょっと手際よくまとめて90分程度に仕上がってれば、
文句なしの全力疾走で完走できた気がしなくもないですし、
アメリカだったら絶対そうしただろうけど、そこは北欧・ノルウェー。
心拍数を上げるだけが能じゃないとでも言いたげに、
荒涼光景にお似合いの倦怠感をひきずりながら、
いつの間にか「お目当て」の場面が始まっていたりする。
ハリウッドや大作映画にお決まりの「来るぞ来るぞ」でも「来たぁ~」でもなく、
「あ、来てる!」というユル~い盛り上がり方は、
寒くて肌の感覚なくなりそうな感じ!
向こうじゃ普通な設定かもしれない、アンチクライストなトロール君。
神の力を借りて怪物退治!みたいなパターンが多い舶来品のなか、
「神様お願い!」が命取り、クリスチャンだけが死ぬシュール。
ムスリムはたぶん大丈夫・・・って、いーかげんなノリも好い加減。
大体、国家機密級の極秘任務を黙々遂行してきたトロールハンターのおっちゃんが、
「深夜手当もでねぇ~し、やってられっか」なノリで、
「いいよ、いいよ、全部見せちゃる」なテキトーさ。
全然クールじゃないけど、ほのぼの(笑)
お役人たちの情報漏洩危機管理も投げやりで、
余計なとこに「緊迫感」を浪費しない。あくまで主役はトロール&ハンター。
トロールのCGが予想外に上出来で、全然素直に盛り上がれます。
おそらく、夜のシーンや曇天や荒野だったりする背景との好相性もあるのでしょう。
橋上で完全防備(学芸会の衣裳風だけど)のハンターを攻撃するときは、
一瞬パペット感が漂ったりもするものの、むしろそれこそ愛らしい。
ってか、「あいつ(トロール)ら、マジ知能低いんだわ」って解説が、
観る者の緊迫感を見事に削ぎ落としてくれちゃうわけだけど、
怪物とのファニーゲームを安心して楽しむ秘訣かな。
トロール登場場面はどれも(それぞれ趣向凝らしてて)バツグンな楽しさで、
途中というか道中がいまいち退屈なのは否めぬものの、
息切れ防止の緩急ってことでしょう。
ラストの後日談(というほどでもないが)のユルさも大好きです。
首相の横の彼、最優秀助演男優賞。
そうそう、エンドロールも最後まで観ると好いですよ。
この手の作品について語るの得意ではないので、巧く伝えられませんが、
テンション低めの期待で、まったり北欧気分なメンタルで(どんな気分だよ)、
ふらっと観に行くと最高に楽しめそうなB印良品です。
ただ、最後に注意事項。
字幕がすさまじく下の位置に出ます!
余白一切無しレベルのまさに下の縁に・・・
日劇で観る場合は特に、座席選びを慎重に。
といっても、前列に(一席もズレずに)客がいるとかなりやばそう・・・
俺が観たときは、前列には人いなかったのに、その前の親父が終始もそもそ動いてて、
しかも時折「背筋ピン!」をかまして超迷惑(まぁ、あくまで私にとってですが)。
字幕があまりにも下だから、そのオッサンともれなくセットで視界にIN!なわけで・・・
ここでも散々愚痴ったけど、最近のデジタル上映の字幕は本当酷すぎ。
ってか、あんなのどう考えたってケアレス・ミス級な職務怠慢じゃね?
字幕位置って、データで設定されてるの?それとも映写?
いずれにしても、真面目に仕事してくれよ。
あと、手ブレは基本終始続きますので、
それ系が苦手な人もご注意を。(前方だとキツイんだっけ?)