初心者鉄日記

2017年2月、鉄に目覚めました

鉄道初心者が乗り鉄・撮り鉄と色々やってます

芦ノ湖に到着

2005年05月15日 | Weblog
 またまた前回からの続き。
 
 一路箱根湯本へと向かう。
 この辺りはアニメの打ち上げ旅行でよく来た土地で何度か宿泊している。最後に泊まったのは『ターンエーガンダム』の打ち上げ旅行の時だったかな。
 で、箱根の旧道なのだが、入口を捜してあちこち歩き回る。迷いに迷い箱根新道に入ってしまい、料金所の係員に、「ここは人は歩けないから」などとあきれられてしまう。
 出口を探していたら別の係員に、「そこから出れるから」と言われ、その方に向かうと金網のフェンスに枠を作ったドアがあり、錆びた階段が下の方へ続いている。降りるとこれまた金網に囲まれた行き止まり。どうせえっちゅうんじゃい! と、辺りを見たら工事現場で使っているような分割フェンスがあったのでそこをこじ開けて脱出した。なんかスリリングだなあ。この先大丈夫なんだろうか?
 住宅地の中で車が一台もない駐車場をみつけたのでシートを広げて小休止。
 地図を確認すると、分岐点のかなり手前だったみたいだ。なんてこったい。

 やっとの思いで旧道へ出る。
 いいな、ここは。
 車の通りも人も少ないし、にぎやかじゃないのがいい。旧道だけあってあまり使われていないようだ。山中なので緑が濃い。空気も心なしかさわやかになってきた気がする。
 奥湯本を抜けると本格的な山道になってきた。登りは結構きつい。平地の三倍ぐらいきつい。それでも前へ、いや、上に向かって進む。小刻みに小休止をとる。うまく登りきって体力に余裕があったら三島を目指してみようかな。
 ぱらぱらと雨が降ってきたが濡れるほどではない。雨具を着るのは降りが本格的になってからにしよう。
 小休止をとりタバコを一服して進もうとすると、七八人のグループがやってきた。みな軽装で雨具の準備もしていないみたいだ。
 最後尾のお姉ちゃんに声をかけられた。
「旧道ってここを進めば出られますか?」
「?」
 あのー、ここが旧道なんですけど。地図は持ってないんですか? その様子だと持ってないですよね? 大丈夫かこの人たち?
 旧道がここであることと元箱根まで7㎞くらいあるむねを伝えて俺は先へと進んだ。

 雨は降ったりやんだりとせわしない。雨具を着ると暑く脱ぐと寒くて忙しい。
 降る時は豪雨。やむときはぱたりとやむ。山の天気は変わりやすいと聞いていたがこれほどとはね。こりゃあ富士山を拝むのは無理だなあ。日本男児として日本の象徴を拝見できないのはちと残念である。
 気温も少し下がってきたようだ。やばいので雨具を着っぱなしにすることにする。それでも時には日が差したりするのだが、いわゆる天気雨というやつで、強い降りなのに強い日光に照らされたりもする。不思議な気分だ。
 豪雨を避けて大きな枝振りの木の下へと避難する。おなじみの携帯座椅子『ザ・チェア』に腰かけ、タバコに火をつけ辺りの風景を堪能した。灰と吸い殻携は帯灰皿へ。ゴミを山から持ち帰るのはアウトドアマンの鉄則なのじゃ。
 雨の旧街道はなかなか渋い。辺りの木々もしっとり濡れ、緑が色濃くなっている。聞こえるのは雨が梢や葉をたたく音と時折過ぎてゆく車があげる水しぶきの音くらいだ。ああ、近くで鳥が鳴いている。こういう時バードウォッチングの趣味でもあれば鳥の名前が分かっていいのになあ。
 雨脚が強いのでしばらく停滞する。ここには自分一人きり。いっぱしのアウトドアマンを気取って孤独を味わいながらタバコをもう一本。そういえばさっきのグループが来ないな。きっと引き返したのだろう。この雨だもの。

 枝からしたたり落ちてきた水滴にタバコの火を消されてしまったのでそろそろ前進することにする。
 雨はどんどん激しくなってくる。やばいな、これは。早く登らないと。
 気は焦るがペースはあがらない。脚が前に進まない。ホントにやばいぞ。そりゃそうだ。50㎞近く徹夜で歩いて山に登っているんだもの、体力は限界に近いはずだ。でも疲労感は全然無い。神経がまいっているのか? 三島どころじゃねえぞ、こりゃあ。
 と、びびっていたら、そば屋『石だたみ』を発見。助かった!
 転げるように店に飛び込みかけそばを注文する。六百円。
 腹が減っているせいなのか、うまい! 汁も残さず総てたいらげる。身体が温まる! 生き返ったー!
 一服して窓外を見ると、さっきより雨脚が強くなっていた。
 冷静に今後を判断する。天候と体力を考えて三島行きは断念し、ゴール地点を元箱根とする。さらには念には念を入れレスキュー隊に連絡を取ることにした。
 レスキュー隊はJCスタッフ制作の今井君。ともに『光と水のダフネ』で苦労した戦友だ。彼と金曜日にあった時に長い散歩の話をしたところ、「今度行く時には電話をくださいよ。しばらく自分の車を運転していないんで、ドライブついでに迎えに行きますから」と言ってくれたのだ。それじゃあ、土曜に行くから日曜に迎えに来てくれ、高速代と飯代を出すからと頼み、交渉が成立していたのだ。
 ただいまは午前11時半過ぎ。先日は迎えに来てもらうのはたぶん午後の4時頃になるだろうと言っておいたので、ちょっと早いかなと思ったが、緊急事態なので電話を入れてみる。
 出ねえ! 十回コールしても出ねえ!! まだ寝ているのか?
 しょうがないのでメールでピックアップ要請を送っておく。
 12時頃から客が次々と来店。席がどんどん埋まってゆく。このそば屋は旧道の中ほどあたりにあり、なんだか心細くなってきたなあと思ったらそこにあるという絶妙なポジションに店を構えているのだ。
 ええい、もう一度今井君に連絡だ。
 今度はつながらねえ! どうなってんだ?! この天候のせいなのか?
 食べ終わっているのにもかかわらずいつまでも席にいるわけにもいないのでジュースを注文した。で、再びメールを送信。

 件名──SOS
 内容──SOS SOS

 頼むぞ今井。気づいてくれ!

 雨はさっきより激しくなっている。
 不安そうに窓外を見ていると店主のおっちゃんが、「やまないねえ。でもじきにあがると思うからそれまでゆっくりしていきな」と言ってくれた。
 ありがとうございます。ホントすいません。
 今井からの連絡はまだこねえー!
 ベトコンに占領されたサイゴンのアメリカ大使館の米兵みたいな気分で連絡を待つ。
 しびれをきらせてこちらから再び電話することにする。今度は出るまでコールし続けるつもりだ。頼むぜ戦友。
 出た! 5回目で出た! 出てくれた。
 電話口からは「もしもし」と鈍い声。やっぱり寝てたのかよ。
 とりあえず起こしてしまったことをわび、手短に状況を説明し、ピックアップ地点を確認して電話を切った。
 助かった! 救援ヘリが、じゃなくて車が来る。
 雨も心なしか弱まったようだ。
 店主に礼を言い、雨具を着込んで出発。ピックアップ予定地点の元箱根を目指す。

 全然弱まってねえ! すごい雨になってきた。代わりに弱まったのは俺の脚だ。風まで出てきた。あたりの木々の梢が激しく揺れている。これ嵐じゃん。
 それなのに全然スピードが上がらない。
 それでも前に進むしかない。後なってみればヒッチハイクをするなり、戻ってそば屋からタクシーでも呼べよと思うのだが、この時の俺は重い足を引きずって前へ進むことしか考えていなかった。疲労で頭がイカれていたのか?
 そば屋を出てすぐにつづらおりの道になった。けど歩道はそれをショートカットするように急な階段になっていた。この状況でこれは辛い。四五歩登っては一休み。時には一段に二歩使って登ってゆく。残りは4㎞を切っているはず。平地だったら普段は40分もあれば行ける距離だが、今の俺には果てしなく遠くに感じる。
 つづらおりを過ぎると緩やかなカーブを描きながらどこまでも続く上り坂。
 途中に小さな資料館があったので雨を避けるために中に入る。休憩室のベンチに腰かけ一服。呼吸が荒い。
 さあ、これからどうする? と、地図で現在地を確認してみると残りは2㎞ぐらいだ。ふだんならへでもない距離だが……。

 で、進むことにする。だって男の子だもん。一度決めたことはやり通さなければね。他人に言われてやっていることではなくて自分で決めたことだから。
 でも激しく後悔する。風がどんどん強くなり肌をさらしている部分(手と顔)が冷たくなってきた。
 やばい。やばいよ。このままじゃ疲労凍死しちゃいますよ。こんな時はどんなに疲れていても立ち止まったらアウトだ。でもピッチがあがらない。今や歩幅は靴一足分にも満たないくらいだ。
 このあたりも後で考えれば、テントを持ってきているんだから適当なところに設営して中に入って風をしのげばいいじゃないかと思うのだが、やはり疲労と睡眠不足でイカれていたんだろうなあ。ホント山をなめてますよねこいつ。

 風が強いので顔を上げることが出来ない。あごを引きうつむきながら歩道だけを見てよたよたと歩を進める。と、ふいに脚が楽になった。前を見ると道が平坦になっている。もうすぐ元箱根だ。助かった。

 結局そば屋からわずか4キロ弱の道のりを2時間半近くかけて、芦ノ湖畔の定食屋によろよろと転がり込む。
 メニューを持ってきた店主が言うには、「下からきたのかい? それにしても今日は寒いねえ。まるで冬に戻ったみたいだ。ああ、カッパはストーブで乾かしなよ」、ってストーブですよ。5月の半ばにですよ。まるで故郷の北海道みたいだ。ホントにやばかったんだな。
 とろろそば900円を注文し、今井君に電話する。今旧道を車でとばしているとのこと。かなり近くまで来ているらしい。
 とろろそばをたいらげたところで今井君が到着。どんぴしゃりのタイミングだ。ご苦労様。そして本当にありがとう。君が男じゃなかったらキスしたいくらいだ。

 帰りの車中で天候について今井君聞くと、東京は好天だったとのこと。こっちは荒天なのになあ。確かに少し降りたらもうピーカンだ。箱根をふり返ると山は怪しい雲に隠れて姿が見えない。なんてこったい。熱海に向かえば楽を出来たんだなあ。なんか悔しい。

 本日の歩行距離24時間で約64㎞。一睡もしませんでした。こんな無茶は二度としません。

箱根に向かって歩いています。

2005年05月15日 | Weblog
 また前回からの続き。

●5月15日(日曜日)
 朝日を浴びて酒匂川を越える。上流に東海道本線の鉄橋が見えた。
 おお、あれは黒澤明監督の名作『天国と地獄』で身代金の受け渡しに使われた場所だ。だが映画で見た面影はかけらも残っていない。あれは昭和三十年代後半の映画だもんな。
 5時頃には小田原城に到着。ここまでの歩行距離約49㎞。
 城内に公園があったので、いつものようにベンチで横になる。
 ウォーキングハイのせいか全然眠れない。空を見上げ流れる雲を眺めていると、クルッ、クルッと鳩のさえずりがした。見ると近くの電線にすげえ数の鳩がとまっている。どのくらいすげえかというと日本野鳥の会の会員さんでなければ数えられないくらいだ。なんか不気味だ。
 ヒッチコックの名作『鳥』を思い出したので、怖くなって退散しようと決意。ザックに荷物を詰めてベンチから立ちあがったら、ぶわーっという羽音を轟かせて鷲ならぬ鳩が舞い降りて来た!
 来た! 来た! 来たーっ!
 鳩が俺を取り囲む! うわっ、怖い!
 360度全部鳩! 完全包囲ですよ。ジョン・ウェインの『アラモ』状態だよ。
 一瞬パニくったが鳩は物欲しそうな目で俺を見ているだけだ。
 そうか、エサかよ! 俺がエサをくれると思ってるんだな?
 驚かすんじゃないよ! 俺は早朝の散歩好きの近所のおっちゃんじゃないんだよ! つうかお前がエサをやるから鳩が図に乗るんだよ、きんじょのおっちゃんよお! 誰か知らないけど。
 俺は逃げるように公園を出たのだった。
 あーびっくりした。
 
 公園を出たのはいいけれど、さてどうしようと考える。
 野宿する気分はさっきの事件で吹っ飛んでしまった。海岸線を進むのにも飽きがきていたので熱海方面はやめにして、箱根を目指すことにした。UPLIFTさんごめんね。ラーメン食えなかったよ。
 地図を見ると1号線を進めば約15㎞ほどで芦ノ湖だが、旧道の方が距離は短い。
 で、旧道目指して進むことにする。
 天候は薄曇り。時々日が差し込むくらいで散歩には絶好だ。
 坂道は辛いかもしれないが、富士山を拝めるかもしれない。


西へ!

2005年05月14日 | Weblog
ただいま大磯を通過。
1号線を小田原まで行ってみようと思ってます。


 前回からの続き

 湘南海岸公園に入ったあたりで日が落ちた。
 街灯のない浜沿いの道は怖いので、ここからはひたすら国道沿いの道を西進する。この道は防風林というか防砂林があるので全然海が見えない。ちょっと残念だがそこそこ明るい道なのでよしとする。
 調子がいいのでどんどん行く。足が軽い。疲労感も薄い。これがウォーキングハイなのか? 気持ちいいぞ!
 途中ぱらぱらと雨が降ってきたが雨具を着るほどでもないのでそのまま行く。
 小休止はとらず、2時間ごとにファミレスで大休止をとる。
 それ以外はひたすら進む。
 茅ヶ崎から平塚を過ぎ大磯へ。
 二宮あたりで後ろから来たバンの助手席から、「ファイト!」と声をかけられる。
 ありがとう。
 小田原の手前のファミレスで地図を見ながら野宿場所と進路を検討。携帯電話でメールを見るとUPLIFTさんから小田原市内のラーメン屋の情報が入っていた。ありがとう。
 とりあえず小田原に入ってから考えようと出発。
 すっかり夜が明けた道を進んだのであった。



散歩にGO!

2005年05月14日 | Weblog
今日は暑すぎず寒すぎずいい感じの天気。
長い散歩に行っちゃおう。

●5月14日(土曜日)晴れ
 というわけで今日は早めに鎌倉に行き市内観光でも楽しもうと思い、目覚まし時計を六時半にセットしておいたのだが、ベルが鳴る前に自然に目が覚めた。
 これほど爽快な目覚めは珍しい。
 興奮してんのかな俺? まるで遠足に行く前の小学生みたいだ。
 時計を見ると十一時過ぎ。これがアニメだったらピアノの鍵盤を十本の指で一度に叩いた不協和音のSEが入るシチュエーションだ。
 やっちゃったよ。ベルの停止ボタンは自分でしっかり止めているし……。いつ鳴ったんだろう? て、六時半だよなあ。
 人との待ち合わせじゃなくて良かった。これが仕事ならエライことだ。彼女だったらもっとエライことだ。いないけど。
 気をとり直して外を見るためカーテンを開けると、なかなかいい感じの天気だった。
 わたわたとザックに荷物を詰めて鎌倉へGO!

 鎌倉に到着したのが午後三時くらい。
 予定よりかなり遅いスタートなので観光はほどほどにしておこう。銭を洗いに行くか? はたまた大仏様の御尊顔を拝しに行くか?
 で、大仏様に決定。大きいことはいいことなのだ。
 鎌倉駅前の通りを案内図を頼りに西進。
 小さなトンネルを二つ通過して左折すると住宅地の中を抜ける道になっていた。ホントに普通の住宅地だ。
 この辺は車の往来もなくとても静かだ。観光客はほとんどいない。というか私だけだ。まるで別世界になったような錯覚さえ覚える。
 鎌倉は大小の山に囲まれているので緑が豊かで目に優しい。あたりの住宅もその風景にとけ込むようなたたずまいだ。
 視界の端で何かが動いたので目をやると、庭木の枝にリスがいた。
 リスは枝から枝を渡り、塀の上を横切り家の向こうへ姿を消した。
 渋い。渋いぜ鎌倉。
 私は一発で鎌倉が好きになってしまった。

 いい気分になりながら貸し切り状態の小道を散策する。
 案内板に従い右折すると表通りに出た。
 すると人、人、人。でごった返している。歩道は観光客であふれかえっている。先を急ごうにも全然前へ進めない。車の往来も激しい。
 なんじゃこりゃ。さっきの気分は台無しじゃ。なんだよ鎌倉。
 大仏様の近くの店では模造刀や手裏剣なんぞが売っていた。外国人観光客用なのだろうか? 日本文化を誤解されなければいいが。
 当然ながら大仏様の前は大混雑。入り口前で写真を撮って早々に退散する。
 帰り道は混雑を避けて裏通りへと避難。再び住宅地の渋い道を進む。
 緩やかな下りを歩いていると前から人力車が来た。狭い道なので私は立ち止まって塀すれすれに身を寄せた。その横を人力車が駆け抜ける。すれ違いざまに車夫の兄ちゃんが、「ありがとうございます」と実にさわやかに挨拶してくれた。いいじゃないか鎌倉。がんばれよ兄ちゃん。
 とてもいい気分になって由比ヶ浜へ出る。

 まだ食事をしていないのに気づいたのでコンビニでパンと牛乳を買い、由比ヶ浜へ。
 晴れ渡った青い空。海からの風が心地よい。水平線にいくつものヨットが浮かんでいる。
 なんか幸せ。いいのう。
 浜沿いをぶらぶら歩きながらパンを食べる。食べ終わったらウンコがしたくなってきた。わしゃ子供か。
 それほど切実でもないのでそのまま江ノ島へと向かう。

 海からの風を受けながら稲村ヶ崎を越えてどんどん進む。同時に便意もずんずんと加速してきた。でもまだ耐えられる範囲内だ。
 気を紛らわせるためサザンの歌など口ずさみながら七里ヶ浜へ。ファミレスがあったら食事がてら入ることにする。けど、ない。腸内の固形物はすぐ横を走る江ノ電のようにゆるゆると終点に向かっている。
 江ノ島でファミレス発見。ダッシュで駆け込む。
 ふう、助かった。
 今なら分かるね。某声優(名は武士の情けで伏せます)さんがインターネットラジオで言っていた、「人間の持つ四大欲求の中で排泄欲を満たすのが一番気持ちがいい」というのが。ホントにそうだよなあ。ここまで書いてふと思ったのは、人間の持つ欲求って「食欲」「性欲」「睡眠欲」の三つじゃなかったっけ。ま、いっか。
 ともあれファミレスはいいなあ。四大欲求のうち二つを満たせるんだものなあ。すげえやファミレス。

 一息ついたところで日が落ちてきたことに気づく。江ノ島に上陸するか、このまま西を目指すか一考。結局、ここまで来て素通りはないだろう、ということで江ノ島へ行くことにする。
 行くと、江ノ島の「ノ」の部分に当たる砂州が島とつながっていた。これなら歩いて島に行けるじゃないですか。で、行くことにする。
 砂地は歩きにくい。歩道の三倍くらい力がいる感じだ。それでも大した距離ではないのですぐに島に着いた。
 帰りは歩行者専用の橋を使って対岸へ戻る。
 後は西を目指すのみ。
 go West!

軽登山靴

2005年05月13日 | Weblog
●5月13日(金曜日)曇り
 軽登山靴を履いて散歩してみる。
 この軽登山靴(トレッキングシューズ)は zamberlan(ザンバラン)650 CERVINO GT というイタリアのメーカーのもので、二月の終わりに購入したもの。
 買った翌日に履き慣らしのつもりで歩いてみたら、約7㎞で足の筋を痛めてリタイアしたいわくつきのもの。
 リベンジの意味を込めて2度目のチャレンジを試みる。
 西に向かって歩き始める。
 最初は重いと感じたが、なれるにつれてしだいに快調になる。7㎞を過ぎても何ともない。
 小金井公園を抜け、立川を過ぎ、調子よく日野まで行ってしまう。意外と近いんだな。
 歩行距離約18㎞。足が歩きになれてきたのかしら?
 散歩中に水上氏から電話があった。来週飲みましょうとのこと。今から待ち遠しい。おごってください。

 次の仕事も決まらないし、明日が雨じゃなかったら長い散歩の続きにでも行ってみようかな。

中国の歴史

2005年05月13日 | Weblog
●5月11日(水曜日)晴れ
 荷物を取りに会社まで歩く。
 歩行距離約8㎞。
 日がな一日Blog立ち上げのために文章を書く。こんなに長い文章を書くのも久しぶりだ。日が変わるまで作業を続ける。
●5月12日(木曜日)曇り→雨
 そういえばここのところしばらく手持ち以外の本を読んでいないことに気づく。
 古本屋まで歩く。
 歩行距離往復約7㎞。
 中国の歴史05 中華の崩壊と拡大 魏晋南北朝(講談社)読了。これは三国志以後隋以前の歴史。動乱の時代はおもしろい。複雑すぎて国名と人名が覚えられない。だって五胡十六国に南北朝だぜ。

三崎口→鎌倉

2005年05月12日 | Weblog
●5月7日(土曜日)
 休足日。
 夜になって映画の話でもしようと友人のK氏宅へ。
 このK氏、最近は『スウィングガールズ』にはまってしまい、4月2日にDVDを購入して以来毎日鑑賞しているとのこと。だからほかの映画の話をしていてもかならず『スウィングガールズ』の話題に戻っていってしまうのだ。こうなると麻薬だね。
 確かにいい映画だし俺もおもしろいと思ってるし好きだよ。上野樹里も可愛いしさあ。DVDだって買ったし、ナット・キング・コールの「L-O-V-E」だって買っちゃいましたよ。
 でもなあ。
 お願いだから早く現実に戻って来いよ。頼むからほかの映画の話もしようよ。なあ。

●5月8日(日曜日)薄曇り
 足の痛みがややおさまったので長い散歩を再開。
 起きたのが遅いのと準備に手間取り出発が遅れたので、今回のスタート地点である三浦海岸駅へ到着したのは午後4時くらいになってしまった。
 荷物を減らしザックを軽いものに変え、靴もスポーツサンダルにしたので歩行は軽快だ。
 本日は三浦半島西端部先の制覇が目標。
 できるだけ海岸線を行くつもりだったが、岬の手前に進入禁止の看板が。なんてこったい。
 仕方がないので内陸部へと進路を変える。
 途中で海岸線に降りられそうな道を見つけて進んでみるが、農道らしく周りは人気のない畑と雑木林ばかりになってしまった。心細くなりながらうねうねとした道を進んでいると海岸に出た。砂浜ではなく岩場になっている。行けるところまで行ってみようと岩場を上り下りしながら、道無き道を跋渉する。勘弁してくださいよ。俺は散歩に来たのであって、探検とか冒険に来たわけじゃないんですから。こんなことになるんだったらトレッキングシューズを履いてくれば良かったなあ、などとちょっと後悔。
 30分ほど進みふと空を見上げると、かなり暗くなり始めている。こんなところで夜になってしまったらにっちもさっちも行かなくなるので、海岸線を進むのを断念し内陸への道へ路線を変更。
 小さな漁村に出たところで日暮れてしまった。
 こんなこともあろうかと用意しておいたヘッドランプを装着し前進。
 田舎道は街灯も少なく暗いので怖いっす。
 そのうちに右足が痛くなってきた。やっぱりまだ治ってなかったのね。
 どこか手頃な休憩場所はないかと探していたら、行く手にライトアップされた風力発電施設が見えてきた。あそこで休もうっと。

 風力発電機の下は小さな公園になっていた。
 夜空をバックに緩やかに回る大きな羽根を見上げながら30分ほど休憩し前進再開。
 しばらく歩いていると街灯すらない真っ暗な道になった。明かりといえば足下を照らす小さなヘッドランプだけだ。
 怖い。なんか怖いよ。なんだかこの世に自分一人だけになったみたいな気分だ。こんなところで変なものが出てきたらどうしよう。武器になりそうなものは右手に持った傘くらいだ。てなことを考えていたら暗闇の向こうから足音がする。またかよ。目をこらして見ていると道の反対側をやって来るのはジーパンにトレーナーを着た若い女(たぶん……)。帰宅途中なのか? でも住宅地はかなり遠いぞ。こんな何もない場所に何で? 怖い。怖いよお姉さん。俺はホラー映画とか怪談話はからっきしダメなんですよ。アニメの演出なんて仕事をしているから、参考のために見ることは見ますよ。でも、しかたなくですよ。『リング』とか『呪怨』とか見ましたよ。でも一人だけじゃ絶対見ないんですよ。あーどんどん近づいてくる。俺、顔は見ないからね。はやく通り過ぎて行ってくださいよ。俺に声なんかかけないでくださいよ、お願いだから。ふう、やっと通り過ぎてくれた。あ、まてよ、もし彼女がいきなり立ち止まったり、髪を振り乱してこちらに突進してきたらどうしよう……。
 俺は背中に全神経を集中し向こうの気配を探りながら先を急いだのであった。もちろん後ろなんか振り向きませんよ。
 ああ、夜はダメだな。変なことばかり考えてしまう。もう二度と夜になんか歩くもんか。

 怖い思いをしたおかげで足の痛みは忘れることができだが、安心すると思い出してしまう。
 城ヶ島大橋を渡りきったところにライトアップされた場所があったので休憩。
 さてこれからどうしたものかとしばし思案する。
 城ヶ島島内一周は暗いのでパスするとして、細かいことはこの辺でファミレスにでも入って考えようと結論し三崎口駅方面へ向かう。

 行けども行けどもファミレスがねえ! どうなってんだこの土地は。
 足の痛みが限界に近づいた頃に『安楽亭』を発見。わーい焼き肉だあ。現在無職の俺にとって痛い出費だが、体力をつけないといかんよなあ。うん。
 二人前を注文しタバコを一服。
 幸せなひとときを味わいつつ、肉が来るまでの間にGPSのデーターを確認しようと思ったら、軌跡ログが全く記録されていないことに気づいて愕然となる。
 この気分をたとえて言うなら、徹夜で書きあげたシナリオをパソコンに保存し忘れたくらいのショックですよ水上さん。
 馬鹿、馬鹿、馬鹿、馬鹿、俺の馬鹿。
 肉が来たけど味なんてしませんよ。全部食べたけど。

 1時間以上すねた上にだらけてから出発。
 今日の野宿は三崎口駅を過ぎたところにしよう。
 駅から2㎞ほど進んだところに手頃な空き地を発見。さっそく前回懲りたツェルトのかわりに持ってきたテントを広げる。このテントを張るのはこれがはじめてだ。一人でうまく出来るかしらと思っていたら、わりと簡単に張れてしまった。最近のテントってすごいのね。
 とっとと荷物を中に入れエアマットの上に寝転がる。
 気が張っているせいかなかなか眠れない。それでも二時くらいにはうつらうつらと寝入ってしまったようだ。
 本日の歩行距離は約24㎞。

●5月9日(月曜日)晴れ
 朝、原付のエンジン音と甲高い叫び声で目が覚めた。
 時計を見ると5時前だ。
 何だろうと思いテントの外に出ると、3人乗りのスクーターが二台で前の道を行ったり来たりしながら暴走している。
 まあ、こっちの姿はむこうの視野に入っていないみたいなので嫌がらせの暴走ではないのだろうけど、勘弁してくださいよ。
 運転しているのは両方とも中学生くらいの男の子、荷台に乗っているのは同じく中学生くらいの女の子だ。
 これがまた楽しそうなんだ。
 男の子がスクーターを蛇行させると、後ろの女の子たちがきゃーきゃーと悲鳴をあげる。その声を聞いて、男の子はさらに調子に乗ってスピードを上げる。こういう時の男子の気持ちは分からんでもない。
 よくこけねえな。あんまり無茶すんなよ少年。
 すっかり目が覚めてしまったので出発を決意。素早くテントをたたんで荷造りし、歩き始める。
 まだ薄暗い134号線を北上する。足裏の痛みは若干和らいではいるが、身体がだるい。寝不足だもんな。 ああ、そうだ! テントを張った場所の撮影を忘れていた。今さら戻ってテントを張り直す気力はないのでそのまま歩き続けることにする。水樹マイアのように過去はふり返らず未来を見すえるのだ。

 うう、足が痛い。マメのできた右足をかばって歩いているウチに、左足までおかしくなってきた。
 途中こまめに休憩を入れ、コンビニで朝食を仕入れたりしながら自衛隊駐屯地の横を通過。ひたすら鎌倉を目指す。
 今回用意した装備で持ってきて良かったなあと思ったのが、クレイジークリーク製の『ザ・チェア』だ。
 いわゆる携帯座椅子で座り心地は抜群。私は家でも使っているくらいだ。なんたって脚を伸ばして背もたれられるのがいい。欠点は座り心地が良すぎるので休憩時間が長くなってしまうことだ。
 秋谷というところでは海岸の堤防の上で小休止のつもりが、ザ・チェアのおかげで小一時間も停滞してしまった。景色が良かったせいもあるけどね。

 さらに歩き続けて葉山町に入る。
 ううう、足が痛い。足が痛い。もう一歩も歩けない、ということはないが百歩は無理な感じだ。
 これは何とかしなければならんなあ。
 地図で休憩場所を探してみると、葉山御用邸を過ぎたところに葉山しおさい公園という表記があった。公園なら木陰のベンチくらいあるだろう。ヤッホー、仮眠がとれるぜ。
 というわけで、痛い足にむち打ってペースを上げる。がんばれ俺。負けるな足。
 御用邸の横を通過すると樹木がこんもりと茂った場所が見えてきた。やった、公園だ。
 やっとの思いでたどり着いた葉山しおさい公園の入り口は堅く門扉が閉ざされ、そこには一枚の看板が、

『休園日 月曜・祝日の翌日』

「………………」
 時が止まり風景が白くなる。

 いつまでも固まっているわけにもいかないので、足を引きずりとりあえず北に向かって移動する。
 公園の脇に変な路地発見。狭い。緩やかに曲がりながら下っている。なんかいい感じ。
 やった、海に出た。目の前には広々とした砂浜が広がっている。人もほとんどいない。
 よっしゃ、ここで仮眠をとろう。おあつらえ向きに石垣の下が日陰になっている。
 素早くシートとエアマットを広げて横になる。
 うー楽だー。気持ちいいー。
 穏やかな波の音を聞きながらうとうと……。お休みなさい……。

 1時間後。
 暑い。熱い。あちいー。
 真っ昼間の直射日光を浴びて汗だくになって目が覚める。まだ眠いんだってばよー。寝かしてくれよ太陽さんよー。
 場所を移動する気力がないので大きな傘を広げて日陰を作ってそのまま寝入る。

 1時間後になんとなく目が覚める。
 身体はまだだるい感じがするがいつまでもここにいてもしょうがないので出発を決意。足の痛みは取れたようだ。
 だが歩き出して数分もしないうちに足の痛みがぶり返す。
 痛い。痛い。痛い。
 あーもうこれはダメかもしれないなあなどと思っていたら、真名瀬の岬の端に出たところで江ノ島が見えた。
 遙か彼方にかすんではいるが、江ノ島といえば鎌倉の先の土地。鎌倉はもうすぐじゃないですか。
 足の痛みは限界に近くなってきたけど、行ったろうじゃないの鎌倉まで。
 気力を奮い立たせて前進。以前より休憩を細かく入れてとにかく前へ進む。

 逗子に入ってロイヤルホスト発見。ここで昼食兼大休止。
 あっという間にランチを平らげ、窓外の海岸を眺めつつ食後のアイスコーヒーを飲みながら過ごす。
 ウインドサーファーやジェットスキーで遊んでいる若者が結構いる。平日だというのに優雅じゃのう。彼らはいったい何の仕事をしているのかしら。プロなんかな?

 1時間半ほどで休憩を終え、出発。この辺まで来ると車の往来が結構激しいなあ。
 地図で見ると鎌倉までは残すところ5キロを切っているはずなので小一時間も歩けば到着するはずだ。
 目の前に見える岬の山を越えれば鎌倉だ。鎌倉といえば鶴岡八幡宮だな。せっかくだからお参りしておこう、などと考えつつ歩いていると歩道を通せんぼするように鉄パイプが組まれている。これは通行禁止と言うことなのか? 普通はそういうことなのだろうけど、それを意味するような看板がないのをいいことに鉄パイプをまたいで前進する。行き止まりになっていたら戻ればいいだろう。今の俺を止められるやつは誰もいないのだ。
 しばし行くとトンネルがあった。歩道はあるのか? 無いけど側溝にかぶせられたフタが車道より一段高くなっているので歩道のように見えないこともない。いや、これは歩道だ。歩道なのだ。俺にはそう見える。
 トンネルの中はうるさいのお。自分は右側を歩いていたので、車は正面から接近してくる。しかも近い。トラックなんぞが来るとすげえ緊張してしまう。
 三百メートルくらいでトンネルをぬけると緩やかな登りになっていた。で、車道すれすれまでフェンスがあるじゃないですか。さすがの俺にも歩道なんて見えませんよ。やっぱりここは車専用道路なのか。
 引き返そうかとも考えたが、ここまで来て戻るなんてもったいないという貧乏性の心の声が、行け、進めと俺にささやく。
 その声に背中を押され、まあ何とかなるだろうと楽天的な気分で前へ進むことにする。いや、なんとかなってくださいよホントに。
 すぐ脇を車がびゅんびゅんと通りすぎる。これではねられでもしたらシャレになんねーなー。事故にあったら知り合いには──いい年して馬鹿なことを──とか言われるんだろうなあ。はい、馬鹿ですよ。
 登りのてっぺんで今来た道をふり返ってみる。これはどこからどう見ても車専用道路だ。この道を歩いてくるやつがいたとしたらアホだよなあ。はいアホですよ。
 もうひとつトンネルを通過してやっと本物の歩道へ避難。うー、生きているって素晴らしい。
 後で地図を確認してみたら1㎞ちょっとしかなかった道だけど、すごく長時間に感じられた道のりでした、はい。この区間だけは疲労も足の痛みも感じなかったもんなあ。

 緊張がすっかり解けるとがっぽりと足の痛みが蘇ってきた。なんか前より痛いんですけど。
 でも、あと少しだと言い聞かせ、傘を杖代わりにとにかく進む。
 由比ヶ浜沿いの道をほぼ直角に曲がればまっすぐ正面に鶴岡八幡宮があるはずだ。よっしゃあ、一気にお参りだあ!
 で、曲がると、遠い、遠いよ鶴岡八幡宮。
 2㎞ぐらいあるんじゃねえの? 
 一気に気力が萎えて、ベンチで休止。
 まっすぐ歩いていると気が滅入るので、気分を変えるために鎌倉駅側に入って小町通りを進むことにする。
 狭い通りに観光客がいっぱいだ。そのほとんどが若い女性のグループか中高年の夫婦連れ。一人で歩いているのは外国人と俺くらいか。

 観光客気分で紫芋のソフトクリームを購入し、なめながら鶴岡八幡宮の境内へ。こちらは修学旅行の中学生でいっぱいだ。
 奥へ奥へと歩いてゆくと突き当たりに本堂への長い急な階段があった。この階段が鎌倉幕府三代目将軍の暗殺現場のはずだ。ここで刺されたとしたらきっと下まで転げ落ちたのだろうな、などと考えつつ本堂へ。
 賽銭箱に五円玉を放り込んで手を合わせる。
 無事ここまでたどり着きました。次の散歩も無事でありますよう見守っていてくださいませ。
 お参りを終えて帰宅するため鎌倉駅に向かう。日差しはすでに夕方のそれだ。
 今回歩いたのは約24㎞。距離の割にはけっこうきつい散歩だったなあ。

●5月10日(火曜日)
 休足日。
 たっぷり12時間寝た。
 起きぬけに体重を量ってみたら、66.0㎏。おお、こんな数字を見るのは20年ぶりだ。
 思えば光と水のダフネをやっていた去年の最高体重は73㎏だったもんなあ。
 7㎏減量かあ。リバウンドには気をつけないと。
『お散歩ダイエット』なんて本でも書いてみるか?
 次はいつ長い散歩に行けるのかなあ。

磯子駅→横須賀→三崎口

2005年05月12日 | Weblog
●5月4日(水曜日)
 休足日。
 絵コンテ終了。同時に無職になってしまう。
 次の仕事が決まるまで、明日から長い散歩に出かけるとする。野宿だってするつもりだ。
 光と水のダフネのシリーズ構成をやっていた水上清資さんより電話があった。6日にダフネの飲み会があるとのこと。楽しみである。

●5月5日(木曜日)晴れ
 昨日は会社に泊まって、早朝に帰宅。
 装備を選びザックに詰め込む。なんだかわくわくするぞ。
 前回の続き、磯子駅から歩き始める。
 今回は野宿を想定し本格的な装備を用意した。かなり軽量化したつもりでもザック込みで12㎏になってしまった。背負うとベルトがけっこう肩に食い込んでくる。
 昔の登山家は30㎏以上の装備を背負っていたそうだが大したものである。
 ともあれ歩く。目標は横須賀。
 日差しが強いので水分補給に注意することにする。それでもスタート時間が遅かったので八景島シーパラダイスあたりで日が暮れてしまった。
 それでも歩く。歩く。
 横須賀が近づくにつれやけにトンネルが多くなる。夜のトンネルはなんか嫌だな。
 横須賀に入ると急に華やかになった。駅や繁華街付近には外国人の姿が多く見られる。そのほとんどがアメリカ軍人なのだろう。
 酔っぱらいが多そうなのでこのあたりで野宿をするのはやめることにした。
 デニーズで夜飯を食べ、地図を見ながら本日の野宿場所を検討し馬堀海岸あたりに見当をつける。
 で、馬堀海岸に来たのだけれどなかなか良さそうな場所がない。海岸の端の方までたどり着いたところで野宿を決意。堤防脇を走る道の歩道上だけどしかたがない。前方の観音崎はなんか街灯も少なそうで暗いし、何しろ疲れてしまった。
 シートを広げ三脚の上にツェルトをかぶせて設営終了。
 中にエアマットを敷いて仰向けに寝てみる。寝心地はそんなに悪くない。
 ただ初めての野宿ということもあり緊張と興奮でなかなか寝付けない。普段なら仕事場の机だろうが床の上だろうが寝具もなしに寝られるのになあ。やっぱ野宿は別物なのか?
 しかたがないので堤防に腰かけ夜の海を眺めながら1時間ほど過ごす。対岸の千葉県の明かりがとても美しい。
 午前1時になってやっと床へ。
 歩行距離約29㎞。

●5月6日(金曜日)薄曇り→雨
 ときたま横を通りすぎる車の音を子守歌代わりにうとうとしていたら、風にはためくツェルトの音で目が覚めてしまった。
 荷物の置き方や寝方を変えたりしたがツェルトのはためきは止まらない。
 眠れないので表に出てみたが、風はそれほどでもなかった。この程度の風でこうなるとはツェルトではだめだな、テントを持ってくれば良かったと激しく後悔した。
 時計を見ると午前四時前。
 眠れそうにもないので出発を決意する。
 荷物を詰めたザックを担いで歩き始める。

 馬堀海岸通りから観音崎方面の道に入ると急に街灯が少なくなった。
 見知らぬ土地を夜歩くっていうのはなかなか怖い。
 寝静まった田舎町の歩道を進んでいると、向こうの方からなにやらコツコツと音がする。何だろうと見てみたが暗くてよく分からない。音は確実にこっちに向かってくる。いったい何だ?
 その音の正体は、杖をつきながらよたよたと歩くじいさんだった。
 ちょっと待ってください。午前四時ですよ。早朝のウォーキングですか? ていうかまだ夜中ですから。あたりは真っ暗ですから。それにその格好。ウォーキングする格好じゃないでしょう。どうみても部屋着じゃないですか。ひょっとして徘徊ですか? だとしたら別な意味で怖いんですけど。頼むから僕に向かって奇声をあげたりしないでくださいね。
 謎の老人が横を通り過ぎ、杖の音が聞こえなくなるまで緊張のしっぱなしだった。ふう。

 てなことがあって観音崎に到着。
 岬の先端に出る遊歩道があるみたいだが、まだ暗いので危険と判断して浦賀方面へ向かう。
 あれ、右足の裏が痛い。マメでもできたか? できたとしたら陸上競技をやっていた高校時代以来だ。うーむ三十年ぶりだな。
 トンネルの出口でシートを広げ休憩。靴下を脱いで足裏を見るとマメが三カ所にできていた。いいまでの散歩ではこんなことはなかったのに。やっぱり荷物の重みのせいなのかしら?
 傷テープで簡単な治療をして出発。うーん、やっぱり痛い。

 浦賀、久里浜と歩を進める。
 ペリーの黒船来航の時には江戸から大勢の野次馬がここまで来たそうである。すげえな野次馬。
 ひたすら海沿いの道を進む。足が痛い。たまんねーな。
 横須賀火力発電所の敷地でちょっとの間海とお別れ。しばし歩くと金田湾に出た。
 うわっ、なんだこりゃ。
 湾曲した海岸線の向こうが霞むまで続いているじゃあないですか。まだあんなに歩かなきゃならないのかよ。
 でも進んだりする。足が痛い。

 野比の手前でダウン。
 海辺に公園があり手頃なベンチがあったので仮眠をとることにする。
 エアマットのおかげで堅いベンチも柔らかなベッドに早変わりだ。
 ザックを枕にお休みなさい。

 2時間後、携帯電話の着信音で目が覚める。
 相手は前述の水上氏。本日の飲み会の場所が決定した由。水上氏本人は家族サービスのため本日は欠席するとのこと。家族持ちはつらいよね。合掌。また別の機会に飲みましょう。

 電車の終点である三崎口駅を目指すことにして、出発。
 足が痛い。
 三浦海岸は長い。
 天気は怪しい。
 雨具を持っているから平気だけど、やっぱり降らないに越したことはない。

 本格的に降り出す直前に三崎口駅に滑り込む。
 とにかく足が痛い一日だった。
 歩行距離約22㎞。

 電車を乗り継ぎ自宅に帰り、風呂に入り2時間ほど仮眠をとって新宿へ。体力が持つのか俺?
 ダフネのスタッフ・キャストで飲むのは打ち上げ以来だから約10ヶ月ぶりだなあ。もうそんなにたったのか……。
 集まったのは男子五人女子三人。無職二人に有職六人。
 店は『茶茶花』といい。こぢんまりとした入り口だが中は思いのほか広い。
 照明もこっており、なんだか隠れ家っぽいムードの漂う店だった。
 酒を飲みつつ談笑。
 皆元気そうで何より。
 きっとまたどこかでお会いしましょう。
 光と水のダフネは楽しい仕事でした。ホントに。

川崎駅から磯子駅へ

2005年05月12日 | Weblog
●5月1日(日曜日)
 会社まで歩く。
 歩行距離約7㎞。

●5月2日(月曜日)
 お仕事前に散歩。
 歩行距離約14㎞。
 今年の初めに携帯GPSを買っていらい散歩づいている。こいつを使えば自分の歩いたところを地図上に表示できるのだ。
 仕事場でノートパソコンを開き、日に日に伸びてゆく軌跡を眺めていると、後ろから進行に声をかけられた。
「地図を見ながら何をしてるんすか?」
 はい、ニヤニヤしてますよ。
 変ですか? 変ですよね。
 自分でも分かってるんですよ! でも楽しいんですよ!

●5月3日(火曜日)晴れ
 ひさしぶりに長い散歩の再開じゃあ。
 川崎駅に行き横浜目指して出発。
 途中、ふと横を見ると小さな石碑があった。何だろうと近寄ってみると、生麦事件碑だった。
 事件のあった当時は畑の中の一本道だったらしいが、今は住宅密集地。時の流れを感じるなあ。

 横浜に来るのは車で通りがかったのを別にすれば、学生時代に映画のロケハンに来て以来だからおおよそ25年ぶりだ。
 変わったなあ。どでかいビルがあちこちに建っている。
 山下公園に行ってみるか。
 やけに人が多いと思ったら、そうだよ今日は休日だよ。
 アニメの仕事をやっているとゴールデンウィークなんて関係ないもんなあ。
 山下公園の通りではブラスバンドの行進をやっているため、人でいっぱいだ。進もうにも進めやしない。仕方がないので山下公園の見学はあきらめる。
 はずれた通りを進んでゆくと丘が見えてきた。港の見える丘公園だ。懐かしいなあ。
 長い階段を登って展望台から港を眺めてみる。
 なんだよこれは。港なんか見えないじゃん。これじゃあベイブリッジが見える丘公園ですよ。
 それでも景色は良いので高台の道を進んでゆく。
 途中でアベックから「シャッターを押してもらえませんか」と撮影を頼まれた。
 もちろん快諾し、精一杯レイアウトを決めてシャッターを押す。
 お幸せにお二人さん。

 坂を下り首都高湾岸線に沿って磯子へ向かう。海岸線を歩きたいのだが、この辺は工業地帯で中には入れないみたいだ。残念。
 高速道路の下を歩いていると日が当たらなくて快適である。そのせいかやたらとホームレスの仮設住宅(ブルーシートや段ボールで作ったアレね)が目につく。そうだよな天井があるから雨が降っても大丈夫だもんなあ。
 仕事があるため余力を残して磯子駅で散歩を終了。
 歩行距離約26㎞。

東京駅から川崎駅へ

2005年05月11日 | Weblog
●4月30日(土曜日)晴れ
 仕事前に長い散歩の続き。
 はたして2日連続20㎞以上歩けるかどうかチャレンジする。
 せっかくだから連続性を持たせるために東京駅を出発し川崎駅まで。
 途中、蒲田で道草する。
 蒲田は21歳の時に新聞奨学生として東京に来て、はじめて住んだ土地だ。
 専売所は元の場所にあったが、住んでいたアパートは取り壊され、別な建物が建っていた。少々残念な気分だ。まあ四半世紀経っているので無理はないか。

 多摩川に架かる六郷橋を渡って対岸の神奈川県へ。
 初めて歩いて県境を越えるのでちょっと感激。
 ほどなく川崎駅に到着。これなら時間がとれれば三浦半島を回って鎌倉あたりまではいけるんじゃないか。
 歩行距離約22.5㎞。
 戻って仕事をする。

長い散歩の始まり 自宅から東京駅へ

2005年05月11日 | Weblog
●4月29日(金曜日)晴れ
 散歩がてらに新宿で飯でも食うかと思い立ち、東へと向かう。たいした疲労を感じずに着いてしまった。
 飯を食ったが、ものたりないのでさらに東へ。
 武道館を経由して東京駅に到着。
 ここまで来たのだからついでにと、秋葉原駅まで足をのばす。別に買い物するわけではないけれど。
 駅前の大通りは歩行者天国になっていた。
 とりあえず終点は『げんしけん』でお世話になった『とらのあな』の前にした。
 歩行距離25㎞。長い散歩だなあ。
 戻って仕事をする。