外国人を全くと言っていい程見かけないハイデラバードで活躍する日本人の集まりです。
ボストンを発つ前にハイデラバードについて色々ネットサーフィンをしていたところ幸運にもウェブサイトを発見。そこで、到着直後に「ハイデラーバードにきたものの、友達もいないし、右も左もわからないのです・・・」とHelpメールをサイト経由で送信したところ、すぐに何人かの日本人の方からとても丁寧なご連絡を頂き、そして昨晩、日本人会に所属する方のご自宅で開かれたホームパーティーに参加することができました。
ホームパーティの主催者のアキコさんは、フランス人の彼氏フリデリックさんと一緒にハイデラバードまでやって来て、現在フランス語とヒンディー語を勉強中とのこと。さらに、ハイデラバードにあるASA Bhanu Japan Center(ABJC)というインドと日本の相互交流を勧めるNPOで、日本語を教えているIさんとSさんの知り合いということで、エンジニアで日本語を勉強中のモヒットさん、コンサルタントのアシュリンヌさん、その奥さんのクリシュナさんというとてもフレンドリーなインド人のお3方とも知りあうことができ、非常に楽しい時間を過ごすことができました。
中でもモヒットさんは日本語が驚くほど堪能。更に彼のカバンからLindbergや槇原敬之、リンケンバンド、平井堅などの日本のポップスのCDや黒澤明などの日本映画のDVDがゴロゴロと出てきたのには驚かされました。
何故そんなに日本語の勉強や日本のポップカルチャーに興味を持ったのかと尋ねるとモヒットさんは流暢な日本語でうれしそうに語ってくれました。
「一番最初の日本との出会いは子供のころにやった任天堂のゲームでしたね。マリオとかドラゴンクエストとか。でもその時はそれだけでしたよ。でも二十歳くらいの時に、私の姉が日本映画を見るのに夢中になっていて、毎週一回、映画の観賞会に通っていました。だけど、姉は車の運転ができないので、私が姉を日本映画鑑賞会へ車で送り迎えしてたんです。それで、観賞会の間、車の中で待っていても退屈なのでちょっと見てみるか、と思って参加してみたら、これが面白かったんですねー。それ以来日本語の勉強も一生懸命しました。」
日本語を習い始めたばかりのクリシュナさんもきっかけは日本の映画だったとのこと。このハイデラバードの地でも日本のソフト・パワーに魅せられている人がいることが新鮮で嬉く感じられました。
ホームパーティのハイライトは、アキコさんがつくってくれた料理。ヒジキやお好み焼き、茄子のお浸しといった素晴らしい日本食のオンパレードは本当に感動的!慣れつつあると言ってもやはり刺激が強すぎるインド料理に胃腸が疲れ気味であったこともあり、この料理には本当に感謝です。
また食後に盛り上がったアシード、クリシュナ夫婦、モヒットさん、そしてフランス人のフリデリックさんとのトークは非常に印象的でした。テーマは「インド人の恋愛事情」。特にクリシュナさんが熱弁するところでは、インドでは男女関係は「婚約者」か「配偶者」の二つのカテゴリーが原則で、「彼女(彼氏)」という関係は禁物とのこと。
ヒンドゥー教やイスラム教の教えや、その他文化的な理由でそのような「秩序」が支配的な社会があることは頭では理解しているつもりですが、携帯電話やインターネットが普及し、女性の高学歴化、社会進出も進んでいる現代のインドで現実的にそのような「秩序」を保つのことが本当に可能なのか、湧き上がる疑問をぶつけてみたところ、思いがけず色々議論が盛り上がってしまいまいた。
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クリシュナさん:「夫でも婚約者でもない男といつも一緒にいたら近所の目もあるし、親は黙っていないわ。一緒にいなくてもいつも同じ人から電話がかかっていたら「こいつは一体誰なんだ?」という話になって、「家に連れて来い」という話になる。それで親に会ったら婚約でしょ。」
僕:「なるほど。でも今は特に都会に住んでいる若者は皆携帯を持っているよね。親が気付かないところで、中のよい男友達、女友達と連絡をとってあり、会ったりできるんじゃないの?」
クリシュナさん:「とんでもない!そんなの絶対に無理。だって、携帯の請求書は親あてに来るもの。もしも発信履歴で特定の番号ばかりが出ていたら、絶対に母親は娘を問い詰めるわ。」
僕:「フーン。でも最近はカルカッタやデリーの有名大学に地方から一人で出てきている女子学生も大勢いるよね。」
クリシュナさん:「それでも請求書は親に行くし、おかねは全部コントロールされているからめったなことはできない。」
僕:「え、じゃあ、就職してからはどうだろう。例えば僕がインターンをしているBasixにも大勢の女性が働いているよ。例えば田舎から都会に出てきた女性社員は自分で稼いだ給料も自分の時間も自由に使えるでしょう?」
クリシュナさん:「それも違う。給料は全部親の所に行く。それで親が全て使い道を決めるの。それに親はいつも子供が何をしているかチェックしている。例えば私の友達なんて外資系のシステム会社で働いているけれど、歯医者で治療を受ける時ですら治療が始まる前と終わった後に親から電話がかかってきていた。」
アシュリンヌさん:「その話はちょっと極端だよ。結構自由にやっている若者もそれなりにいると思うよ。」
クリシュナさん:「それはあなたがアメリカの会社で働いているからそう思うだけよ。あなたみたいなスーパーリベラルな考えの人、インドでは殆どいないって!」
僕:「……
では、一体インドでは若者はいつ独立するの?」
二人揃って:「結婚したらだよ!!」
僕:「なるほどー。とても興味深いね。ただ、若者たちはそれでハッピーなのかな?親に縛られるのはともかく、例えば、相手の性格やものの考え方をよく知らない状況のまま、婚約や結婚をすることに抵抗はないの?」
モヒットさん:「そんなこと言ったって、インドの人口の7割以上を占める農村部に住む人たちは、結婚の一日前まで、結婚相手の顔すら知らないんだよ。基本的にはお見合いが主流なんだから。」
フリデリックさん:「昔の日本もそうだったでしょう。でも今は違う。おそらくインド人の価値観も今から20年もすれば大きく変わると思いますよ。」
モヒットさん:「イヤイヤ、インドの人口は11億人。そのうち、国外留学や勤務を通じて価値観の変化を経験する人は1%もいない。農村が変わらない限りそう簡単にインド人の価値観はかわらないよ。そのためには20年は短すぎる。」
僕:「でも、今では地方にもテレビや映画はあって、多くの人がアメリカの映画やドラマをみたりしていますよね。それらに影響されるということはないのかな?」
アシュリンヌさん:「確かに多くのインド人は海外の映画やドラマが大好きだよ。相当人気あると思うよ。でも、基本的に「これは私たちとは違う異文化のストーリーだ」という認識を持って見ているんだよ。見て楽しむのと、そこに映し出されるストーリーを自分の価値観として受け入れるとでは全く違う。」
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ちなみに、インドの離婚率は1000件中11件と約1%で、世界最低だそうです。一方で、若いころから「恋愛経験値」を積みながら、「Right Person」を見定める眼力を養いつつ結婚相手を決めるアメリカでは、離婚はほとんど当たり前。
「相手をよく知ってから結婚しないと、結婚後、うまくいかないのでは?」という発想自体、アメリカ的なもの、即ち個人の価値観を超えたところにある、家族や共同体の拘束力や意義が薄れた社会の中で通用しているにすぎない、彼らにとっては「特殊な」考え方なのかもしれません。もちろん、インド社会が男性中心主義の色が濃く、女性にとって離婚という選択肢がありえないものであることも、その背景にあるのでしょうけれど。
話題はこのほかにも、100種類以上もの言語、ヒンドゥー教、イスラム教、仏教、キリスト教、シーク教、ジャイナ教、ゾロアスター教などなど、実に多彩な宗教が混在するインドのなかで、「インド人」というアイデンティティと「○○地方出身」というアイデンティティとどちらが強いのか、そして「インド人」というアイデンティティは何によって裏打ちされるものなのか、など非常に興味深いテーマにも話が及び、気づくと時刻は夜中の1:30。4時間以上にもわたって話し込んでしまいました。
凄勢いで経済発展を続けつつも、極めてユニークな独自性を保ち続けるインド。多様性の中で統一を保ち続けるインド。その真の姿はやはり農村に身をおかなければ決して分らないようです。
明日に迫った出張がますます楽しみになってきました!
Anyhow, I'm fine as you see, and can't wait to see you, Kaori, and Nemo!!
Your wife is going to get a usa drivers licence
How are you doing? I am not able to see what your saying but I can still view your pictures
be well
6週間と短い期間ですが、できる限り色々チャレンジして、ブログを通じて報告をしていきたいと思っています。
今後ともよろしくお願いいたします。
無事ハイデラバードの日本人の方々にお会いできたようで嬉しく思っています。このサイトも今年始めに着手し始めてから、ハイデラバードの昨今の注目と共にいろいろメールをいただくようになって作ってきた甲斐があったな~と感じさせてもらってます!
僕自身もハイデラバードには計1年半いたので思い入れがあり、興味深くブログを拝見させていただきました!リサーチがんばってくださいね。