ハーバード・ケネディスクールからのメッセージ

2006年9月より、米国のハーバード大学ケネディスクールに留学中の筆者が、日々の思いや経験を綴っていきます。

ジョセフ・ナイ教授との対談(その1)

2007年03月15日 | 日々の出来事

 

 「日本のソフトパワーについて研究をするなら、ソフトパワー論の生みの親と直接対決しない訳にはいかんだろー!」

 と、Harvard 松下村塾の仲間たちと気勢を上げたのが今から約2ヶ月ほど前。そうは言っても相手はケネディスクールの前学長で、クリントン政権下で国防次官補、カーター政権で国務次官代理を務めた大物国際政治学者のジョセフ・ナイ教授。果たして相手にしてもらえるのだろうか・・・と、ダメモトで秘書にメールを打ったのが2月の初旬。

 案の定、「ナイ教授は大変多忙で、現在ヨーロッパに出張中。戻った後もすぐにワシントンDCや西海岸への出張が続き、2月の下旬までは本人に予定を確認することすら難しい。」

 という返事。半ば諦めかけていると、メールの文面どおり2月の下旬に秘書から、「アポイントメントの件はどうする?」という確認のメールが。早速、

 「絶対、いつでも、どこでも会いたいのですが、可能ですか?」と勢い余ったメールを打つと、「では、2月27日の午後4:00にオフィスまで来て下さい」と嬉しいメール。

 しかし大切なのはこれから。ナイ教授に勉強会メンバーとディスカッションに参加してもらえないか、お願いしなくてはなりません。教授との対面はこれが二回目となりますが、前回は「ソフトパワーとリーダシップ」というテーマで行われた大教室での特別講義の単に聴衆として参加し、質問をぶつけただけ。一対一で話すのはもちろんこれが初めて。

 「果たして、僕達の勉強会に興味を示してくれ、超多忙な中、我々とのディスカッションに一時間も時間を割いてくれるだろうか・・・」

と不安と緊張を抱えたまま、これまでの勉強会で使ったプレゼンテーション資料を片手に、ナイ教授のオフィスに乗り込みました。

 ノックして中に入ると、ナイ教授から

 「今、メールを一本打っているところだから、ちょっと待っていて下さい。」

との声。しばらくして振り向いたナイ教授は思いがけないくらい優しい笑顔を浮かべながら、

 「お待たせしてすまなかった。そこにかけて下さい。どうですか?学校のほうは?」

と語りかけてきました。超多忙な中時間を割いてもらっている身なので、単刀直入に要件から切り出そうと思ってた自分はやや拍子抜けしながら、自分の近況を語ると、雑談が始ってしまい、すっかり打ち解けた雰囲気に。

 いよいよ本題を・・・ということで、エズラ・ボーゲル先生の私塾として開かれているHarvard 松下村塾の趣旨やメンバーの構成、そして、ソフトパワー勉強会のこれまでの研究の経緯を話すと、ナイ教授は丁寧に頷きつつ、資料をめくりながら説明に耳を傾けてくれました。そして説明の最後に、

「ついては、勉強会のメンバーとのディスカッションの時間を一時間ほど設けていただけませんか?3月の中旬当たりでお時間がありそうな時に・・・」

と恐る恐る伺うと、ナイ教授は、突然椅子をデスクのほうまで持って行き、パソコンと向き合うと、

 「うん。3月15日木曜日の4時半からであれば一時間ほど時間をとれそうだ。今、秘書と君宛にメールを打っておくから、それでどうですか?」

と何とも呆気なく理想的な返事が。とっさに何と言ってよいか分からず口ごもっていると、

 「君達の研究テーマと着眼点は大変興味深い。勉強会のメンバーは7名ですか?じゃぁ、このオフィスで議論するのが丁度いい。当日が楽しみですよ。」

 と、またまた温かいメッセージを頂くことができたのです。

 という訳で、めでたく今日の議論の場がセッティングされることとなりました。と、ここまで書いて、毎度のことながら大変長くなってしまったので、肝心の議論の中身はまた明日の記事でお伝えしようと思います!


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