緩やかに朽ちてくこの世界で。

どうせ社会人になったら……

自分の時間なんてきっと土日しかなくて。
平日なんて帰って寝るだけで。
僕はお金をもらうために働くんだ。

そう。

そうだったんだよ。


遊びは少なめ。
仕事は多め。
時間は少なめ
ストレスは多め。


最も辛い選択がベスト。


そう思っていたんだよ。

だからよかったんだ。


自分に言い聞かせて。
自分で言い聞かせて。
仕事をやる事が全てで。

楽しい事なんておいといて。

僕は仕事をしよう。


そう思っていた。


けれどね、自分の時間ができるようになると。

過去に追いやったああいう気持ちがひょっこり顔を出す。
蓋をして栓をして漏れないように閉じこめておいたはずなのにね。

なのにそいつはいとも簡単に顔を出して
そして僕を見て笑う。


今頃気付いたの？


その泣きそうな笑顔に答えるべきなのかどうか。

中途半端に出る位なら
いっそ顔を出さなければ良かったのに。

それが一番辛いと言う事を知っていながら
そいつは笑いながら僕を見る。


どれだけそれを切望しても、渇望しても、
僕は生きていかなければならない。

だから、働かなければいけない。


僕はどちらを望めばいいのだろう。


緩やかに朽ち果てていくこの世界で。