「天道虫(てんとうむし)の会」

私たちは、今井信子さんのライフワークでもある「ゆらぎの里」での音楽活動に賛同して、「天道虫の会」を立ち上げました。

第5回東京国際ヴィオラコンクールを終えて

2022-06-12 15:57:48 | 日記

 今回のコンクールの実行委員長を務めた須藤正實さんが他のサイトに「第5回東京国際ヴィオラコンクールを終えて」と題して投稿されています。ご本人の了解を得て転載します。

 なお、須藤正實さんは、当ブログ「天道虫(てんとうむし)の会」の代表でもあります。

 「天道虫(てんとうむし)の会」の由来については、このブログの最後尾をご覧下さい。

授賞式の会場「TCMホール」(代官山・中目黒)TCMホームページから

 

【第5回東京国際ヴィオラコンクールを終えて】(須藤正實) 

1年の延期を経て5月26日から始まった第5回東京国際ヴィオラコンクールが10間の日程を無事終了し、6月4日の授賞式と入賞記念演奏で幕を閉じました。心配した新型コロナウィルスの感染者も出ず、予定のスケジュールをすべて実施でき関係者の一人としてほっとしています。

 パンデミックが長引き3年に及ぶ準備段階では本当に開催できるか常に不安が付きまといましたが、過去最多の109名の応募、審査委員の強い開催意欲、そして何よりこの事業環境下にも拘わらず多くの企業・団体からの変わらぬ支援もいただき開催への大きな後押しとなりました。
 ロシアのウクライナ軍事侵攻も加わり、世界の分断が深まり、出入国の制約がある中で、ヴィオラを愛する人たちが東京で一堂に会し、ヴィオラという音楽を通じて心の交流ができたことは格別なことでした。正に音楽は時代も国境も越え人々の心をつなぐ普遍の魂を持っていることを実感する10日間でした。

 1次(30名)、2次(12名)、セミファイナル(6名)をパスした3名がファイナル(フルオーケストラの協奏曲あり)に臨み最終順位が決まりました。弾いた課題曲は計9曲、難解な課題曲も多く正にハードワークの9日間でした。
 1位はハヤン・パク(韓国)、2位湯浅江美子(日本)、3位サオ・スレーズ・ラリヴィエール(フランス)。日本人の活躍も目立ちました。
 記者会見で審査委員から出場者の演奏力に高い評価が寄せられ、順位を決め難いという意見もありました。また、東京国際ヴィオラコンクールのレベルの高さに称賛もあり、関係者にとっても嬉しいことでした。
 審査は技術力だけでなく、曲の解釈と表現力を看ると言われます。ヴィオラの楽器は大きさも異なり、音色も違うので演奏者の個性をどう評価するのでしょうか。私の鑑賞力ではまだまだ程遠いと実感したコンクールでした。

 今年はコンクールの母体となる「ヴィオラスペース」が30回、「東京国際ヴィオラコンクール」は5回の節目の大会でもありました。

 ヴィオラは人間の音域に最も近い楽器と言われますが、ヴァイオリン、チェロなどと比べると地味でヴィオラの作品数も少ないと言われています。
 ヴィオラ奏者の今井信子さんは「ヴィオラの礼賛」、「優れたヴィオラ作品の紹介と新作の発表」「若手の育成」という3つのコンセプトを掲げ1992年に「ヴィオラスペース」を創設しました。
 毎回新しい企画の採用、新曲の委嘱、若手演奏家への公開マスタークラスの実施、学生オーケストラ(桐朋学園)の出演など世界的に見ても例のない活動を通じヴィオラの世界を育て上げました。審査委員からもその功績に対し大きな称賛の声が寄せられました。

 「東京国際ヴィオラコンクール」はその活動の一環として2009年に今井信子さんが提唱し、3年に1度の開催で今年は5回目となりました。
 ヴィオラの国際コンクールは不定期開催の「ジュネーブ国際コンクール」や「ミュンヘン国際コンクール」のほか、単独開催の「ヒンデミッツ国際ヴィオラコンクール」、「ライオネル・ターティス国際ヴィオラコンクール」などがありますが、他のコンクールと違い、単に演奏者の審査だけでなく、審査委員や公式伴奏者などによるガラ・コンサート、ワークショップ(応募者対象の公開マスタークラス)が併設されているのが特徴です。

 回を重ねるごとに世界を目指すヴィオリストの応募が増え、入賞者の演奏力の評価も高まり、すでに世界的に活躍する出場者も多くでていることは実行委員会としてもやりがいを感じています。

 長年にわたり「ヴィオラスペース」や「東京国際ヴィオラコンクール」が継続できた裏側には、運営に当たるテレビマンユニオン音楽事業部と特別協賛として資金面の支援を続けるNTTファイナンス株式会社(旧NTTリース)の存在があります。

 1987年、テレビマンユニオンの萩元晴彦会長(当時)が御茶ノ水にできた「カザルスホール」の総合プロデュサーに就任し、音楽アドヴァイザーとして(強引に?)招聘したのが今井信子さんでした。1992年に「今井信子ヴィオラスペース1992」がスタート、1997年からNTTリース株式会社の特別協賛となりり、歴代社長が継続して支援を続け今日に至っています。
 テレビマンユニオンとNTTは音楽を通じての関係が古く、1972年に始まった「オーケストラやってきた」はNTTの特別協賛となっています。私自身もNTTの宣伝部時代に始まった「カザルスホールカルテット」の支援に携わり、以降、テレビマンユニオンと今井信子さんとのつながりが32年間続いています。両者を通じて会社では得られない体験と知己を得ることができたことは不思議でもあり幸せでもありました。
 ひととひとののつながりは何処の世界でもできるようです。

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「天道虫(てんとうむし)の会」のご案内

「天道虫(てんとうむし)の会」のご案内   ―小樽ゆらぎの里での今井信子さんの音楽活動を応援する会の発足― 2014年6月23日   私たちが敬愛する今井信子さんが小樽「ゆらぎの里」朝里川温泉で始めたヴィオラマスターコースは、今年の正月で10周年を迎えました。此の間多くの教え子がここから育ち、年々今井先生に憧れ慕う俊秀のアーティストも多くこの地を訪れるようになり、先生を囲み、手伝い、研鑽し、コラボレートする世界にも類のない活動の拠点として高まっています。 この度、私たちは、今井信子さんのライフワークの一つでもある「ゆらぎの里」での音楽活動に賛同して、それぞれの立場でできる支援を行うとともに、それぞれのネットワークを通してこの活動を知ってもらい、多くのクラシックファンに珠玉のコンサートに触れていただくお手伝いをしようと、「天道虫の会」を立ち上げました。 皆さまには、「天道虫の会」の活動にご理解いただき、それぞれにできるご支援・ご協力いただければ幸いです。この会へ参加いただける方は発起人までご連絡ください。会員には、会のシンボルとなる竹製てんとう虫のバッチをお渡しします。 発起人メンバー 高野るみ、諸角憲治、砂岡茂明、樋口義洋、青木真也、須藤正實 <天道虫の会の由来>  天道虫は、太陽=天道(今井信子さん)に向かって飛ぶ習性があるという由来から名付けました <ホームページ> http://blog.goo.ne.jp/igainet  会の活動、小樽での音楽活動、今井さんの演奏活動など適宜掲載します。