遺伝屋ブログ

酒とカメラとアウトドアの好きな大学研究者です。遺伝学で飯食ってます(最近ちょっと生化学教えてます)。

無濾過・無加水・火入無

2011-02-24 22:18:50 | 
十代目は加賀市で醸されているお酒です。先日香林坊に出た時にデパ地下で『しぼりたて生酒』を見つけました。無濾過、無加水、火入無の逸品でございます。無濾過は分かりますね。日本酒を醸造した場合、白濁した状態ですから圧搾機でどーんと濾過してお酒を透明にします。これをしなかったら濁り酒になるはずなんですが、そうなってないのは圧搾にかけてないということなんです。そういうお約束♪ どうやるかというと麻袋かなんかに入れて吊るして滴り落ちるのを集めるってな具合です。一般に『しずく垂れ』と呼ばれるお酒です。え?知らない??まあ、そこまでしっかりと名乗ってないので、なにか力を入れて白濁を除いたはずです。濾過はしてないけど絞りたてってことは、どういうことか想像すると、袋に入れてぎゅっとやったってことなんじゃないかなぁ。まあ、野暮なことを詮索するのはよしときましょう。
日本酒の醸造は世界の醸造酒として最高のアルコール度を誇ります。酵母自身生物ですからアルコールという毒に対して耐えるにしても限界というものがあります。それでも、20%を越える濃度までアルコール生産が出来るのは、日本の醸造技術の高度さを示しているといっていいでしょう。ただし、飲料として優れているかとして優れているかといえば別問題でして、製品としての均一性や酒税に対する対応として醗酵してできたまま出荷してるわけではないです。だいたい醸造に使う水を加えて15%あたりに調整しています。この製品が『無加水』を謳うのにはこういう意味があるわけ。加水しないってのは、珍しいんですよ。加水してないおかげでアルコール度が18%です。昔、似た条件のお酒で22%のを飲んだことありますが、やはりきつすぎて香りを楽しんだりできるものではありませんでした。18%というのは、加水無しで出すにはギリギリってとこじゃないかな。十代目ってほんとに芳醇で豊かな香りで飲ませてくれるお酒なんですよ。無理する必要ないんだよ。
火入れ無しってのは、分かりますね。『生酒』ってことです。普通は火入れをして混入した酵母を殺して製品の品質変化を抑えるのですが、それをしてません。ラベルを見ると醸造アルコールを添加しているので、火入れの代わりにこれで発酵を停止させているようです。日本酒好きの方々の中には純米酒でないとダメという偏った考えの方が多いようですが、醸造用アルコール添加は醸造技術のひとつとして認めるべきで、製品として優れている例が少なくありません。まあ、火入れ無しというのはフレッシュな味わいを楽しんでほしいってことなんですが、「さっさと飲め」というメッセージでもあります。(笑) 生酒の封を切ったなら、出来るだけ早く飲みきらないと悲惨な変化に直面します。その覚悟をしなされってこと。むしろ、その変化を感じられないなら生酒なんか飲まない方がいいです。お金の無駄。

さて、今日は天狗舞の純米酒も飲みました。これはなんというか、純米なのに辛過ぎでして・・・情け容赦ないお酒であります。「もうちぃっと優しくしてくれてもいいじゃないの?」と思います。ツンデレのデレがないやつ。w

本日のお酒:十代目 しぼりたて生酒 + 天狗舞旨醇 純米
コメント
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