私も感動しました。(〃 ̄ー ̄〃)
【ゴールドコースト=木村有三】
宮里藍(20=サントリー)が「ハエ」に泣かされた。2番グリーン上でハエを払おうとした際、パターヘッドに触れたボールが動いてしまったが気付かずホールアウト。スコア提出前に競技委員と一緒にビデオで事実を確認。誤所からのプレーで2罰打となった。罰がなければ73で35位のはずが、スコアは75となり通算2オーバーの57位に後退した。アマチュアのエミー・ヤン(16=韓国)が通算9アンダーで首位に立った。
思わぬ敵の不意打ちだった。まさか「ハエ」で、2打も損するとは…。宮里にとって想定外の出来事は、2番ホールで起こった。
6メートルのパーパットがカップを40センチほどオーバー。返しのボギーパットを打つため、アドレスに入ろうとした直前だった。強い風に舞って現れた1匹のハエが、顔の前をブーン。宮里は左手でパターを持ったまま、右手で「邪魔者」を振り払う。その後、視線を落とすと「あっ、動いた」。ボールが、少しだけカップ方向に動いていた。
宮里 (パターヘッドに)当たった感触はなかったんです。同伴プレーヤーも、みんな見てなくて、風で動いたと思ったんですよ。
念のため、競技委員をその場に呼んだ。確認すると「アドレスに入る前に風で動いたのなら、そのまま打っていい」。身ぶり手ぶりを交えた英語で対応した宮里は、ボギーパットをカップイン。そのまま18ホールを回り終えた。 だがスコア提出前に、大会役員の勧めもあって現地テレビ局が撮影していたビデオを確認することになった。そして映像には、2番ホールの「真実」が映っていた。ハエを振り払った瞬間に左手で持っていたパターのヘッドがボールに当たり、数センチほど動いていたのだ。 宮里 (ヘッドの)ヒールにボールが当たっちゃってたんですよ。こういうこと? 初めてです。まあ、しょうがないですね。
結局、動いた球を元の位置に戻さなかったことにより、誤所からのプレーで2罰打。2番はトリプルボギーの「7」。アクシデントがなければスコアは73で35位のはずが、75で57位になってしまった。
それでも前向きに考えれば、ビデオを見たおかげで過少申告による「失格」を免れたとも言える。決勝ラウンドに進めることが救いだ。「ショットの調子はそんなに悪くないし、かみ合えばいいスコアは出る。あと、2日間は切り替えていきたい」。現地入り後はイルカと戯れ、抱き上げたコアラに感激、ワニも抱く恐怖を体験し、本番ではまさかのハエに泣かされた。まだコースには、池で安らぐ黒鳥と、松ぼっくりを食べる白オウムがいる。複雑な思いで臨む宮里の週末。南国の鳥たちが、鷲(イーグル)でも呼び寄せてくれる…かもしれない。
(日刊スポーツ) - 2月4日9時54分更新
毎日新聞の記事では、「潔く2打罰従い豪役員の胸を打つ」という見出しで、地元役員の助言に助けられた格好だが、ペナルティーを潔く受け入れた姿勢が、オーストラリアの役員の胸を打った。
同国女子プロ協会のセビル専務理事は「藍の態度はスポーツマンにふさわしく感動した」と話し、大会開催責任者トゥーイ氏は「長くゴルフにかかわってきたが、このようなスポーツマンシップは見たことがない」との声明文を出した。