国際商科大学 軽音楽部”タイニーラブ”で俺は”コースケ”と呼ばれていた。
本名を知らない者は数多い。
この”タイニーラブで、常識では考えられない体験をした。
楽しく、苦しく、激しく、セツナイ青春日記の第20弾です。
何とか、2年生となった。
今度は新入生を迎える立場である。
デモンストレーションで、休み時間にミニ・ライブをやらなきゃいけない。
校門から真正面に、こじんまりとしたミニ・ステージを作って、そこで演る。
この時は、勿論マジックによるメイクは ナシ である。
あのロックバンド”キッス”が、この時にもうすでにメジャーなら、やらされていた可能性もなきにしもあらず・・・だな。
授業の合間の15分間と、昼休みの30分。
クジで決めるのだが、昼休みに当たった奴は、可愛そう。
飯も食わずに演るのだからね。
新入生は勿論集まってくるのだが、学校に居るのは新入生だけではない。
同級生も居れば、先輩も居る。
この連中が、手に負えない。
何故か。
彼らは、ヤジを飛ばしてくるからだ。
”たれ目ちゃ~~ん!”
”風呂、入ったか~~~”
そして、驚くことに教授までいたことがあった。
”授業にも出ないで何やってる!”
これにはマイッタ。
そのまま逃げたくなった。
時にはゲリラで、駅の前でも演らされた。
夕方のラッシュ時。
通勤帰宅者がワンサカ降りてくる。
そこで、ギター一本持っていって演った。
皆、ジロジロ見ている。
何しろ、ストリート・ライブなんて無い時代である。
恥ずかしいのが通り越して、情けなくなってくる。
中には、乞食と間違って、小銭を置いていく人もいた。
コレには、ビックリ。
ショックというよりも、嬉しくなってきた。
”ラッキー!”
心の中で、つぶやいた。
俺は、この時”味をしめた”のである。
”明日も、ここで演る!”
・・・・・つづく。