Takeda's Report

備忘録的に研究の個人的メモなどをおくようにしています.どんどん忘れやすくなっているので.

ヨーロッパ3カ国周遊(?)その1(Yahoo!, AIFB, DFKI)

2007年09月04日 | 会議参加記
6月にスペイン、ドイツ、オーストリアを2週間ほどで回りました。発端はオーストリアでの会議参加でしたが、せっかくならというのでいくつかの研究所を回りました。
以下はそのときの記録です。研究所では出張が終わると出張報告を書かないといけないのですが、それが元です。書いているうちに報告書に書かない(書けない?ってほどの話はないけど)こともでてきたいので、こちらに書いておきます。

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今回は(というか今回も)、産総研のM氏と研究所訪問+国際会議ツアーにいきました。いつもと違うのは、同じく産総研のN氏とN氏(なんだかわかりませんね、これじゃ)、それから現在DFKI滞在中のM君が一緒の大部隊だということです。

まずバルセロナにあるYahoo! Research Europeにいきました。ここにはVUでDをとったばっかりの友人がいるので、そのつてできました。こちらか1時間程度のプレゼンテーションを行いました。その後、いくつかの研究をみせてもらい、議論を行った。この研究所は比較的新しく、ここ1年ぐらいで研究スタッフが整備されたということであった。まあこういう研究所なので全貌はよくわからない(教えてくれない?)のですが、これからさらに拡張して、ヨーロッパでの拠点として機能するそうです。

ちなみにYahoo! Research Bercelonaは実は駅舎の中にありました。とまっていたPark Hotelのすぐ近くだったんですが、迷いました。まさか、駅舎の中にあるとは思わなかったので。

スペインは昨年のサンセバスチャンに次いで2回目です。さすが大都市で、さっそくM君がトリックプレイにひっかったそうです。鳥の糞をくっつけられました。でもそのまま逃走?したので、なにもなかったそうでよかった。
スペインの居酒屋のつまみは日本人にあって大変おいしい。沢山並べてあって一皿一皿勝手にとって食べる。回転しない回転寿司といったところでしょうか。で、会計時にちゃんと覚えているのがえらい。


次にAIFB(Institute of Applied Informatics and Formal Description Methods)を訪問した。AIFBはカールスルーエ大学の物理的にも組織的にも内部にあり、研究スタッフや学生も大学も兼ねているようであるが、資金的には別で基本的に外部資金を元に運営されている。ここではProf., Dr. Rudi Studerのグループの研究内容、研究体制を研究員のDr. Pascal Hitzlerから聞き、議論を行った。StuderのグループはAIFBの研究チームとFZI Research Center for Information Technologiesという別の研究グループ、さらには ontoprise GmbHという会社の3つのグループを率いて、各種のプロジェクト資金をえて運営している。RudiのグループはESWCの準備とプロジェクトの発表会を来週に控え、超忙しい状態だったよう(これはあとのDFKIも同様)。面白かったのが、研究遂行体制で、多数のプロジェクトをもっていて、人員は基本的にプロジェクトごとに割り振られているわけだが、それとは別に研究トピックスごとにリーダーとグループのようなものがあって、共通のトピックスの推進はそこでしているらしい。たとえば推論技術は推論技術に関係するプロジェクト横断型で進めるといったぐあい。これはよく会社のマネージメントで言う縦糸と横糸によるマネージメントと同じですが、これを研究組織できちんとやっているのはすばらしい。

夜はなぜかカールスルーエでDFKIのProf. Anthony Jamesonと夕食。彼は忙しくて明日DFKIで会えないということで、わざわざここで会ってくれた。季節柄ドイツ人が大好きという白アスパラガスを食べる。確かにおいしいのだが、これを10本近く食べるとさすがに飽きる。


次にDFKI(The German Research Center for Artificial Intelligence)を訪問。ここでは所長のProf. Wahlsterが直々に対応してくれた。M君によるとこれは異例のこと。しかも昼を一緒に食べる予定だった。にもかかわらずM君の手違いにより、なんとすっぽかし。M君と一緒に学生食堂で食べている間、所長はじっと待っていたそう。これはやばい。しかし、彼はとても丁重にもてなしてくれました。感謝。

彼はNIIのInternational Advisory Boardのメンバーでもある。ちゃんと彼のWWWページに書いてある。以前は産総研のサイバーアシストセンターのそれでもあった。なので、メンバーはみな関係している。ということもあって、我々のTalkの前ではちゃんとNIIとDFKIの関係を説明してくれたりした。我々はまた1時間ぐらい話をした。このときは30人ぐらいきていて、結構まじめに聞いてくれて、質問もあった。

あとはひたらすらデモのオンパレード。最初は画像処理と地理情報の組み合わせのデモ。技術的にはたいしたことないが、これをBMWのバイクの載せるという。これは見てみたかったが、プロジェクトの発表会が来週あるというので、そっちへもっていったそう。残念。
それから次々デモ。M君もはいっているSharedLifeのデモ。SharedLifeプロジェクトではリアル世界をセンサで検知して、それをうまく組み合わせて人のサポートをするというプロジェクトらしい。CDを好みに合わせてリアルに注目させてくれるとか、キッチンでの作業をセンスしたりシーンごとに自動録画したりして、キッチンでの作業をサイバー世界に取り込んでくれ、かつサジェストしてくれたりする。
同様のコンセプトで、RFID、赤外線をセンサーとしてPDAを端末にしてルートのサジェストをしてくれるシステムとかもあった。

あとで述べるようにプロジェクトベースでおこなっているせいか、画期的なシステムというよりは既存の技術で確実な進捗をするシステム作りといった印象。実用システムと研究システムの中間ぐらいで、確かに実用システムとしては効果が未知数で投資しずらい、研究システムとしては研究者自身がつくるには面白みがないあたりを堅実につくると。でもそれも研究と実用を結びつけるリンクとして重要だなと思いました。この辺の研究開発のコントロールも日本の研究組織ではあまりできていないので参考になると思いました。

DFKIは先のAIFBと同様で基本的に外部資金で運営されている研究所だそうです。なので、多数のプロジェクトに参画している。Wahlster氏はそうとうやり手でいまどんどん研究所を拡張しているらしい。つい先日はリコーとの共同の研究所を新たに立ち上げたとか、宇宙関係の研究を新たにはじめたとか、相当の勢いである。

これで研究所訪問はおしまい。

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