もう一つの 昭和・私の記憶

『 昭和・私の記憶 』 の、続編
吾生涯を物語る

追憶 ・ 淀川・大川・城北ワンド

2021年06月15日 | 追憶 ・ 淀川・大川・城北ワンド

故郷を放れずに

追憶
淀川 ・ 大川 ・ 城北ワンド
目次
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城北ワンド
・ 
城北ワンドのマドンナ 
・  
城北公園の猫 

毛馬の洗い堰
・  
爆弾池 1963  
・  懐しい風景 毛馬の洗い堰 1964 
・  
懐しい風景  関電倉庫 1970 
・  
懐しい風景 毛馬の洗い堰 1972 

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ホソの釣り人 ・ 「 記録 細腕会 」

2021年06月12日 | ホソの釣り人 1996~2006


その日の釣りを終えて、
竿納後

「 ホソでの顔なじみの皆が、たまには並んで釣りをしてみたいネ
  ワイワイ言いながら 」  「 やろうよ、ハナチャン 」
「 良いですね、やりましょう 」
・・・リンク→ホソの釣り人 ホソ腕会


発起人 ・ 田辺さん

 
初回  1998年1月3日                                    第2回  1998年2月28日
後列左から  的場  坂口  高浦  橋元  鈴木
前列左から  山崎  花田  畑  小林   撮影 田辺 

 
第3回  1998年4月19日                                               第7回  1999年7月4日
鈴木  植田  小林  山崎  畑  的場  畑さんの義理父
小林(茂夫)  花田  吉村  河野  撮影 田辺 ( 私と入れ替わり )

 
第6回  1999年1月3日        第13回  2001年7月15日


最終回  2003年1月12日

1998年 ( 平成10年 )
第01回  01月03日  優勝  花田  枚数
第02回  02月28日  優勝  小林、鈴木  同点  9番池  枚数
第03回  04月19日  優勝  花田  合計長寸
第04回  06月28日  優勝  小林  枚数
第05回  10月25日  優勝  吉村  一枚長寸
1999年 ( 平成11年 )
第06回  01月03日  優勝  吉村  一枚長寸
第07回  07月04日  優勝  的場  一枚長寸
第08回  07月25日  優勝  小林 (茂夫)  一枚長寸
2001年 (平成13年 )
第09回 ~ 第12回 の記録無し
第13回  07月15日  優勝  風呂迫  一枚長寸
第14回 ~ 最終回 の記録無し
2003年 ( 平成15年 )
最終回  01月12日  優勝  田辺  一枚長寸








左から
山崎さん  吉村さん  田辺さん  湯山さん  津波古さん  小林さん
撮影は花田

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ヘラブナ釣 り 「 私の シカケ 」

2021年06月11日 | ホソの釣り人 1996~2006



竿
    
私の竿
「 並継ぎ竿 」 17尺 の 中硬の 先調子
一年を通して使用する
但し、『 ホソ 』 での冬は 16尺を使用する

ウキ

私が 「 短いウキ が 好きだ 」 と、言うと
「 ハナチャン、気に入ったウキ あったら やるで 」
親分から 的場さんから  皆から、
手作りのウキ 頂だい した
・・・リンク→ホソの釣り人 私の好きなウキ

道糸



私のシカケ

ホソの水深は、せいぜい、3尺から4尺
・・浅い
私は、
「 トコ釣り 」 が定番
「 しかけ 」 は、
「 並継ぎ竿 」 の 17尺 ・100g の中長竿、
道糸は1.2号
ハリス 0.8号 30cm と 0.6号 23cm、ハリ は 4号 と 6号
カヤのパイプ浮きである
餌は、わたグル と 段差バラケ

私は、「オクリ」で、竿を振る

1時間から2時間、セット釣りを続け
釣果の度合いをみて、両餌を合せて練りこみ、両ダンゴに切り替える
「 上バリ 」 を 「 トコ 」 にして、7cmズラシ に
「 さあ、・・」 ここからが、私の釣り・本番
・・・リンク→ホソの釣り人 私の指定席

『 合せ 』 が強い私
種々思案の結果 洋々辿り着いた
クッションゴム
・・・リンク→ホソの釣り人 前に投げんかい!


「 しかけ 」 は
「 並継ぎ竿 」 の16尺 ・中硬の先調子、
道糸 が1号、ハリス が0.6号・30cm と 25cm
ハリ が 4号 と 5号 のヘラ鮒スレバリ、
カヤのパイプウキ
餌は、ワタグル、マッシュ1:1、
段差バラケ、軽サナギ、へらスイミー、
これらを、ミックス・ブレンドして両ダンゴにして ウワバリ とこの5cmズラシ
やっぱり  「 トコ釣り 」 である
・・・リンク→ホソの釣り人 巨鯉が釣れた
ハリス

フラシ 

本流で釣ったヘラをホソに入れる
ちょっとした、英雄気分に成れるのだ
「 わしら、ここに、ようけ入れたでー 」
フラシ ・・ ホソでは、自慢の為に使うのである
・・・リンク→ホソの釣り人 あんたもやってみい

七つ道具


エサ


     


ホソの釣り人 私の指定席

ヘラブナ釣り以前に使用の餌
サバ虫                               赤虫 と  サシ虫                   ミミズ  ( 麟太郎 )


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城北ワンドのマドンナ

2021年06月11日 | 追憶 ・ 淀川・大川・城北ワンド


振袖を チョイと持上げ
気分は、
『 粋な舞子はん 』
・・・なのであらう。
而も
足先まで気を配った 『 ポーズ 』 に
想わず 微笑んでしまった。

 
城北ワンド 9 番池の アオサギ
此処の釣り人とは 顔馴染み だから 人なつこ い
こうして撮影していても、 逃げることはしないのだ


城北ワンド  9 番池

釣り人がジャミ  ( ・・ ブルーギル ) を釣上げるのを、じっと俟つアオサギ
釣り人の放った 「 ウキ 」 を 見つめている

「 コーラッ おっさん 
手 放しとったらあかんやろ
たのむで しかし
なんや アタリ も ないのんか 」
・・・リンク→ 雨がふる・・のに

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城北公園の猫

2021年06月10日 | 追憶 ・ 淀川・大川・城北ワンド

「 ガハハ・・・ 」
親分の至福の笑い
ヘラブナを釣り上げた。

『 ホソ 』 での釣りは、斜面に坐る。
釣り上げると、
近くで遊ぶ子供らが、
臭いを嗅ぎつけて、覗きに来る。

「 アッチァ 行っとれ ! !  」
子供らに周りを ウロチョロ されて落着かない親分、
そう云って、追い払うのである。

「 あいつら、猫 ・・や 」


2005年1月16日 (日) 
城北公園
釣り人がヘラブナを釣り上げた。
さっそく、
「 臭い 」 ・・・を、嗅ぎつけた子供達。
釣り人と 微妙な距離をとって 覗いている。

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ガハハ・・・ 至福の瞬間 (とき)

2021年06月06日 | ガハハ・・・1996~2006

『 ガハハ・・・ 』
親分が
ヘラブナを釣り上げた際に発する
至福の笑い声である


目次
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序・そもそも
「 釣りをしたい 」
小学校4年生・10才の息子が云った
息子はカナヅチ
心配で心配で とても 一人で川に遣ることは出来ない
幼い頃より 釣りが好きだった私
それならと
息子と一緒に 私も行くことにしたのである

物語の始まり・親分との出遭い
そんな私の様子
遠目で観ていたのが 斯の 『変なオッサン』 であった
ゴールデンウィーク
「 (斜面) 直下に坐って しんどいやろ
 本気で 釣り するんなら  道具一式やるデ
 どないや? (本気で) するか?」
・・と 声をかけて呉れたのである
大人 ( おとな )
常連の心構え といい 名人技 といい
それはもう 感動であった
素晴らしいものを見せて貰った私
名人の 心意気を肝に銘じ
アイの日の釣り  止めることにしたのである
親分の真骨頂
「 後から来て 何スンネン 」
「 後から来たもんに  イカレとるやないか 」
「 タマタマや 」
「 あんたも 頑張らんかいな 」
「 腕は エエんやけど (今日は) 魚がワルい
   チェッ !!」
・・親分の口から
昭和30年代のギャクが飛出し
皆で もう大笑い
はくれんヤ はくれんヤ
「 はくれん ヤ 」
彼の大きな声が 14番中に轟く
竿は大きく しなっている
確かに 大物には間違いない
周りの
皆が注目して観ている
昨日は何枚
「 昨日 (土曜日) は 良かったでェ 」
「 ほんまかいや  で 何枚釣った ? 」
「 8枚ヤ 」
「 ホウ 8枚も あげたんかい 」
「 おう・・・ヘラが6枚 マブが2枚 後、鯉が3本に ニゴイ 一匹  ワタコ (わたか) が・・・」
「 フーン  そりゃ良かったなァ」
「 38.5 (cm) の オオスケ が 2枚上ったでェ 」
「 あと 36 が 3枚・・テノヒラが・・枚・・」
傘がない
あくる日
「 そやろ、火傷したやろ 」
「 あかん  云うたったのに  あんた聞かんのやから 」
「 自業自得や 」
・・
と 親分
「 ハナチャン この傘ヤルワ 」
・・

使い古しではあるが
釣り用傘ワンセットをプレゼントして呉れたのである
雨がふる・・のに
「 雨が降るのに ようやる 」
「 アホ ちゃうか 」
・・
と 散歩のギャラリー
すると
親分 いつも 名調子で応える
「 この雨ん中  わざわざ 釣りを見に来る アホも居(オ) る 」
「 どっちが アホやねん 」
「 わしら アホ とちゃうで 」
「  キチガイじゃ ガハハ・・」
盆も正月もあるかい
せっかくの夏休み
誰がじっとして居られるものか
15日とあらば
一等場所を自由自在に選べるのである
「 そんな  絶好なるこの機会を逃してなるものか 」
・・と 考える輩(ヤカラ)も存る
暑さでひっくりかえった親分
「おはよう」
「なにしてんねん」
なにしてんねん とは なにゆうてんねん
あんたを 待っていたのであろうが

どっちもドッチ・理窟はつけても
「 オッサン の 河か ! 」
・・と なまいき に
少年達
親分の ウキ に めがけ  石を投げ始めた
退屈の鬱憤をここで発散させているのである
どっちも ドッチ・ルール守らんかい
「 誰しも釣り したいやろ 」
「 他の釣り場みたいに 此処で釣りしたらあかんとは 云うとらへんのんや 」
「 (釣り場の台が) 空いとるんや 使こうたらええ 」
(但し)
「  此処には 此処のルールちゅうもんが あるんや 」
「 愉しゅう 釣り したいやろ 」
「 そやったら ルール守らんかい 」
「 それだけの事や 」
花よりダンゴ
「 倉さん マトモやったなあ 」
「 オウ 」
「 エエモン 拝ましてもろたな 」
「 オウ 」
「 あれ見たら ヘラの顔  もう見んでもエエナ」
「 ウン ヘラの顔  もう見んでもエエ 」
「 ガハハ・・ 」
二人の声が弾んでいる
サイナラ鯉さん
♪ さいなら  こいさん 
 しばしのわかれ  ああ・・ ♪
私が鯉を釣る度に口遊むこの歌
唄わば
赤川鉄橋を一人ゴチ 喋りもって 
帰って行った親分の姿
・・・想い出す
ガハハ・・・
「 ガハハ・・ 」
親分の至福の声が聞えてくる
親分 上(カミ)・ドンヅキで一人  『 ポンポン 』 釣り上げている
親分に腕自慢したギャラリー
「 なんや お前
   他人(ヒト) の 釣り見て 文句ばっかり云いやがって
   ワシは 25年 この釣り しとるんじゃ 」
「 能書き たれとらんと 竿もって来い
   竿持つて来て ワシの横で釣って見せてみい 」
風に乗って来ずとも 充分聞える親分の大きな声である
「 ワシに 喧嘩 売りに ここへ来たんか
   喧嘩なら いつでも 買うたるぞー 」
・・と 烈火の如く 怒りだしたのである
何お― !!
「 何枚 あがった?」
その詞を待っていた親分
いかにも 自慢げに 鼻高高に 而も威勢よく
「 4枚や 」
「 そんで あんたワ?」
「 8枚や 」
親分の顔から笑顔が退(ノ) いた
「 ホウ ( それだけあげたら ) エエヤンケー 」
上と下・・必ずしも 喰い が一致しない
「 今日は 下(シモ) の方が 良かったんやなァ 」
「 フッ  嘘や 噓や 」
「 ほんまは 3枚や 」
「 なんや ホラ かいな 」
「 そうや ホラ や 」
「 あんたの真似 したんや 」
ここで 皆が ドッと大爆笑
往生際のわるいヤツ
まもなく5時になります
5時になりますと  公園のゲートは締まります
お車の方はお急ぎ下さい・・・
夕方4時半になると 
こうして
公園のスピーカーから アナウンスが流れる

竿より 長いタマ
「 このタマに餌入れて 待っとったら ヘラ すくえるで 」
「 竿 いらんで 」・・と 皮肉った
すると 親分
「 そやな、竿いらんな 」
「 竿より長いタマ 持ってどないすんねん 」
「 ガハハ・・」
なんやオッサン 他人の釣った分 勘定するんかい
「 今日は何枚 あげた?」
・・と 私の問いかけに
「 マブ(まぶな) が 2枚  アイ(あいべら=まぶな×へらぶな) が 2枚 」
「 へら(へらぶな) が 4枚 」
「 クラさんに替わってやったのが 1枚 」
「 9枚や 」
これに
隣の釣り人・藤さん
驚いた
「何やオッサン! 」
「他人(ヒト)の釣った分も 勘定するんかい 」
コイさんには もう懲り懲り
帰宅して娘に 70㎝ の大きな鯉を 如何に釣りあげたかを 自慢すると
「 70 ㎝ の大きさって どのくらいナン?」
「 おとうさんの 足の長さ と おなじくらいャ 」
「 フーン ・・じゃぁ たいしたことないヤン」
・・だと
クリスマスプレゼント
クリスマスイブ
吾家族は シャンパンで乾杯した
翌朝
気の抜けた残りもんの シャンパンを見て
「 (エサを溶く) 水の代りに使用したら・・ 」
・・そう 閃いた
氷が張った日の物語
朝 目が覚めたら 氷 張っとんねん
釣りに来るもん 誰もおるかい
ガハハ・・


中入り
究極の暇つぶし

かっこう を つけて
言うと
人生そのものが
暇つぶし
なのかも知れない・・なあ

ナンヤ自慢しに来たんかいな
ウップルーッ
しばれるねえ
冬は寒いから 釣れないんだよね
ナニッ 釣れたァ?
大根かえせ
淀川・城北ワンドの百姓(?)さん
「 わし等が 一生懸命に作った野菜  泥棒して持って行きよる 」
・・と 彼等は そう嘆いているそうな
そして
「 悪い奴等が居る! わしの大根返せ!」
・・と 息巻いている
のだ そうな

お池にはまって さあたいへん
ドッボーン
・・と
大きな音がしたであろう・・が 私には聞えなかった
頭は水の中
落ちたのだ
親分と巡礼した二代目
「 また  アホ が一人 増えよった 」
「 ワシ等 アホを通り越して キチガイ やけどな 」
「 ガハハ・・ 」
彼をサカナにして  親分 頗る機嫌が良い
「 あの場所  空けといたろなぁ・・」
・・と
親分 新しい仲間の誕生と 彼を喜んで迎えたのである
友遠方より来たる
「 ドナイ?」
「 オー 珍しい顔やないけ  生きとったんか?」
「 長いこと顔見んから 心配しとったんど」
「 おおきに おおきに 元気でおま 」
「 で あがっとるんか?」
「 あかん  ヘラ ニッチョ(日曜日)や 居らん 」
「 ジャコ 動かん のんや 」
「 動かんジャコ 釣るンが プロや、ガハハ・・」
カモ釣って どないすんねん
「 かわいそうな事をした 」
・・と 悔やんでいた私に
隣で  一部始終を 見ていた親分
「 カモ釣って どないすんねん」
「 ガハハ・・」
・・だと
ヘラ一枚に命かけて どないすんねん
合わせて シマッタ
釣ったは 嬉しい・・・さりとて 雷も恐い
釣り上げるには竿を立てねばならぬ
どうすりゃいいのさ・・思案橋
竿を横に傾けて引っ張るも
やはり タマに納める瞬間は どうしても竿を立てねばならない
「 立てねばならぬ 妙心殿 」
勝利の女神は意地悪
「 ホソでの顔なじみが たまには並んで釣りをしたいネ 」
「 やろうよ ハナチャン 」
「 良いですね やりましょう 」
・・と 二つ返事
my スタイル
『 何枚釣った 』
・・かと 言うよりも
如何に半日を 機嫌よく過せたか
こちらを 大切にして 釣りを楽しんでいる
そういう人も存るのである
ミミズもカエルも みなごめん
「 チリ紙は いっつも持っとくんやで 」
「 イツ・ドコデ 使うか判からんからな 」

師匠である親分の訓えである
暑いのに ようやるわ
これから
釣りを終えた私は  家に帰ってシャワーを浴びる
昼食をとって  冷房の効いた涼しい部屋で暫らく昼寝をするのである
へらぶなを釣る夢を見ながら・・
方や 親分
私と入れ替わりに 釣りを始めるのである
選りにも選って 真夏の炎天下
・・・
「暑いのに ようやるワ」
へぇーっ
偶々 通りかかった散歩の人  私の後ろで立止った
気まぐれに 私の釣りを見ている
「 アタッタ!」
反射的に 手がうごく
「 ノッタ 」
型の良い 尺上があがった
「 今、アタリ 有った?」
「 有りましたよ 」
「 微妙なアタリ なんやなぁ  ここからやと 判らんかったわ 」
「 ヘラ(のアタリ) は そんなんかいな 」
「 ヘェーッ 」
ひとはだ 脱いだのは親分
親分
鎌を口に咥え、さっそうと 泳いで行く
それは 鬼平犯科帳・鬼平こと 長谷川平蔵の捕物劇中に視る
颯爽と 十手を口に咥え刀を抜く 名シーンの如く
なんと恰好が良かったことであらうか
天狗の鼻 高々に
昼食を済ませると
眠気がきて  ウトウト
決って 釣りの夢を見る
その シーンは ウキ に アタリ
 !! 
夢の中で アタリ に合わせている
その手の動きで目が覚めるのである
最終回 宴の後
親分
どこでどうしているのやら・・
今や
「 ガハハ・・ 」
聞くことは無い
♪ どこへいったのよー
戻ってきてよ ネエあんたー ♪
アンコール・なめとったら アカンド

ホラは吹く 
大声で お喋りである
騒がしい  喧しい
挙句に大声で以て歌まで唄う
柄は悪いし 口は悪い  だれかれと見境なく 喧嘩はする
もう 支離滅裂なオッサンである
『 吾は ヘラブナ釣り師 』 と プライドだけ人一倍 高いから 始末に悪い
周りの者からしたら それはもう 困ったものなのである
なれど 憎めない愛嬌があり
何と言っても 面倒見の良い親分肌である
是も彼も 親分の為人(ヒトトナリ)               
悪い事も
良い事も
全部ひっくるめて  これぞ親分
それでいい
私は
こういう 変なオッサン
大好きである

斯の物語は
倅と共に釣りを始めた1995年から 親分が退場する2006年までの11年間の想い出を
現在進行形の物語として描いたもの
フト 想い出した時に 想うが侭に 作文 したのである
従って  何年の 何月の 何日の 出来事 かは 順序だってはいない
それは  さほど 大切でないのである

すべて  1996年~2006年 の 所謂・『 あの頃 』 の事・・それで良いと考えた

私の生涯に於て
斯の 『 親分 』・・との 出逢いは 全く稀有なケース
倅が 「 釣りをしたい 」・・と 言い出さなければ 無かったのであるから
一期一会の
人と人との出逢い
人生に於て これは 當に 『 宝 』
『 縁(エニシ) 』・・とは
異なもの味なもの
・・である
コメント

アンコール・なめとったら アカンド

2021年06月06日 | ガハハ・・・1996~2006

よせばいいのに
11月の末
そろそろ 葦原側に冬用の釣り場を開拓せねばと
私と風呂迫さんとで
ホソ・上(カミ)の ドンヅキ近くの場所を選んで
枯れた葦を刈り取って 二人分の釣り場をこしらえたのである
「 親分にも入ってもらおう 」・・そう想った

次の土曜日
親分は まだかと  ホソ・上で待つも親分 いっこうに来ない
何処で釣りをするにしても
必ず 一度は顔は見せるのに  今日に限って姿を見せないのだ
おかしいな・・と 想い  ホソ・下を覗くと
親分
一等場所の釣り場に唯一人 腰を据えているではないか
普段は一等場所を敬遠する親分である
クリーク越しに 私の顔を見るや
「 おはよう 偶々あいとったんや  今日は此処や 」
「 おはようさん 」
「 一緒に這入ろう想て カミに 釣り場作りましたんで 」
「 ほんまかいや  そりゃ ごくろうさん ごくろうさん 」
「 今度 入らして貰うわ 」
「 あんたも  此処(親分の隣り)で やりなはれ 」
・・との 親分の誘いに乗り
私は  隣りに腰を据えたのである
 
下の一等場所
コンクリートの斜面にへばりついた浮草が大きくせり出して、
ヘラには恰好の隠れ場所になっている

寒い冬場は、この浮草の下に居付くヘラを釣るのである
大きい浮草の為河巾は狭く、竿はせいぜい12尺~15尺
早いもん勝がルールのホソ
従って滅多に有り付けない、人気のある釣り場であった

私は 親分と同じく 15尺の竿 を出した
なにせ 普段なら 入りたくとも 入れない 人気の一等場所
「 イザ 釣らん 」・・と 意気込んだ
ところが
しばらくしたものの  釣果がない
偶にアタリ はあるが  釣り上げるまでには至らないのである
時合が来ないまま  昼時になった
「 腹へったな 」
「 今日は弁当持って来てないんで これで帰りますワ 」
そう言って 納竿しようとすると
「 なんや 帰るんかいな 」
・・と 親分 つまらなさそうに言う
「 カバンあけて見ィ (中に)パンがあるから  それ食べてエエデ 」
「 遠慮せんでエエデ 」
・・
と 親分
親分の
カバンにはパンが 3つ入っていた
私は 数からしてそれらは てっきりおやつだと想った
私は袋入りのフレンチトーストの食パン一つを取り出して食べたのである
「 それだけでは、たらんやろ 」
「 わしは エエネン  さっきようけ食べたから  もう一つ食べてもエエデ 」
私は
遠慮はしたものの
親分 一人になるのが嫌で (私を)帰らせたくないもんで そう言うとるんやな
・・と そう判断した
それなら 」・・と  もう一つ貰った
そして  そのまま腰を据えて釣りを続けたのである

しばらくすると アタリ が 出る様になった
「 やっと 時合がきたで 」・・と 親分
ところが
然し アタリはあっても 釣れない
ノッタ かと想うと スレ バラシ てしまう
「 チェッ またか 喰いが浅いんじゃ 」・・と 親分がボヤく
親分 もう 3枚も バラしている
フラストレーションが そうとう溜まっている様子である
そんな時  私が先に一枚上げた
「 先にあげて どないすんねん 」・・と 親分のいつもの口調
ここんとこまでは 御機嫌麗し・・であった

 14番の中井さん
そこへ
14番での釣りを終えて帰宅する 陣笠の中井さんが 河を挟んで向う正面に自転車を停めた
「 どないや?」
「 あかん、スレばっかりや  ボーズや 」
「 そうかいな  今日はきびしかったからな 14番も全然あかんかったで 」
「 ハナチャン、あがったんか?」
「 1枚あがりましたワ 」
「 ホー あげたんなら優秀やで 」
ここで
よせばいいのに
私は
ここが違う・・とばかりに
左腕を掲げ右手の指を差したのである

晩秋の日暮れは早い
アタリ も途絶え
以後 釣果も無く  フラストレーション溜まった侭に 納竿となった
私は
ホソ・上の 開拓した釣り場に親分を案内した
「 明日 此処で 並んで釣ろう 」
・・そう約束して この日は別れたのである

分の素顔
明くる日(日曜日)
昨日のパンのお返しの昼食も ちゃんと用意して 風呂迫さんと共に親分を待っていた
彼は新しい釣り場での釣りを見たいと ギャラリーとして私の側に付いたのだ
日曜日とあって 既に大勢の釣り人が腰を据えている
すぐ側の浮草の一等場所には  的場さんも 長老と共に竿を出していた
そこへ
いつものとおり  にぎやかな声が聞こえてきた
「 オッ 来た来た 」
いつものとおり  釣り人に挨拶しもってやって来る
私はてっきり この釣り場に来るものだと想っていた
然し 世の中と親分
私の想い通りには ゆかぬ
赤川鉄橋を越えてホソ・上(カミ)の中間辺りで 自転車を停めて喋りだした
「 あんた、昨日 下(シモ)の 一等場所入ったんやてな 」
「 どないやった? 何枚あがった?」
「 どないもこないもあるかい 昨日はえらい目におおた 」
「 ハナダのアホ  わしの昼飯 みな喰いやがんねん 」
「 腹へって 釣りになるかい 」
「 昼飯持って来てへんゆうから わしのカバン中にパンあるから それ食うてもエエ ゆうたんや 」
「 後で 喰おう想うて カバンあけたら なーんもあらへん 」
「 みな 喰いやあがんねん 」
「 なんぼ やる・・ゆうても 普通は遠慮するもんやで・・ナア 」
「 くそっぱら立って くそっぱら立って 昨日は寝られへんかったわ 」
「 もう あんな奴の顔 見とうもないわ 」
・・と まあ
もう 堰を切ったかの如く
云うわ 言うわ
姿 見えねど声髙し
その大声は ホソ 一帯に轟きわたったのだ
なんとまあ
それはもう
悪口雑言の数々・・言いたい放題
よくもまあ
これだけ人の悪口を言えるものである
「 ワシ等 おらん時はあんな風に言われとるんか 」
・・
と 的場さん
横で風呂迫さんも 笑っている

ハハーン 昨日の あれやな
私はピン ときた
よせばいいのに 私は
ここが違う・・とばかりに
左腕を掲げ右手の指を指した
親分
此れが気に入らなかったのだ 
そして  我慢が ならなかった
『 吾はへらぶな師 』 と 豪語する親分
彼のそのプライドを傷つけたのだ
悔しゅうて 口惜しゅうて この欝憤 どうして呉れよう
『 江戸の仇を長崎で 』
・・と ばかりに
そのウサを はらしているのである
「 ワシを 誰やと 想う とんねん 」
「 なめとったら あかんど 」
これぞ
まさしく
親分の真骨頂
・・なのである

・・と
ここまで
親分のこと  散々 物語って来た
「 オイ ええかげんに せんかい 」
・・と
親分の 声が聞えて来そうである
名残は尽きない けれど この辺りが 潮時
親分の素顔の素

トドの詰り に 物語って
『 ガハハ・・ 』
これで
お終い

竿納め
 
私の師匠・親分
ホラは吹く 
大声で お喋りである
騒がしい  喧しい
挙句に大声で以て歌まで唄う
柄は悪いし 口は悪い  だれかれと見境なく 喧嘩はする
もう 支離滅裂なオッサンである
『 吾は ヘラブナ釣り師 』 と プライドだけ人一倍 高いから 始末に悪い
周りの者からしたら それはもう 困ったものなのである
なれど 憎めない愛嬌があり
何と言っても 面倒見の良い親分肌である
是も彼も 親分の為人(ヒトトナリ)               
悪い事も
良い事も
全部ひっくるめて  これぞ親分
それでいい
私は
こういう 変なオッサン
大好きである



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最終回 宴の後

2021年06月06日 | ガハハ・・・1996~2006


コップ一杯 飲む酒も 
なぜか淋しい 今日の酒
外は冷たい 雨が降る
飲めば飲むほど 哀しくなるわ  涙流れる グラスの中に
悪い私を 叱ってあんた
どこへ行ったのよ
戻ってきてよ  ネェあんたー  ♪
・・・
的場さんの18番である 千昌夫の 「 あんた 」
皆が思わず 聞き惚れてしまう程 上手い
 飲み会

年に1度
釣り人仲間と 「 飲み会 」 を おこなっている
宴たけなわ 酔いも まわった頃
決って 始まる  カラオケ の ひと時  これに又 酔うのである
然し  意外にも ゲコ の 親分
折角の飲み会  一度も参加したことが無い

「 先生の 唄 皆に 聴かしたらな あかんな 」
「 (ワシは) NHKの 『 のど自慢 』 に 出たこともあるんやでー 」
「 ワシは 唄 うまいでェ  ガハハ・・」
・・と そう豪語したる親分
「 オッサンから  「 ヤル 」 云うて  自分の唄 吹き込んだ カセット 貰うたことある 」
「 なんや あんたもかい  俺もや 」
「 いらん言うのに もう 無理やりヤ・・なあ 」
・・と 是 語り種である
ところが 然し
私は親分の 『 のど自慢 』
一度も聞いたことが無いのである
残念・・・で ならない

想わば  斯の仲間
誰もが 親分を通じて
一人 一人 知り合った者ばかり
以来
『 釣り場は 皆が遊びに来る場所である
そこでは社会的地位も 職業も 年齢も 一切抜きである
皆 等しく 釣り人として付き合っている
それが 気楽で善いではないか
そういうものでなくては ならないと想う
遊ぶ時 他人に気を使わない だから楽しいのだと想う 』
・・と
釣り仲間 として 親しく付き合ってきたのである

仲間一同会しての競技会 
然し 
環境の変化は 競技会 ~ 飲み会 に替えた

宴の後
私の釣り場である ホソ
嘗て 此処には
ヘラブナ は 五万匹 存た
私にとっては それは 當に 『 楽園 』 そのものであったのだ
然し
時代は進化する
その過程の中  淀川の生態系も変化してゆく
2003年を境に
外来種である ブラックバス や ブルーギル が 淀川・城北ワンドを 席巻するようになった
彼等は 小魚である ジャミ を喰い尽くす
そして さらに
いつの間にやら 居つくようになった 川鵜
彼等は ジャミは おろか こともあらうに 成魚の フナ まで 喰い尽くす
 ←クリック
生態系が変るのは なにも水中だけでとは限らない
河川敷の葦原を伐採して 畑を耕作する者  野球場を造る者 ゴルフ場を造る者
等々・・不心得な輩(ヤカラ) が 葦原を侵食してゆく
而して
5万と存た ヘラブナ は その姿を消したのである
淀川の環境が大きく変わってしまった
これも 自然の成行というものなのであらう
     
滔々と 川は流るる
2013年9月16日の淀川大洪水
私の記憶からすると 1964年
以来のことである
斯の洪水
ワンド群に しつこいほど溜まった 菱藻 オオカナダ藻 ・・等々 ( 生態系を崩す外来種 )
みんな 流してくれた
自然の力は凄まじいものである
然し
凡て 『  ゴワサンで願いまして 』・・・とは いかないのである
ブラックバス、ブルーギル、川鵜、・・等々による被害により壊された淀川の生態系
直には 戻らないのである

あれだけいた、ジャミ、鯉、鮒
・・・今は
どれ程いるのやら
ホソ には もう へらぶな が いない
『 楽園 』 は もう 無い
・・・のである
一度 失われた生態系が甦るのに 25年の歳月が かかると言う
吾々の 環境も変わった
誰もが 歳をとったのである
もう 間に合わない・・・
あれだけ 通い詰めた親分も
姿を見せなくなった
そして
親分の退場と共に  私も 竿を 置いた
皆は
今なお
ヘラブナ を 釣っている
しかし
ヘラブナ が 存なくなった今
仲間の釣り人 が 一同に集うことは もはや無い
私も カムバック
することは 無いのである

親分
どこでどうしているのやら・・
今や
「 ガハハ・・ 」
聞くことは無い

♪ どこへいったのよー
戻ってきてよ ネエあんたー ♪




次回 アンコール・なめとったら アカンド に 続く
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天狗の鼻 高々に

2021年06月06日 | ガハハ・・・1996~2006

へらぶな釣り は オモシロイ 

私は 全ての休日に 『 心の洗濯 』 と称して 釣り に出かけた
それはもう 『 釣り三昧 』 の日々であった
それを
へらぶな釣りを始めて2年目の春から 3年間 続けたのである
「 ハナチャン、皆勤賞 ヤナ 」
・・と 皆にそう言われるほどに
赤川鉄橋から  ホソ を見ると
そこには必ずや 私の姿があったと 言う

未だ へらぶな釣りを 知らなかった頃
朝から晩まで ずっと座ったまま
雨降らば 傘 をさし
盆も正月もなく
釣りをしている姿を見て
「 あれはもう 病気やで 」
・・と
そんな釣り人を軽蔑していた私
『 明日は我が身 』
・・とは

よく言ったものである

 赤川鉄橋から観た 「ホソ ・上」 釣り人は私では無い

釣った へらぶな 5万匹
早朝5時半 ホソ に着くと
あっちも・こっちも  ヘラ の姿が見える
夜明直後は こうして浮いているのであらう
夏場の酸欠かとは思うが・・詳しくは分らない

一番乗りの私
いつものとおりである
昨晩 「 あれやこれや・・」 と 構想攻略を練って どこのポイントに入るかは決めている
1番乗り なら 1番ポイント
其処に他の釣り人が既に入っていたら 2番ポイント・・と 言う具合だ
とは言っても
あっちも・こっちも
ヘラ の姿を見ると やっぱり迷ってしまう
いつも そうである
然し 結局 構想どおりである
今日も ホソ・上 の 1番ポイント に入る
仕度も慣れたもの
15分で終える  随分と手際も良く成った
餌は
ばらけ が 段差バラケ
喰わせ  が わたグル と マッシュ1:1 の ブレンド
セット での  トコ釣り である
仕度の
間に  浮いていた ヘラ の姿は消えている

さあ 
釣り仕度は整った
「 今日も挨拶に来てや 」・・と 声をかけながら
台に腰をかけ  缶コーヒーをゆっくりと 飲み干すのである
果たして今日は どうであろうか?
逸る気持を抑えながら 腰かけた姿勢を正して
感動の第一投目
この瞬間の なんと心地良いことか
それは私だけの想いでないはず 釣り人 共通の想いだと思う
「 居る オル 」
一投目の雰囲気で判るのである
自分の間合いで餌を投ち替える  3投目でアタリが出る
「 あたったでー 」
胸がドキドキしている
「 ホソ 」 の ヘラブナ とは すっかり 馴染みになって 今や友達である
一節 沈んだ ウキ を合わせる
「 のった!」
キュンキュンと糸を鳴らして 竿をしならせる
・・・
オオスケ が来た

尺上 30cm以上の魚を オオスケと呼ぶ・・親分の造語である

「 1週間ぶり デス 」 と  挨拶に訪れた友達・オオスケ
「 おおきに おおきに  復来てや 」
・・と 丁重に口に餌を含ませ  リリース するのである
1枚 釣上げたところで一服
「 今日も調子が良い 」
もう
「 たまらんなァ 」
 ・
6時頃から 釣り始めて 5時間
11枚~20枚 釣り上げる
目標の数 15枚以上を釣り上げると
「 今日は このくらいに しといたら 」
・・と そう云って
11時半頃 竿納め して帰宅の途に就く
そして 帰宅途中
仲間の釣り人と 雑談しもって 午前の部の釣りを終えるのである

我家までは 5、6分 のところ
昼食を取りに一旦帰宅するのである
「 荷物、預かるヨ 」
・・と 皆は親切に言って呉れるが
家でゆっくりしてから  夕方に復来て 釣りを行うのである
昼食を済ませると
眠気がきて  ウトウト
決って 釣りの夢を見る
その シーンは ウキ に アタリ
 !! 

夢の中で アタリ に合わせている
その手の動きで目が覚めるのである

物語はこの位置

夕方は
独りで愉しみたい早朝釣り とは 趣向を変えて ホソ・下 に入る
下(シモ) は大勢が釣りをしている
仲間の釣り人と並んでの釣りをしたいが為である

「 ここ入らせて貰っても宜しいでしょうか?」
「 どうぞ、どうぞ 」
・・と 言って呉れた親分の横に座った
「 今日は、ドナイ?」
「 今日はエエデ」
・・と いつもの口調の親分
「 11枚あげたで 」
ウキ が 動いている
アタリ もある
ホラ でなく  本当に調子がよさそうである
「 ノッタでー 」
・・と 親分
「調子、宜しいなぁ」
「 ガハハ・・」
いつもの如く 嬉しそうに笑いながら 尺タマ で すくっている
!!
釣り始めて直ぐ
私にも アタリ が 来たのである
「 オッ! もう アタリ 来たんかいな 」
「 後から来て ポンポン 上げんといてやァ 」
・・親分 頗る上機嫌で話しかけてくる
ところが
親分の心配したとおりの  その ポンポン が 私に来た
釣れる 釣れる
そして
はやくも 入れ喰い に 成ったのである
すると
それまで アタリ のあった親分に アタリ が 無くなってしまった
偶に アタっても のらない
・・・ 」
親分の会話も無くなった
釣上げた私に親分
「 あんた、もう帰り!」 

この頃 どこの釣り場へ行っても どの時間帯に座っても釣れたのである
いつでも どこでも、釣れたのであるからして
「 ハナチャン 腕上げたナァ 」
・・と 師匠である親分に言わしめて
自分でも腕を上げたと思っていた
竿頭に成って
親分から 「 今日は天狗になってもエエデ 」
・・と そう言われて得意に成っていたのである
天狗に成っていたと思う

しかし それは
単に ツキ が巡っていただけのことであった
ツキ は いつかは落ちる
此れ  誰しもが経験することで
なにも名人に成った訳では無かったのである
皆は それを知っていた
でも
その勘違いこそが
私にとっての
ヘラブナ釣り の全て
・・であった
・・そんな気がする

次回 最終回 宴の後 に 続く

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ひとはだ 脱いだのは親分

2021年06月05日 | ガハハ・・・1996~2006

日没の早まる秋の夕暮
いつもの如く
城北ワンド群 ホソ~3番 を巡回しようと まず最初のホソを通りかかった
そこには
長身且つ 田宮二郎バリのイケメン・ウエゾラさん が 釣り場の手入れをしていた
彼は 普段から  ホソ・下 の 釣り場を手入れしている
河掃除 日除け 風除けの為の植樹
樹木の張り枝の伐採
まるで 管理人の如くである

「 ハナチャン  チョット手伝うて 」
「 浮草の塊を 下へ移動させるんや 」
ロープでくくった石を浮草の塊に引っ掛け 皆で引っぱって移動させると言うのだ
彼の呼掛けで
他の釣り人 も 加わった
3人で100m程 更に下側に移動させたのである
釣りたい・・との想い は 誰も同じなのである
これも 釣りたい一心 成るが故のこと
然し だからと言って
彼は 他の釣り場の だれかのような意地悪は言わない
此は ホソ であるからして
これで 冬場の釣り場が一つ増えた

夏場は斜面から葦原に向っての釣り
冬場は反転して
斜面足下の浮草に向っての釣りをするのである


親分の男気
ホソ ・上 私の指定席はいつも釣果が良かった
私の連れ 風呂迫さん
どうしても 釣果が欲しいと言う
だから  いつも
私の指定席を彼に優先させたが
それでも 彼は  想う様に釣果を出せないのだ

秋の夕暮
いつものとおり の 巡回途中
偶々 犬の散歩途中の彼と出遭った
彼は 釣り場の足下の浮草を 対岸の葦原のポイント側に移動させたいと言う
どうしても 釣りたいのだ
私は 自然の侭がいい・・と 常々 云って来た
然し 『 釣りたい 』・・と ひたすら こいねがう 『 連れ 』 でもある 風呂迫さん
彼の気持も 痛いほど分る
「 仕方ないか・・・ 」
私は 彼の希望を叶えて上げようと  ひとはだ 脱ぐ気になったのである
然し
とはいっても
二人では浮草の移動は適わない
そこに
偶々 通りかかったウエゾラさん 彼にも 手伝って貰うことにした
「 あなた 自然の侭がエエ・・そう言うてたんちがうの ? 」
・・と 彼がヒニクル

然し それが 連れの為に行う・・ことが分ると
「 うん エエヨ 」
・・と
快く 引受けて呉れたのである

そして もう一人
この日
唯一 ホソ・下 で釣りをしていた親分にも 声をかけた
「 オー エエデ 」
・・と
さすが親分である
 私の指定席
足下の浮草の塊を移動した

ウエゾラさんが
護岸コンクリートブロックの斜面にへばり付いている浮草の根を木杭を使って器用に剥がす
なかなか 堂にいったものだ
浮草は コンクリートブロック斜面からすっかり剥がれて 川面に浮かんだ
すると
「 ヨッシャー  後は ワシがやったろ 」
・・と
そう云って親分
何と パンツ一枚になって河の中へ入ったのである
そして
片手に浮草を引っ掛けたロープを持って 泳いで行く
水深1m足らずのホソ・上
普通ならば歩く・・・
親分
鎌を口に咥え、さっそうと 泳いで行く
それは 鬼平犯科帳・鬼平こと 長谷川平蔵の捕物劇中に視る
颯爽と 十手を口に咥え刀を抜く 名シーンの如く
なんと恰好が良かったことであらうか

私は向こう岸に周った
ウエゾラさんと風呂迫さんがこっちを見ている
ところが
偶々 この日は水位が高かった
然し 吾も
日本男児
怯んでなるものか
真夏ならいざ知れず
薄暗くなった秋の夕暮に 身体ごと浸かった親分の手前
靴が水に漬かるから・・ どうのこうの なぞと云ってはおれぬ
足首まで水に浸かって 河渕に立ったのである
そして 親分が運んだ浮草の塊の先を 河渕へ引き上げ 木杭をさして固定した
風呂迫さんが希望する釣り場に成ったのである
「 ようけ 釣ってやー 」
・・と 親分

私が 風呂迫さんの為に
ひとはだ脱ごうと 取りかかったこと
然し
その 私の為に
ひとはだ脱いだは 親分であった
「 そこまで やるか 」
・・と  感慨一入のウエゾラさん
「 恐れ入りました 」
・・と 親分の男気に もう脱帽
而して
「 ハナチャン  好かれているんやなあ 」
・・と
私の株も上がったのである・・から
もう
親分様々である


次回 天狗の鼻 高々に に 続く

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へぇーっ

2021年06月05日 | ガハハ・・・1996~2006

飽きるものか

こうして いつの間にか ギャラリーが後ろに立つ    ・・・上の指定席で釣る私

私は一人 ホソ ・上  に入っていた

そろそろ夕暮れ ジアイ が来る頃である
10m先
水面スレスレの
マチ針の頭程の大きさの ウキの一節を注視している
瞬きもせずに・・・


のんびり 散歩するには もってこいの季節である
夕暮には もう少し時間がある
偶々 通りかかった散歩の人  私の後ろで立止った
気まぐれに 私の釣りを見ている
「 アタッタ!」
反射的に 手がうごく
「 ノッタ 」
型の良い 尺上があがった
「 今、アタリ 有った?」
「 有りましたよ 」
「 微妙なアタリ なんやなぁ  ここからやと 判らんかったわ 」
「 ヘラ(のアタリ) は そんなんかいな 」
「 ヘェーッ 」

してやったり

私である

                                                                          冬場の釣りはきびしい・・7番の的場さん

ホソ・下
藤さん が釣りをしていた
「 どない?」
「 きびしいですわ 」
「 今日は 竿持って来てないんですか?」
「 今日は オフ ですわ 」
今日はギャラリーの私
暫らく フジさんの真後ろに立って 彼の釣りを見せて貰う事にしたのである
冬場  喰いは悪い
なかなか アタリ が無い
偶に有っても 極極 小さいのである
・・
「!」
藤さん 釣上げる
私は そのアタリ が 見えなかった
よそ見をしていた訳ではない
同じ様に ウキ を注視していたのである
しかるに ウキ の動きが判らなかった
「 今  アタリ 有った?」
「 有りましたよ 極極 小さいのがね 」
「 すごいね  名人技やね」
「 いえいえ 釣っている者と 後ろで見ている者との 集中力の違いですわ 」

『 集中力 』
さもあらん
そのとおりである
そして
もう一つ
アタリ・・を 見取る タイミング
『 アワセ 』
釣り人 各々 独自・固有の間合い というものがあって
自分の間合いで以て ウキの動き を見ているのである
つまり
ウキ の  どの動きを どう見るかによって 当然 合わすタイミングも 違ってくるのである
さらに
「 今日のアタリ は こんなんやで 」
・・と 親分が いつも言っている  ヘラブナの 『 アタリ 』
・・その日の その場所に因って いつも 違うのである
だから 今日の アタリを合せるタイミングは ココ・・と その日の釣りから判断するのである
勿論 負け惜しみもある・・が
藤さんが アタリを合わせた際 ウキの動きが判らなかったのは
こう言う理由 も 有るのである
然し このこと 釣り人しか分らないこと
「 へぇーっ 」

次回 ひとはだ 脱いだのは親分 に 続く
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ミミズもカエルも みなごめん

2021年06月05日 | ガハハ・・・1996~2006

「 チリ紙は いっつも持っとくんやで 」
「 イツ・ドコデ 使うか判からんからな 」

師匠である親分の訓えである


早朝の5時半
釣り場へ一番乗り
いつものこと・・・気持ちの良いもの
であるが然し
チョクチョク 困ったことも起きる
大便・・・
釣りの日の朝、起きるなり食事を済ませ、トイレに入る
 然し
「想い通りに事が運ばないのが常」・・・であらう
無理矢理 ふんばっても、もうちょっとのところで出ない
と いって
「一番乗りせずんば・・・」
ノンビリしている訳にもいかず たいていは見切り発車する
私は、自転車で通う
荷台に荷物を積んで 竿袋をタスキに担いで 釣り場へ向って奔るのである
軀を動かすは 適度の運動
決って自転車をこいでいるうちにモヨオシてくるのである
それが未だ途半ばなら テニスコート傍の簡易トイレで用を足せば済む
然し 釣り場について準備が全部終わった時分にモヨオスときがあり
此れが、クセモノ・・なのである
他に釣り人居れば、荷物を頼んでトイレに駆け込むことも適おう
然し なんと言っても 一番乗り
こういう場合は 反って仇になる・・・・のである

釣り仲間の風呂迫さん
いつも決って午前6時半頃頃 ハスキー犬の散歩がてら私の釣りを覗きに来る
間に合えば 彼に留守番を頼めるのである
・・・・が

もう、我慢ならん・・と
夏のある日
いつものとおり
5時半頃釣り場・私の指定席に着いた
逸る気持ちも愉しいと、手際よく準備を終えた
台を跨いで竿を振った
「 イザ 釣らん 」
然し 今日はいつもと違った
やっぱり モヨオシてきたのである
尻が痛い
「 困ったな 我慢できるかな 」
釣り道具一式置いたまま簡易トイレまで行けやしない
さりとて かたづける訳にもゆくまい
もう一度セットなんかできるものか
時刻は6時頃
「 風呂迫さん・・未だ来んやろな 」
他の釣り人も未だ誰一人顔を出さない
「 尻が痛い 」
チャント坐って居られない
もう 限界・・・と

釣り場とサッカー場の間
夏場のこととて 雑草がうっそうと生い茂っている
人影を蔽いつくすには充分の背丈である
路にも 赤川鉄橋も人影は無い
「 ミミズも蛙も・・皆ゴメン 」 


次回 暑いのに ようやるわ に 続く
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暑いのに ようやるわ

2021年06月04日 | ガハハ・・・1996~2006

真夏の土曜日 快晴
6時半から釣り始めて 1時間と45分が経過した
集中力も緩む頃合いである
ホソ・上 の ドンヅキ 浮草の有る一等場所
釣れないわけが無い  今日も調子が良い
  ドンヅキ 手前 風呂迫さん


6時半から、いつもの様に トコ で釣り初めた
3投目でにアタリをみて、直ぐに釣り上げたのである
7時半までの1時間に 10枚上がった
「 堪らんなー 」
・・・と、もう笑いが止まらない
7時半以降ペースダウン
この日の時合は、6時半からの 1時間だったのである
8時15分までの釣果は 3枚となった
疲れも出て、気の緩むのも仕方が無いこと
ここで、一服
小休止
やっぱし、暑い・・・
8時半ゴロから再開し 11時半頃竿納め
この日の釣果は 19枚
大満足して、帰途に就いたのである

暑いのに ようやるワ
日が高く成るに連れ 特有の西風(浜風) が吹く
だから 
傘を差していると傍から見ている程 暑くは ないのである
だけど・・やっぱり暑い
道路面より低い位置のコンクリートの斜面に腰を据えている
気温は有に 40度を超していることであろう
コンクリートのガードブロックには ギャラリーは 30秒も座れない
暑い処で ようやるワ  ここ 熱うて 座わられへんで 」
「 (コンクリート からの) 照り返しで 50度はあるな 」
「 目玉焼き できるんとちゃうか 」
「 よう やるわ 」
・・と ギャラリーは言う
私も そう思う・・・でも
釣れるもん 仕方おまへん
 
↓ 真夏の 7、8月 傘は必需品 サンカク
050807092
冷ヤー
真夏 (7、8月)
2 リットル容器のペットボトルに 水を9割入れ冷凍庫の中へ
一晩かけて氷にする
一日かけて作ったペットボトルの氷では 真夏と雖も 解けないのである
然し
早く解けて仕舞ってもいけない
つり始めから 2時間半 ( 8時半~9時 ) ~ 納竿 (11時半) 頃に 使用するのには
一晩かける・・が 頃合いが 調度 良かったのである
釣りをしている間に、カバンの中で解けた 氷水
これを 後頭部から首筋にかけるのである
そして
氷水を浸したタオルを絞って 汗を拭く
これが たまらなく気持が良いのである
でも 暑い のに変りは無い

午前11時頃
私が納竿の頃  親分がやって来る
「 暑いなぁ 夏は苦手や 」
「 やっぱり 冬がええワ 」
「 寒かったら着込んだら しのげるけど 」
「 夏は脱いでも 余計に暑い 」
・・と
いつもの様に 一人ゴチ を言いもって
暑い最中 釣り仕度を始めるのである
いつもの如く 暑くて なかなか 捗らない
「 暑いね 」
「 暑いなァ どんならんで 」
大柄な親分 人一倍汗をかく ( 人一倍水分も取る )
汗が額から 滴り落ちている
「 氷水、残っているけど 要る ? 」
「 頭から 掛けよか ? 」
「オー  頼むワ 」
帽子を脱いだ親分の頭に 氷水を掛けてやる
「冷やー ! 」
「 こりゃ、たまらんナ」

これから
釣りを終えた私は  家に帰ってシャワーを浴びる
昼食をとって  冷房の効いた涼しい部屋で暫らく昼寝をするのである
へらぶなを釣る夢を見ながら・・
方や 親分
私と入れ替わりに 釣りを始めるのである
選りにも選って 真夏の炎天下
・・・
「暑いのに ようやるワ」

次回 へぇーっ に 続く

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my スタイル

2021年06月04日 | ガハハ・・・1996~2006

ホソ・上
仲間と並んでの釣り
誰しも機嫌が良い

「オーッ まいど!」
・・と 田辺さん
いつも 一番後(あと)から現れる
そして いつも 『 殿 (シンガリ) 』  浮きが見えなくなるまで頑張るのである
午後からだと  良い釣り場は残っていないのに
況して
日も高くなって  『 ジアイ 』 も 悪いのに
「 もっと早く来れば良いのに 」
・・
は 彼との何時もの挨拶でもある

「 今日はどない?」
「 今日は(喰い) が良いですよ 」
上(カミ) で喰いが良い時 たいていは 下(シモ) は 喰いが悪い
「 横 入りはったら 宜しいのに 」
「 オオキニ  下の方も見て来ますわ 」
そう言って ホソ 下 へ
そして そこで腰を据えたのである
「 折角 一緒に(釣りを) しよう と 言っているのに 付合い悪いな 」
・・と 折角の善意を無にすると ボヤク
しかし  折角の善意が人様の自由を拘束するとしたら
それは 本末転倒の話しとなろう
彼は 皆と並んで釣る のが嫌いな訳でもないし
独り を 選っている 訳でもない
善意を押付けては 折角の善意が仇となろう
この日は 下の釣り場での釣り を
そして
何枚釣ったかということを気にしない マイペースの釣り を
彼は それが したかった
それを 愉しみ に 来たのである
唯 それだけのこと
だから
ご自由にどうぞ 』
・・それでいいではないか

ホソ には色々な釣り人が来る
釣り人の数だけ その色は 違うのである
『 へらぶな を 釣る 』
・・は 誰しもが持つ共通の目的
目的は一為るも
(釣りの)過程 で 各々の人生観が現れる
誰よりも多く釣って 「 ドヤ!」・・と 自慢したい人も存る
仲間と会うのが 何よりも 楽しみな人も存る
一人の世界で機嫌の良い人も存る
親分も存る
どれも ひとつの生き方
どれを選ぶかは ひと それぞれ
ご自由にどうぞ である
各々が マイペースに出来たら  それは素晴らしいことだと想う

                                                                                           11番でマイペースの釣りをする田辺さん(ギヤラリーは橋元さん)
『 何枚釣った 』
・・かと 言うよりも
如何に半日を 機嫌よく過せたか
こちらを 大切にして 釣りを楽しんでいる
そういう人も存るのである

私は と 言うと
風の吹く侭に 気の向く侭に 思うが儘に 気儘に
そして
「 ドヤ!」 と 自慢したい
それがいい

次回 ミミズもカエルも みなごめん に 続く
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勝利の女神は意地悪

2021年06月03日 | ガハハ・・・1996~2006

「 皆が集まって 釣りをしよう 」
・・と

口火を切ったは 田辺さん
その日の釣りを終えて 帰宅前のことである

「 ホソでの顔なじみが たまには並んで釣りをしたいネ 」
「 やろうよ ハナチャン 」
「 良いですね やりましょう 」
・・と 二つ返事

『 顔なじみ 』 と言っても 色々・・千差万別である

独りで釣るのが好きな人
釣ることよりも 連れと会話しながら釣りを楽しむ人
大きな声で 一人ゴチ 言いもって 釣りを楽しむ人
いろんな面々が
各々自分のペースで釣りを楽しんでいる
だから  一度に多くの釣り人が一同に会するは なかなか難しいのである
二人して 一考
惟いついたところが  釣り人の質(タチ)・・を つくこと
『 吾が一番 』
誰もが 己が腕を自慢したい・・
釣り人とは斯くの如きもの
そこで  『 競技形式 』 を 採ることにしたのである
これなら  めんどうぐさがらず集るに違いない・・と
但し  これは あくまで 『 親睦が目的 』 ・・と 確認しあって
田辺さんを発起人とし 皆に回覧すると  案の定  皆は賛同した
ホソで行う
腕自慢の会 『 ホソ腕会 』
かくして
行われることに成ったのである
・・競技範囲
『 ホソ腕会 』・・好評だった
一回 二回 三回・・と
回を重ねる毎に  参加人数も増えてくる

連れが連れを呼び 知らない参加者も増えた
だからと言って
「 参加したい 」
・・と 言う人 を 拒むわけにもゆくまい
しだいに
当初の目的と違って
競技会としての色彩いが 濃くなってゆく
とは雖も
『 和気あいあい 』 に 行われたのである

逃がした魚は大きい
第三回 ホソ腕会でのこと
幹事役の私は  3枚釣上げたところで
皆の釣り風景を撮影すべく釣り場を離れた

畑さん
せっかく釣上げた魚をフラシに入れる際 入れ損なって河へ逃がしてしまった
「 せっかくの魚  逃がしてどないすんネン 」
「 釣ったことにしといてエ 大きさは33cm・・やでー」
「 逃がした魚は大きい」
・・と 皆で大笑い
「 ハナチャン 余裕 やなあ 」
「 3枚釣って  もう優勝は決まり ヤナァ 」
「 イエイエ  優勝できるとは思っていませんから 」
「 どうです アタリありますか?」
「 アタリマセン 」・・と 田辺さん

撮影を終えて  自分の釣り場へ帰ってみると
ビックリ仰天
なんと  魚を入れていたフラシが 浮かんで漂っているではないか
しかも フラシの口が開いている
括りつけた ヒモが ほどけたのである

スワッ 大変
私の顔から血の気が引いた
魚はどうなった・・・
・・・一枚足らない
逃げられた・・・
「 他人の事笑らうとるから バチが当たったんや 」
・・そう 冷やかす 皆の顔が嬉しそうなこと

うららかなる春の半日は あっという間に過ぎる
制限 5時間の
終了時刻がきた
『 ボウズ 』・・くらって
「 居っても しょうがない 」・・と 一足早く 帰ったしまった者もいたが
各々がフラシを持って 赤川鉄橋下まで集ってきた
「 さあ 計測を 始めよう 」
全般的に釣果は良くなかった
計測の結果
最も多く釣上げて枚数は2枚
私と山崎さんの 2名だけであった
他は1枚が数名
同数であれば長寸の合計で決める・・が ルール
果して
私の釣上げた魚の長寸合計が僅かであるが 勝さっていた
ヒヤヒヤモンの優勝であった
「 あの 1枚 逃がしていなかったら  楽々 優勝であったのに・・ 」
やはり
逃した魚は大きい
・・様である

緊張の中 へらぶなを釣る・・という醍醐味を知った
釣ろうとして 中々 釣れるものではない
プレッシャーと焦り 優勝したいと言う 『 欲 』
それ等が アタリを合せる時 タイミングをずらす  餌をうち替えるタイミングをずらす
普段なら 釣れるものも  釣れなく成るのである


ここで ワイワイ言いもって計測した

風呂迫さんの長い一日
第13回 ホソ腕会でのこと
私の隣に坐った 風呂迫さん
開始早々 オオスケ を 釣上げた
一発長寸 ( 最長寸法 ) が 優勝・・今回のルール
メジャーテープ(非公式)で計測すると38センチのオオスケである
いきなり優勝候補である
3807110414rimg0012

 

 

 

 




「 これで 優勝は決まりやなァ 」

・・と 皆が冷やかす
然し それは 皆の本音でもあった
当人もそう想った
未だ 誰も釣上げていない
「 ハヨ、終わらんカナ・・ 」
・・と 風呂迫さん
彼の 気持ち 分らんでもない
とは 言っても  今 始まったばかり
終了まで 5時間 と タップリ あるのである

時間の経過と共に
あっちで
こっちで
一人
又 一人
と釣上げていく
「 40上(ガミ) 上がったでー 」
「 ホンマカイナ 」
「 上がったデー 」
「 (上がったけど)これは小さい 」
・・と 皆が 口々に言う
だんだん 賑やかになってきた
風呂迫さん  ソワソワ して  その一声一声に反応している
側にいて その様子が よく判る
彼はもう 気が気では無いのである
心配で心配で仕方がないのである
「 皆の様子 見に行く 」
・・じっとしておれず  とうとう  釣り場を離れて行ってしまった
心配なのは分るが そう簡単に 38センチオーバーを 釣れるものか

釣りの技量の差は無い
しかも竿の長さも決めて同じように釣っている
釣ったヘラの大小は 偶々の 運、不運
だから
いきなり釣上げた彼は 今日は 『 ツイテイル 』 のである
私は この日 ツキ が無かった
風呂迫さん 皆の様子を巡回して 帰って来た
未だ自分の魚が一番大きい・・と安堵して
「 ウロウロしていないで もう一匹 釣ったらどうですか 」
「 もっと大きいのが釣れるかもしれませんよ 」
「 そしたら 安心でしょう 」
釣り人・風呂迫さん ようやく釣り始めた
そして彼は 終了間際に 一匹 オオスケを釣上げたのである

終了の時刻が来た
皆がフラシを持って集まってくる
さあ 計測だ
誰も38㎝は上がっていないと言う
風呂迫さんが真っ先に フラシからヘラを取り出した
ところが
一番最初に釣上げた38㎝のオオスケ
5時間もフラシの中に入っていたものだから 尻尾(尾びれ)の端が千切れていたのだ
「 エーッ  シッポが 千切れとる 」
「 尻尾さえ 千切れとらんかったら  優勝やったのに 」
・・運が無い と 嘆いた風呂迫さん
しかし  やっぱり
この日の彼はツイていた
最初に釣った38㎝にはとどかなかったものの
終了間際に釣り上げたオオスケが僅か数ミリの差で この日の最長であったのだ
風呂迫さん 優勝したのである
因みに 尻尾の千切れたヘラは千切れてはいても 第3位長寸であった
「 アー  疲れた 」
・・と
しみじみ 呟いた
風呂迫さん

さもあらん
本当に長い一日
お疲れさん


                  風呂迫さん
競技会となると 誰もが 真剣である
緊張もする  必死になる
だから 誰も皆
5時間 釣り場から離れない 否 離れられないのである
オシッコ も 行けないのである
然し  そのワリには釣果が上がらない
普段の実力が出せないのである ・・そういうものである
そして 
それは もう 疲れた
半日で   2日分の釣りをしたほどに

次回 my スタイル に 続く
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