もう一つの 昭和・私の記憶

『 昭和・私の記憶 』 の、続編
吾生涯を物語る

はくれんヤ はくれんヤ

2021年04月28日 | ガハハ・・・1996~2006

クチコミで学ぶ
いつものところで
相変らず 釣りをしていると
周りの釣り人の会話が 風に乗って 耳に入ってくる
「 14番 一杯で入られへん 皆 朝の5時半から入っとるらしいな 」
「 あそこは 泊り込みの見張りがおるらしいで 」
「 台に荷物置いて よそ者 を入れん様にしとる 」
「 ここの台 わし等がこしらえたもんや  挨拶もせんで勝手に入るな・・云いよる 」
「 勝手に作っとるだけやないか 
  ここはお前等の土地とちがうやろ・・云うた 初めての人と 殴り合いの喧嘩に成ったそうやで 」
「 ほんまかいや 」
「 俺は気をつこうてまで遊びとないから 14番には行かへん 」
「 気を使わんで良い ここがエエワ 」
「 俺もそう想う 」
「 サンカク はどないや 」
「 サンカク は 最近 あかんみたいやで 」
「 6番が、よう上がっとるらしい、ええ型ばっかりやて 」
「 あそこは深い、3本 あるからなぁ 」
皆は こうして クチコミで 情報交換をするのである
私は
皆の声に耳を傾けながら
それらの場所すら知らない私は
「そんな、釣り場があるのか」
・・と
未知の世界に何かしらん ロマンを感じたのである

                                                                                                                                                        城北ワンド群
私の師匠である親分
なんだかんだ 言っても
面倒見が良かった

釣り人達の会話に出て来る 城北ワンド群の主な釣り場を彼が連れて行って呉れたのである
新参者の私
一人では 他の釣り場へはなかなか入り難い  勇気が要るものなのである
然し  ベテランの親分同伴だと そんな気を使うことも無い
噂の14番にしても
「14番の常連とは顔馴染みや
  あの小屋 わしも造るの手伝うたんや 心配いらん 」
・・
と ばかり
私には頼もしい師匠だったのである
( 後で判ったことであるが これは彼一流の ホラ であった )
親分の 尻に付いて
いろいろな 釣り場を周り
そこでの 釣り人達の会話を聞くことによって
その釣り場の ローカルなルール 釣り方等 諸々を学んでいったのである
私の顔も すこしずつではあるが 馴染んで貰える様に成ったのであるから
まさに 親分さまさま である


14番でのこと

親分 と、二人並んで 釣をしていた
いつものように 和気合い合いと
この日の私は 運がよく 調子が良かった
だから 会話も弾む

片や 親分 ( 自称 「 へらぶな釣り師 」 )  この日は調子が悪い
焦っている
新参者の私に負けたとあっては 彼のプライドが許さないのであらう
次第に会話も少なくなった

暫くして
「 ノッタ で 」
隣から声が上った
「 ヤレヤレゃ 」
いかにも、嬉しそうである
彼は釣上げた時は 素直に悦ぶ
「 ガハハ・・ 」
・・と 満面笑み
でもって至福の顔で笑う
それはいつも変らない
私は
その光景が たまらなく  心地好い のである

鯉ヤ
「ナンヤ、鯉かぁ」
「 ? 」
ん (これは) 大きいデ
鯉の引きではない
鯉なら いっきに横走りする
「 のっそり 」
・・と いう感じの引きである
「 はくれんヤ  はくれんヤ 」

Photo_25

 

 

 

私も
体長が1mもある大魚・はくれんが掛かった経験がある
アタリを合せた瞬間に横走りをする鯉とは違って
最初は 「 のっそり 」 とした動きをする
しばらくして
「 気付いたかの様に 」
横走りするのが特徴である
ズッシリ とした重さは 当に、大物を実感させるのである
「 はくれん ヤ 」
彼の大きな声が 14番中に轟く
竿は大きく しなっている
確かに 大物には間違いない
周りの
皆が注目して観ている
ゆっくり近づいてくるが  姿が見えない
大物が掛かった時は
高切れ (道糸が切れる事) をふせぐ為 いっきに引き寄せない
ハリスが切れるのを待ちながら
竿先を抜き取られない様 竿を立てて  ゆっくり引き寄せるのである

「・・・?」
どうやら 「はくれん」 では無さそうだ
で観ている私は その正体が何であるか  判った
観ている私より
竿を持って苦闘(?)している 本人が一番感じているはずである
いよいよ
水面に正体を現す
果たして・・

「何ヤッ 亀 カァ !」
尺タマ が破れそうな 超ド級のミドリ亀 であった
「 ガハハ・・ 」
親分・・もう、笑うしかない
二人で大笑い

次回 昨日は何枚 に 続く
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