もう一つの 昭和・私の記憶

『 昭和・私の記憶 』 の、続編
吾生涯を物語る

花よりダンゴ

2021年05月08日 | ガハハ・・・1996~2006

暦は中秋
暑かった夏も過ぎて
ようやく 秋という季節を実感する頃である
いつもの釣り場 ホソ に沿った路にも自然と 人通りが多くなる

                                                                                                                    毛馬クリーク
散歩の人 が立止まった
なんの あてもない  只の散歩である
しばらくの間の 暇つぶしに・・と
釣り を 覗いて見る気持ちになったのだ

足下にある ウキ に 目をやっている
すると

「 すまんけど、もうちょっと(左右)どっちかに 寄って呉れんかナ 」
「(姿)あんたが 影になって ウキ が 見にくい んャ 」
・・と 向う岸の釣り人から 声がかかる
大概のギャラリーが 釣り人と ウキ 一直線の正面に立つのである
是  釣り人にしか分らぬ事で・・・仕方が無い
「 アッ 気がつきませんで えらい スンマセン 」・・と
散歩のギャラリー
との そんなやり取りも  ホソ ならではの光景なのである

花より だんご
ホソ ・上 ドンヅキ
葦原側の一等場所
親分と相棒の倉原さん
肩を並べて  いつものように 和気あいあい 釣りを愉しんでいた
私は 彼等より 30m 下(シモ) のコンクリート斜面に腰を据えていた

そこへ
釣り場に現われた 二人連れの女性
河川敷を散歩しての帰り途なのであらうや 手にススキを握っている
きっと 持ち帰って活けるにちがいない
ふと
彼女達
斜面の水際に ススキの一塊を見つけた
スカート姿のパンプスを履いた若い方の女性(35~40才 ? )
路肩に立って ススキを覗いている
ところが ススキの足許には倉原さんのウキがあった
彼からすると 彼女とは真向かいにあたる
「 そこ、入ったらアカン 」
・・と
倉原さん
「 魚が逃げるから 入らんといて 」
釣りを知らない 況してや散歩の女性
ウキの存在に気付く筈もない
「 アッ すみません 」
・・と
引返そうとした  その時
「 カワイソウなことすんな 」
「 ススキくらい 採らしたらんかい 」
「 ドウゾ どうぞ ススキ刈りしてや 」
・・と 親分
「 なんやオッサン 今日は優しいんやな 」
「 いつもやったら あっちゃいけ・・・言うくせにな 」
「 ワシは女性には優しいんじゃ ガハハ・・ 」
「 オネエサン 慌てんでええからな・・気を付けて採るんやで 」
「 アッ  ありがとうございます 」
斜面の真上に立った女性
ところが
然し
彼女には斜面の勾配は惟いの外 キツく見えたのである
さもあらん
普段から斜面に慣れている吾々なら  立った侭自由に歩き廻れるものの
斜面は
初めての女性
況してや
スカート姿のパンプスを履いた女性  そう易々と斜面は降りれまい
然し いきがかり上  もう 引くに引けない
降りるしかないのである
一瞬立止まったものの 意を決したか
腰を屈めて膝を立て 片手を支えに 尻を着いた姿勢で降りて行く
「・・・・」
いかにも 危なかしい
然し その姿は
向う正面の二人からしたら 艶めかしい姿でもあった
そして
その姿勢のまま ススキに手を伸ばし刈り取ったのである
然も 更に
帰りは
軀を反転し 片手を着いて尻を突出した姿勢で昇った
「・・・・」
向う正面の二人
さぞかし
固唾を飲んで見ていた・・のであらう
私も女性の方ばかり見ていた
だから 鼻の下を伸ばしていたであらう・・彼等の表情
確認するまでには 至らなかったのである
路肩に立った女性
「おじゃましました たくさん釣って下さいネ 」
・・と、そう云って
刈り取ったススキを手にして イソイソと帰って行ったのである
 ←同じ位置で撮影のすすき
帰って行く女性に目を遣り
遠退いたのを確認した二人
堰を切ったように 口を開いた
「 倉さん マトモやったなあ 」
「 オウ 」
「 エエモン 拝ましてもろたな 」

「 オウ 」
「 あれ見たら ヘラの顔  もう見んでもエエナ」
「 ウン ヘラの顔  もう見んでもエエ 」
「 ガハハ・・ 」
二人の声が弾んでいる

あんたらだけ
・・・ええなあ


次回 サイナラ鯉さん に 続く
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