ホソ・上
仲間と並んでの釣り
誰しも機嫌が良い
・
「オーッ まいど!」
・・と 田辺さん
いつも 一番後(あと)から現れる
そして いつも 『 殿 (シンガリ) 』 浮きが見えなくなるまで頑張るのである
午後からだと 良い釣り場は残っていないのに
況して 日も高くなって 『 ジアイ 』 も 悪いのに
「 もっと早く来れば良いのに 」
・・は 彼との何時もの挨拶でもある
・
「 今日はどない?」
「 今日は(喰い) が良いですよ 」
上(カミ) で喰いが良い時 たいていは 下(シモ) は 喰いが悪い
「 横 入りはったら 宜しいのに 」
「 オオキニ 下の方も見て来ますわ 」
そう言って ホソ 下 へ
そして そこで腰を据えたのである
「 折角 一緒に(釣りを) しよう と 言っているのに 付合い悪いな 」
・・と 折角の善意を無にすると ボヤク
しかし 折角の善意が人様の自由を拘束するとしたら
それは 本末転倒の話しとなろう
彼は 皆と並んで釣る のが嫌いな訳でもないし
独り を 選っている 訳でもない
善意を押付けては 折角の善意が仇となろう
この日は 下の釣り場での釣り を
そして
何枚釣ったかということを気にしない マイペースの釣り を
彼は それが したかった
それを 愉しみ に 来たのである
唯 それだけのこと
だから
『 ご自由にどうぞ 』
・・それでいいではないか
・
ホソ には色々な釣り人が来る
釣り人の数だけ その色は 違うのである
『 へらぶな を 釣る 』
・・は 誰しもが持つ共通の目的
目的は一為るも
(釣りの)過程 で 各々の人生観が現れる
誰よりも多く釣って 「 ドヤ!」・・と 自慢したい人も存る
仲間と会うのが 何よりも 楽しみな人も存る
一人の世界で機嫌の良い人も存る
親分も存る
どれも ひとつの生き方
どれを選ぶかは ひと それぞれ
ご自由にどうぞ である
各々が マイペースに出来たら それは素晴らしいことだと想う
11番でマイペースの釣りをする田辺さん(ギヤラリーは橋元さん)
『 何枚釣った 』
・・かと 言うよりも
如何に半日を 機嫌よく過せたか
こちらを 大切にして 釣りを楽しんでいる
そういう人も存るのである
・
私は と 言うと
風の吹く侭に 気の向く侭に 思うが儘に 気儘に
そして
「 ドヤ!」 と 自慢したい
それがいい
・
次回 ミミズもカエルも みなごめん に 続く
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