もう一つの 昭和・私の記憶

『 昭和・私の記憶 』 の、続編
吾生涯を物語る

氷が張った日の物語

2021年05月20日 | ガハハ・・・1996~2006

冬の釣りは厳しい
極寒の冬
淀川本流 城北ワンド 城北公園 どこへ行っても 冬は 釣れやしない
唯一 ホソ (下) のみは 少しは釣れた
釣れるとは 言っても  たかが 2、3枚程度である
然し それだけあげれば 悦んでいるのであるからして
一枚釣り上げるのは真に厳しいのである
だから
『 冬は 釣れる場所を見つけ 自分の場所として確保する 』
是が 釣り人共通の関心事なのである

              親分・・サンカク
休日   祝祭日 盆休み 正月休み と 一年中 釣り三昧の親分
土日はモチロンのこと 連チャン である
土曜の夕暮
いつものところでいつものように  親分と並んでの釣り
そこへ
「 どない?」・・と 小林さん
上機嫌の親分に 声をかけた
彼は 毎週 日曜日に 釣りをする
 『 釣れるところへ 入りたい 』・・は 誰しも同じ
明日 入るところ を 探索とばかりに 釣り場を巡っているのである
「 アカン  アタリ・・あれへん 」
「 何枚 あげた?」
「 クソ ボウズ や 」
アレッ?
さっき 通りかかったギャラリーには
「 アタリ あるでー 」・・と そう言って
「 6枚 アゲタデー 」・・と いつものように 『 ホラ 』 吹いていたのに・・・
「 そうか・・あかんかー 」
小林さん  そう云って 去って行った
その気配が消えるや否や
「 あいつは 好かん 」
・・と 親分
例によって
一人ゴチ
「 あいつには 何枚釣った・・云うたらあかんど 」
「 他人(ヒト) の 入った後 入った後  入りよる 」
「 ワシが 何ベンも  ボウズ くろうて やっとこさ 釣れるようにしたんじゃ 」
「 さあ これからが楽しみや想うて来たら  もう 入ってくさる 」
「 オッこらー 」
「 自分で 釣れるところ 開拓せんかい・・云うたってん 」
・・また 大きな声で

『 釣れたところへ 続けて入りたい 』・・も 誰しも同じ
早い者(モン) 勝 が 釣り場のルール
だから 同じところへ 続けて入る のは なかなか侭ならない・・ことなのである
「 夏やったら  何処でも釣れるワイ 」
・・と 親分が言う程に
夏場は さほど 気にもかけない このこと・・も
殊 厳しい冬場となると  そんな 心の余裕も 褪せてしまう
『 人の業 』・・と 言うもの
なかなか  厄介なものである

                                             冬場の釣りは厳しい・・・けれど それでも やめられない  9番で釣りをする  小林さん 田辺さん
ホソが氷る
快晴の朝
いつものとおり いつものところへ向かった
気分は爽快 
これから始まる本日の釣りに ワクワクしながらペダルを踏んだのである
ところが
ホソ に着いてみると
それはもう ビックリ 仰天
なんと 全面に 氷が張っているではないか
日射しを 浴びているのくせに 氷は解けもせずに 威張っている
これでは ホソ では 釣りは出来ない
浅い ホソ 因に 凍ったのであらうや
ホソ よりも ずっと深い ドカン に 足を伸ばした
ドカンに着くと ここでも氷が威張っていて  
 一人の釣り人 その氷を砕いていた
バシャーッ バシャーッ・・と 派手な音である 
自転車のゴムタイヤの無い車輪をロープでくくり それを投げ込んでいるのである
「 これだけ凍ったのは初めてや 」
・・と そんなことを 言いながら
額は もう
汗だく である
そんな彼に
「 オーイ もうええやろ ! 」
「 そのくらいにしとけ いつまでやってんねん 」
向う岸から 怒鳴り声
見ると ドカンの常連 さん 4人
もう 台に腰を据え 釣りを始めているのである
彼等は 己がテリトリーの分だけ 早々に除去を済ませていたのである
だから
自分等の 釣りの邪魔をするな と 怒っているのである
「 昼になったら 勝手に 解けるやろに 」
・・と ドカン の主 (ヌシ)
あんたが それを言うか ?

                                                                        雪が降ろうが 氷が張ろうが  釣りはやめられない  6番の釣り人
の晩 野宿した親分
先週の氷はすごかったでぇ
(前の日) ええ目してな
明日も ここでしたろと 泊まり込んだんや
帰ったら 他人に場所 取られるやろ
寒いことあるかい
葦の中は温いんじゃ
寒うないけど 真っ暗や
何にもすることあらへん
たいくつで もう寝るしかあらへん
寝袋に入って 大きな蓑虫やで
ガハハ・・

いつもの如く
一人で喋って
一人で笑っている


朝 目が覚めたら 氷 張っとんねん
釣りに来るもん 誰もおるかい
ガハハ・・

やっぱり 親分は凄い


次回 究極の暇つぶし に 続く
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