もう一つの 昭和・私の記憶

『 昭和・私の記憶 』 の、続編
吾生涯を物語る

暑さでひっくりかえった親分

2021年05月05日 | ガハハ・・・1996~2006

「 先週は、良かったでぇ 」

相変らずの口調で一人ゴチが始まった
先週 いつものように姿を見せなかった親分
偶には いつもと違う釣り場に行くのである

「 常連さんに 「 ここ 入らせてもろてよろしいやろか 」・・云うたら 」
「 「 どうぞ、どうぞ 」・・云うて呉れてなぁ 」
「 エエ、おっさんやで 」
いつもの口調で、自慢話が続く
「 25枚 上げたでェ 」
「 サイズはテノヒラばっかりやったけどなあ 」
「 「兄(アニ) さん 後から来て 何してくれまんの 」・・おっさん  云いよる 」
満面笑み した丸い顔で 愉しそうに喋っている
いかにも
本当の様に  上手に話を創るのである
「釣れるもん 仕方おまへん」
「ここが 違うんや (腕に手を当てて) そう、言うたってん」
「ガハハ・・・」
一人で喋り 一人で笑っている
いつもの とおりである

「 釣り場 教えてやるから  明日 一緒に行こう   」
私と もう一人の釣り人・風呂迫さんが一緒に行くことになった
親分のいつものホラ話し とは思いつつ
 ついつい信用してしまったのである
「 ここで 待っといてヤ
 朝、早よう行くからな 」

  待合せ場所
約束どおり
翌朝 9時頃 いつものところへ
暫らく待ったものの 親分なかなか来ない
「 遅いナァ まだ こんのか?」
もう一人の釣り人・風呂迫さん  彼は8時頃から待っているそうな
見らば 首が伸びている
真夏の八月 午前8時はもう日が高い  炎天下 猛暑の時間帯なのである
風呂迫さんは いつもは早朝に釣りをする
彼にとって
9時頃は そろそろ納竿を意識し始める時刻なのである
「 良く釣れる場所を教えてやる 」 と 言う親分の言葉を信用したのである
これも 釣りたいという一念から
親分を信じ 暑い中 待っていたのである
「 何が 朝早う行くから・・・や 」
・・と
そんな想いの中
「おはよう
「なにしてんねん」
なにしてんねん とは なにゆうてんねん
あんたを 待っていたのであろうが
時刻は もう 10時を過ぎている
人の気も知らず 親分 遅かったことを謝りもせずに
何食わぬ顔で 「 行こで!」
自転車に乗ったまま
そのまま 釣り場へと向かったのである
吾々は その後を追いかけた

「 ここや! よう釣れるでぇ!」
着いた場所が、6番池
私には初めての場所である
もう 日が高い
常連さんは帰った後  だから 釣り場は空いていた

仕度を始めた頃
「 どない!」・・と 親分の相棒・橋元さんが顔を出した
ここへ来たことを聞き付けて 親分を追って来たのである
ところが
親分の様子がおかしい
「 どないしたん?」
親分、気分が悪い・・と 言い出したのである
「 吐き気がする 」
「 昨日食べたお好み焼きが悪かった 」
「 来る時 日に当たったんや・・日射病や 」
一人で なんやかんやとブツブツ云っている
然し 相当気分が悪い様子である
  菅原城北大橋 
「 橋の下で涼もう 」
橋の下は影があり
風が通り抜けて涼しいので いつも多くの人が涼んでいる
私は親分の荷物を片付けて橋の下まで運ぶハメになったのである
もう 釣りどころではない
なんてこったい・・である

親分は橋の下で フーフー 云っている
このことで 気の毒なのは  もう一人の釣り人・風呂迫さん
結局 彼は 釣りが出来ずじまいであった
暑い中を 散々 待たされた挙句
やっと 着いて 仕度を始めたところ
そしたら
こともあらうに
親分
暑さでひっくり返ったのである
もう・・釣りなどできる 気分ではない
自分の荷物だけ サッサと片付け トットと 帰ってしまった
無理もない
親分とは 別段親しくもない間柄なのだから

いろいろなプロセスの涯て

釣り場には 私一人となってしまったのである
なにせ、初めて入る釣り場
広さ、深さ、風向き、さざ波・・・いつものところとは随分勝手が違う
当てにしていた親分は頼みにならず  一人では如何釣りをしてよいか分らない
これでは 釣れるはずもなからうに
もう 竿を納めよう・・と そう想った直後
ウキ が沈んだ
合せてみると 
チャンベラ
釣ったものの もはや 戦意はない
これを キリ にしよう・・と
釣り上げたところで 納竿することにしたのである

チャンベラ
15~20cm の
手のひら サイズ を 言う


風通しの良い橋の下で ノビ ていた親分 
2時間程で 元気を取戻した
「 この場所、アカン 」
「 ゲンクソ 悪い  今日は帰る!」
親分のいつもの口調に戻ったのである
もう 心配はない 大丈夫
・・と

親分の相棒・橋元さんと 3人で6番池を後にした
いつものところまで着くと
親分
相棒・橋元さんに声をかけた
「 オイ、ちょっとだけ やろや 」
「 今日は もう止めといた方がエエデ 」
・・と 言う 私の忠告も聞かず
相棒と二人 自転車を止めたのである
私は
そのまま 振り向きもせずに家に帰った
「 ええかげんにせいよ 」
・・と 呟きながら

カップ二杯の
  CCレモン
この日は暑かった
私は水分補給にと 魔法瓶にCC レモンと氷を入れ 特に冷たくしたものを持って来ていた
そして それを
もう一人の釣り人・風呂迫さんに上げた
よっぽど喉が渇いていたのであろう  暑かったのであろう
彼はいっきに飲みほした
その様子だと 足らないだろうと感じた私は
「 もう一杯、どうぞ 」
・・と 差し出した
彼は 今度もいっきに飲みほした
冷たいCC レモン・・よっぽど おいしかったようである
この CC レモン カップ2杯でもって
もう一人の釣り人・風呂迫さんが、私に対して心を開いたのである
そして これ以来 彼とは釣り仲間として そして 更に 釣りの連れ として 親しくなったのだから
人の縁(エニシ)・・・不思議なものである

次回 
どっちもドッチ・理窟はつけても に 続く
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