もう一つの 昭和・私の記憶

『 昭和・私の記憶 』 の、続編
吾生涯を物語る

お池にはまって さあたいへん

2021年05月30日 | ガハハ・・・1996~2006

物語は
ドカンの 『 私の指定席 』
・・で 起った

ドカンでは
私は決って 皆と離れて 対岸の釣り場に入る
然し この対岸の釣り場
釣果の良い 淀川の水位が高い時  足下(アシモト) が水浸しになる
膝までの長靴を履いて 荷物の持ち運びから  釣りの準備やらで
なにかと 手間がかかり  中々 面倒なのである
更に 後部の高木
「 暑いやろ  こっちで (釣り) やったら ええのに 」
・・と
斯のドカンの主が 親切に声をかけて呉れる程に 夏は暑い
そんな 釣り場 なので 皆は 此処を 敬遠する
いつも 釣り場は 私一人
だから これが
周りに 気をつかうこともなく 思うが侭に釣りができる
この釣り場を  ドカンの 『 私の指定席』 とする所以なのである
  ←画像・クリック
10月22日 早朝6時半
この日も いつもの場所
さあ
釣り仕度を始めよう
腰掛ける台を組み立てる
万力を取り付け 竿受けをセットする
竿をだして仕掛を竿先につける
仕掛けに ウキ を つける
その日の タナ をとる(水深を測る)
タマ をだす
バケツに水を汲む
餌を練る くわせ と ばらけ (セット釣りである)
仕度中は道具を入れたバッグとステージ上の台まで いったりきたり
ステージで長靴からスニーカーに履き替えた
準備が整った
ここで 一服
カンコーヒーを左手に持ち 右足を軸に台を跨ぐ・・未だ腰は下ろしていない
私は軸足が左足 いつもなら左足を軸に台を跨ぐ
魔がさす・・とはこういう時を謂うのであらう
この日に限って 右足を軸にしたのだ
そして、腰を下ろすのと同時に左足が床につく・・・そのはずであった
ドッボーン
・・と
大きな音がしたであろう・・が 私には聞えなかった
頭は水の中
落ちたのだ

左足が着くはずのステージには 隙間がある
いつものことて 気にも掛けなかったのだ
その隙間に足を突っ込んで仕舞った
そして
突っ込んだ足首がテコとなり 横転したのである
派手に落ちた様である
水の中から顔を出したものの 挟まった足首が抜けない
右足は池の底に着いているが 体が起きない
水の中から出れないのだ
この日は水位が特に高かったので それが幸いした
横転しても 直ぐ水面であった
だから 体が水に浮いた
その為  ねんざ等の怪我をしなくて済んだのだ
挟まった足に履いていたスニーカーを脱ぐと 足首が抜けた
ここで やっとのこと 起き上がれたのである
然し
釣り道具一式は池の中
派手に ひっくり返したものである
ステージに残ったのは水の入ったバケツだけである
帽子が浮かんでいる
向こう岸の仲間・風呂迫さんが 「帽子 帽子」 と 流れていく帽子を気遣った
落ちたタマを拾わなければ 流れていった帽子も取れまいに
私は 池の中に落ちた道具 ~竿 の順に落ちたものを拾い上げ
最後に帽子をすくい上げた
←イメージ画像・向う岸
他人の不幸は蜜の味・・と言う
向う岸の釣り人は 一部始終を眺めている
誰もが
おかしくてたまらない
おかしくてたまらない が 笑っては気のどく・・と 我慢している
そんな顔をしていた
ドカンでの物語
語らば
もう一つの物語
語らずには おられるものか

夏の早朝5時半
赤川鉄橋に朝陽が懸かっている
気は逸る
ペダルを踏む足に力が入る
今日も 一番乗り
好きなところを選べるのだ
でも やっぱり
いつもの ホソ・上 『 私の指定席 』 に 入る
ここは
見た目 釣れそうな雰囲気がしない・・謂わば 『 穴場 』
私の一等場所 なのである
いつも イイメ を みている
とは言っても・・偶に釣果が悪い時もある
偶々 この日が そうであった

釣りはじめてから2時間半 いつもなら 7,8枚のところである
ところが 本日の 釣果は 3枚
「 今日はさかな(へらぶな) の機嫌が悪い・・・」
そんな時  私のすぐ右隣り 5m程上流 に 仲間の釣り人 が入った
5mの間隔・・は お互いの竿先が見え
アタリを合わせる時の音や ウキの動きも目に入ることから
よつぽど親しい間柄でないと 並んで釣る事の無い 最小限の間隔である
「 今日は ドナイ ?」
「 今日は 喰いが悪いです きびしいです・・」
・・と 言いかけた矢先
隣の釣り人に アタリがきた
「 もう アタリが きたんですか 」
こっちは 希に見る不漁・・と言うのに
 
隣りの釣り人
入るや否や ポンポンと釣上げる
今日は ジャコ みんな 隣に 居ったのだ 
あっという間に4枚
おいおい とうなってるんや
これは 『 いれぐい 』 の 兆候である
隣りの勢いを感じる
「 これは ヤラレタ 」
今日は 隣にアテラレル その意味でも厳しい釣りとならう
そんな予感を抱いた時である
ドッボーン!
すぐに 音の方を振り向いた
ところが然し
隣りの釣り人・・姿がない
台が転倒している
用足しに離れた間に台が転倒したのだらうか・・?
傘が風に煽られ 転倒することはしばしばある・・けれど
!!!
びっくり仰天
河の中から 顔が出た
たばこ を 咥えたまま である ・・然も 気付いていない
落ちたのだ
頭から突っ込んだのだ
私は駆け寄り 倒れた台を起こした
道具は みな 水の中
隣りの釣人 さぞ慌てている
水の中から上がろうとするも ヘドロの斜面に足を滑らして 又 転倒
片肘ついて 擦り剥いてしまった
「 ワチャー 」

夏の日
水温も気温も高い 着の身着のままでも直ぐ乾く
特に怪我もないので 心配はない
けれど
もう  釣りどころではない・・

原因は滑り落ちない様に台を固定するロープがはずれたのだ
ロープを引っ掛ける丸型フックネジ が 緩んで はずれたのだ
斜面に坐るため 体重は前(川) の方向にかかっている
その為 頭から突っ込んでいったのだ
声も出せずに・・・

絶頂から一転、奈落ならず川底へ
これも人生・・・哉

私が 『 ドカン 』 で台から落ちたとき
居合わせた釣り人は おかしくってたまらない
たまらないが
気の毒と思って 笑うのをこらえていた
私は  あの時の皆の気持ち ここで しかと 理解したのである
今度は
私が笑うのを こらえる番である
然し
これが 笑わずに おられるものか
「 ガハハ・・ 」
・・と
心でもって
大笑いしたのである

気の毒だとは思ったが
タバコを咥えたまま  河から顔を出した
隣の釣り人・・吉村さん
それは もう
おかしかった

次回 親分と巡礼した二代目 に 続く
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