もう一つの 昭和・私の記憶

『 昭和・私の記憶 』 の、続編
吾生涯を物語る

ヘラ一枚に命かけて どないすんねん

2021年06月02日 | ガハハ・・・1996~2006


                        菅原城北大橋・空模様はイメージ
真夏
陽が傾くと
対岸の葦の足下に やっとこ影が出来る

これからが 親分の言う  夕方のジアイ  である
イザ 釣らん
・・・と 気分一新

空を仰ぐと

東の方向に雲が立ち上っている
そして
見る見る中に大きく成って行く
「 こっちへ くるな・・」
推う間もなく・・パラパラ降り出した
夕立である
通り雨・・・じきに止むだらう
傘をさしているとは言え そこはコンクリートの斜面 暑くて堪らない
これで チョットは涼しくならう・・と 言うもんである
他の皆も きっと同じ想いであらう
 避難場所
ところが
ザー・・と 本降り
然も 風も出て来た
「こりゃ・・アカン」・・と 雨仕舞をして
ひとまず避難と 赤川鉄橋の橋桁に避難した
其処には バス釣りの高校生 他の釣り人3,4人が既に雨宿りしていた
束の間の雨宿り  小降りになった
ポツポツ雨に変った
菅原城北大橋に目を遣ると  辺りは真っ黒い雲が垂れさがり
遠くなれど ゴロゴロ 鳴って居る
僅か500m程の差で大違い
「 あっちは、ドシャ降りやで 」
・・と 隣りの釣り人

  空模様はイメージ
雷が鳴っては 一巻の終わり
釣り人が雷に撃たれて死んだ話しなぞ 聞いたことは無い
・・聞いたことは無いが然し
何と謂っても竿はカーボン製
やはり、雷は怖い
竿を納めて
もう  とっとと帰るしかない
・・・のである

                                                    
イメージ画像
釣り人の業
曇空ゆえに蒸し暑い中
ベタ凪のホソ・下 の ドン突き附近に竿をだしていた
アタリ も ホドホドにある
・・・と
水面に小さな輪っか
夕刻によく見られる小魚のモジリ
・・そう想って見ていた
輪っかの数が増えて来る
アレ ?
「 雨か 」
夏の雨らば 少々濡れても反って涼しからう
日除けの傘が雨除けの傘に代るだけのことである
なにせ アタリがある
「♪ 止めてなるかよ くじけちゃならぬ ♪ 」・・( 畠山みどり  出世街道 の つもり )
・・ここで止めてなるものか
ところが
箕面の山あたりで ゴロゴロ 鳴りだした
「 オイオイ アカンデしかし」
何と言っても 雷が一番怖い
「 (雷) あぶないな 」
「 こんな時に限って 喰うなよ・・・」
雨脚も強くなって来た
「 なんや 本降りになったで 」
「この雨じゃあ 片付けられへんし・・なあ 」
・・と ブツブツ
誰かの如く 一人ゴチ

コンクリートの斜面  濡れると滑る
雨が止むまで 片付けは出来ないのである
だから
他の皆も 腕組みをして傘ん中 『 じっと 我慢の子 であった 』
想いは同じ
雨の状況を見て片付けるつもりなのである
そんな時
アタッタ !!
選りに選って
こんな時に限って
なにも 雷が鳴っている今 喰わんでもよからうに・・
それに亦
アタリがあっても 合わさいでもよからうに
そこは習性  釣り人の業・・と 言うもの
合わせて シマッタ
釣ったは 嬉しい・・・さりとて 雷も恐い
釣り上げるには竿を立てねばならぬ
どうすりゃいいのさ・・思案橋
竿を横に傾けて引っ張るも
やはり タマに納める瞬間は どうしても竿を立てねばならない
「 立てねばならぬ 妙心殿 」
・・と ( 天保・水滸伝 平手造酒の台詞じゃないけれど )
雷が落ちないことを祈って 竿を立てた
もう・・ひやひやもん
「 たかが ヘラ一枚に  命かけて どないすんねん」

次回 勝利の女神は意地悪 に 続く
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カモ釣って どないすんねん

2021年06月02日 | ガハハ・・・1996~2006

ヘラブナ釣をしていると
いろんなものが釣れる
「 ジャミ も当たらん 」
・・と 親分がふてくされた ジャミ
釣り人は
ヘラブナ以外の小魚を総称して そう呼んでいる
ホソ に ヘラブナ5万匹・・存た頃
ジャミ の種類も多かった
もつご もろこ  ケタバス こと はす  コンコンサン こと にごい  ドンコ こと ゼゼラ
「なんや ワタコかぁ 」・・と 親分の口癖の ワタカ
これ等が
私が釣った ジャミ である
ブルーギル ブラックバス は 
ジャミ とは 呼ばない
 
変わったものを釣った と 言へば  
これ スッポン
顔も体もグロテスクで 甲羅も柔らかく  気持の悪いものであった

他に 雷魚 ( カムルチー)  ナマズ   ミドリガメ  ザリガニ  モズクガニ・・と 尽きない   


カルガモ が 前を横切る
ホソ ではよくみる光景である
ウキ の傍まで来ると
一旦停止して ウキを覘いている
そして
ウキ を 遠回り に 通り抜けして行くのである
それはもう
慣れたものである

カルガモを釣る
ホソ・下 での事
いつもの如く カルガモ が近づいて来る
成鳥した カルガモ
いつもの如く よけるもの・・と 私は、高をくくっていた
然し
カルガモ
一旦停止をせずに そのまま、進んでくるではないか
「 まずいな・・・」
このままだと 掛る・・と 思いつつ  手が動かなかった
近づく カルガモ を 茫然と 眺めてしまったのである
果たして
ウキの前 スレスレ を 横切った
「!」
そして
案の定 道糸が足にひっかかった
驚いた カルガモ
「 クゥワー カー」・・と 啼いて 飛び上がった
もう 必死である
渾身の力でもって 引っ張っている
竿ごと 持っていかれる かと思った
竿が立ち  道糸が空に伸びている
その先には 足首に釣り糸を絡めた カモ が 付いている
道糸を切る為に引っ張る事はできない
そんなことをすれば 
ハリス や シズ  ウキ の ついた しかけ糸 が カルガモの足に絡みついてしまう
況してや
竿を放り投げることなぞできるものか
然し このままでは
飛び上がったカモ 水面に落ちてしまう・・・
「 どうしよう 」
咄嗟のこと由え 如何してよいか 判るものか
茫然としている最中
カモの渾身の力が 道糸を切った
そして 案の定
しかけ糸 を 足に巻き付けたまま
彼方の空へ 飛んで行ったのである

僅か 2、3秒 
一瞬の出来事であった
「 近づく前に 竿を上げれば良かった・・」
「 かわいそうな事をした 」
・・と 悔やんでいた私に
隣で  一部始終を 見ていた親分
「 カモ釣って どないすんねん」
「 ガハハ・・」
・・だと


次回 ヘラ一枚に命かけて どないすんねん に 続く

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友遠方より来たる

2021年06月01日 | ガハハ・・・1996~2006

「 やっと着いた  アア しんどかった 」
「 おお 鈴木さん 珍しいですね 」
「 鳥飼は ドナイ?」
「 あきまへん 水 おまへん・・のですワ 」
「 浅うて 釣り ならへんので  こっちへ移動して来たんですワ 」
「 大雨 来るまで当分の間 こっちで釣り させて貰いますワ 」
「 どうぞ ドウゾ 」

         通称 トリカイ

友 遠方より来たる
鳥飼大橋の袂 庭窪ワンドがホームグランドの鈴木さん
強い向かい風を押して はるばると 移動して来たのである
自転車で30分 かけての場所替え
それも これも 只々 ヘラを釣りたいが為のこと
「 ワシ等 キチガイやけどな 」・・と 親分が言う キチガイ
ここにも亦 一人存るのである

「 親分 何処で釣っとる?」
「 下(シモ) の ドンヅキに居ますワ 」
「 よっしゃ ちょっと冷やかして来まっさ 」
やっぱり ここへ来ると 誰しも親分が気になるのである
顔を見ないと済まないのである

「 ドナイ?」
「 オー 珍しい顔やないけ  生きとったんか?」
「 長いこと顔見んから 心配しとったんど」
「 おおきに おおきに 元気でおま 」
「 で あがっとるんか?」
「 あかん  ヘラ ニッチョ(日曜日)や 居らん 」
「 ジャコ 動かん のんや 」
「 動かんジャコ 釣るンが プロや、ガハハ・・」
相変らず の 親分の 名調子に
ここに来た
 と謂う 実感がするのである
!!
ヘラブナ が 親分のウキの前で 跳ねた
「 なんや 居る やんけ 」
「 ちゃんと居るで 言うて 挨拶しとるやんけ 」
「 ガハハ・・なんちゅうこと して呉れまんねん 」
「 ジャコ に なめられとんな 」
「 チェッ!」
「 ガハハ・・」
二人で大笑い している

目の前で ヘラ が 跳ねる
度々ある・・こと
それも 喰いの悪い時に限って
他人のこととて笑ってはおれまい
誰にも  経験があらう
・・
から


 鈴木さんと親分
鈴木さんの釣り場
左右からの風は防げるも・・一段下がって土手を背後にしているが
この程度では 強い北風は防げない
況や
親分の坐っている処
御覧のとおり・・である
ここは
少年野球の 大人達が こしらえた 水汲み場
彼等は  ここに 動力ポンプを置いて 河の水を汲み上げ グランド整備に 水を撒くのである 
ネットが剥き出しに成っているのは 川渕の葦を伐採したから

釣り場に非ず・・なのである
だから
真冬の風のある日は誰も這入らない・・し
而も
少年野球の騒音
それはもう 落着かないのである
こんな条件の悪い釣り場に わざわざ這入るは
親分なればこそ・・であらう
「 名人は釣り場を選ばんのじゃ ガハハ・・」
・・と
さすが
親分である

次回 カモ釣って どないすんねん に 続く
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親分と巡礼した二代目

2021年06月01日 | ガハハ・・・1996~2006

新人の山崎さん
「 この前は えらい目にあいました 」
「 最後は本流の向う岸 赤川鉄橋の下でやりましてん 」
・・と
そう ボヤク
親分に
釣り場という釣り場を
一日中  引きずり回されたのである
吾々の間で 此を 巡礼 と 言う

「 最初はホソで釣ってたんですワ
  そしたら おっさん 「 あかん!場所替えや 」
  「 ええとこあるで 」・・言うて 3番に連れて行かれたんですワ 」
「 3番で ちょっとだけ しただけで
 「 あかん サンカク 行こう 」・・て また場所替えですワ 」
・・と 山崎さん
もう ボヤク ぼやく

サンカクには私が居た
いつもの如く
姿は見えねど 親分の大きい声が聞えてくる
「 お、来た、来た 」
「 どない?」
「 今日は喰いが悪いですよ 」
親分
私の顔見て 気が変わった
「 そやろ ワシ等 場所替えや  14番へ行く 」
・・と 言って
素通りして行く
後ろに 新人の山崎さんが くっ付いている
「 どこもアカンらしいですよ ここで腰据えたらどうですか 」
・・との 私の忠告にも
「 今日は 釣りは諦めました  最後まで(親分に)付いて回りますわ 」
・・と すっかり 諦めの境地に達している
お気の毒に・・・
親分の知っている城北ワンド群の釣り場を巡っているのである
私も同じ経験がある
これも 新人が親分から授かる洗礼
一人前の釣り人と成る 試練と 諦める他は無いのである
  
また アホが
一人ふえた
いつもの様に 上(カミ) のドンヅキで 親分と並んで釣りをしていた
そこへ
吾々の傍にある (ツル状)浮草に 若い親子連れが竿を出したのである
親子二人並んで コンクリートの斜面に座っている
「 お父さん・・釣ってよ 」
私は 微笑ましい光景としてその様子を見ていた
ホソ ならではの光景である
その釣り場は親分も好んで入る一等場所  その日に限って空いていたのである
ジャストタイミング
初めて ホソ へ釣りに来て 偶々 座ったのである
偶々 に
運命 とは 縁(エニシ) とは こういうものなのであろう
初めての釣りで 偶々 横に座り 偶々 ヘラブナ が 釣れた
釣りを終えて嬉しそうに帰っていく親子
帰宅して あの子は母親に何と喜びを伝えたのであろうか

次の休日 彼は 復来た
今度は
独り
次の週も 復やって来た
そして、3枚、4枚・・・・来る度に枚数が増えていく
へらぶな釣りは 熱意 それに辛抱我慢 と 皆は言う
如何なる事にも謂えることであるが
秀でる には 持って生まれた センス が必要なのである
彼には その センス が有った様である
「 おいおい  復 来よったでー 」
「 あれは  病み付きに成るなぁ 」
・・
と 親分
相棒の橋元さんと会話がはずむ
「 また  アホ が一人 増えよった 」
「 ワシ等 アホを通り越して キチガイ やけどな 」
「 ガハハ・・ 」
彼をサカナにして  親分 頗る機嫌が良い
「 あの場所  空けといたろなぁ・・」
・・と
親分 新しい仲間の誕生と 彼を喜んで迎えたのである
彼・・山崎さん
親分から 釣り道具一式の提供を受けて 本格的なヘラブナ釣を始めたのである
私と同じ様に

尤も
彼は上達が速かったので 親分からの巣立ちも早かった
親分の横で 「 ポンポン 」 上げる
さすがの親分も
「腕あげたなァ 焦るやんけ」
 ・・と

親分の本音である

次回 友遠方より来たる に 続く
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