天網恢恢疎にして漏らさず

映画レビューを中心に(基本ネタバレバレです)スキーやグルメ他、日々どうでもいいような事をダラダラと綴っています。

【映画2023】「バビロン BABYLON」@6作目

2023年02月10日 | 映画感想
「バビロン BABYLON」

ブラピ×マーゴット・ロビーというド派手なビジュアルで予告編からぶっ飛んでましたね。
監督+脚本は「ラ・ラ・ランド」で一躍ハリウッドの寵児となったデイミアン・チャゼル氏、そして…本作の上映時間がこれまた驚愕の189分!3時間9分!なげーわ長過ぎるわ!

あらすじ
1920年代のアメリカ・ハリウッド。スターを夢見る新人女優のネリー(マーゴット・ロビー)と映画製作を目指す青年マニー(ディエゴ・カルバ)は、大スターのジャック(ブラッド・ピット)が開いたパーティーの会場で出会い、親しくなる。恐れを知らないネリーはスターへの階段を駆け上がり、マニーもジャックの助手となる。そのころ、映画業界はサイレント映画からトーキー映画への転換期に差しかかっていた。(Yahoo!Movieから丸パク)

先ず、確かレイティングがR+15位だったかな?まあ妥当な線か…少なくともお子様に楽しんで頂ける要素がほぼないです(苦笑)
もしかしたら「映画は年に2~3本、世間で話題な超大作をデートで映画館に観に行くかな?」レベルの大人の方にもちょっと入り込みにくい世界観かもしれません。
要するに、かなり「映画好き(今も昔の作品も、大箱系~単館モノ、更には超A級からクソB級辺りまで)」な方にツボる超ニッチな仕様の内容を、何故かすんごい金掛けてすんごいゴージャスなキャスティングしまくって、更に「誰がこんなクソ長い上映時間に耐えられるねん!」な3時間超の大作にしやがったなデイミアン・チャゼル!って仕様💦

で、無声映画時代からトーキー(今ではフツーの映像+音声の映画)への移行時代のハリウッドで、無声映画時代の人気スターだった役者、無声時代からトーキーのちょうど狭間で成り上がろうとしていた女優の卵やこの時代の映画の裏方に関わりたいと夢見た青年、はたまた映画音楽を影で支えてきた黒人ミュージシャン、そして無声時代にセンスのいい字幕を付けたりパーティーでエキゾチックなショーを見せて持て囃されていた東洋人(この人も黒人ミュージシャンと同じくハリウッドでは結局有色人種として若干蔑まされていたのだろうと推察)、更にこの業界をずっと眺めながら体のいい(世間が喜びそうな提灯記事)コラムを綴り続けている映画評論家のBBA等、この時代をある意味彩った色んな立場の人々にダラダラとスポットを当ててエピソードを繋いで、そして時代をジリジリと進めて行く事でそれぞれの人々の立ち位置が微妙に変化していく様を見せるという作りよ

まあ、予告編やポスター見ると誰もが「ブラピ×マーゴット・ロビー」のクソド派手なビジュアルに持って行かれるんだけど、実は本作の主役はブラピ演じる「無声映画時代のトップスターだったジャック」とマーゴット嬢演じる「今はまだ無名だけどハリウッドの頂点を夢見る天才肌のネリー」の2人とあるパーティーでほぼ同時にこの2人と運命的に出会ったメキシコからの移民だった青年「マニー(演者はディエゴ・カルバ氏)」が主人公だったりする。多分。←は?^^;

うん、こーいうのが面白いんだよな。流石デイミアン・チャゼル氏の技アリな作りだよな、って思わされる。
映画ポスターや予告編の作りを見ただけでは「ブラピとマーゴット嬢がガプリよつで見せてくれるんすね!」と思わされる訳ですが、蓋を開けるとこの2人が直接絡むシーンはかなり少ないと言うかほぼワンシーンしかなかったんじゃないか?(自分が記憶しているのはブラピが婚約者を伴って現われたあるパーティでいきなりマーゴット嬢がブラピに絡んでCHUするくだりだけなんだけど)後に「うち(マーゴット嬢)のおとんが蛇と戦うのを見たいかー!」みたいなほぼどーでもいいエピにもうっすらブラピも噛んでくるけど、直接関わるという訳ではなく「同じ時代にハリウッドの同じ場所に違う立ち位置だったけど確かに一時一緒の場所に居た」みたいなうっすい関わりで繋がっていた、って感じ。
多分敢えてこういう「ほとんど交わってないけど確かに同じ時代に同じ場所に居た」みたいな演出というか作りにしたんだろうなーって。

この「有象無象が居て混沌としていて、誰もが一夜にしてスターにのし上がれる可能性があって、大スターが明日は笑い物にされて誰からも見向きもされなくなる」世界。
こんな物凄いカオスがかつてハリウッドにあったのだ!というのを今改めて取り上げて来たんだな…という監督のパッションは感じられる。
でもこの題材は既に過去何度も取り上げられてるので、なにがしか新しいアプローチは必要だった訳で。それがあのド派手なR指定系映像?それだけではちょっと…ね、とも。
個人的にはマーゴット・ロビー嬢がコケティッシュで愛らしくて大好きなんだけど、段々彼女の演じるキャラが固定されて来ちゃって食傷気味な感はある。本作はその最たるもので、確かに本作のマーゴット嬢も本当にステキだったけれど…バカみたいに乱痴気パフォーマンスを繰り広げ続ける彼女の姿に正直「もう、この辺にしない?」とも思った。
彼女の姿が正に本作の「無声映画からトーキーに移り変わる時代の流れに着いて行けずに振り落とされていく哀れなピエロ達」と被った。敢えての演出かもしれないけど。

デイミアン・チャゼル氏の思い入れが強く出過ぎている感も多々…ぶっちゃけ「ガラガラヘビバトル」シーンとか「ネズミの踊り食いデブ+トビー・マグワイア久し振り!」シーンとかほぼバッサリ必要なかったんちゃうか(少なくともトビーは前半のシーンだけで充分だったろ)、更に言えば映画冒頭の乱痴気シーン流石に長過ぎるわ!とか、色々ツッコミ入れたい部分てんこ盛りなんだけど…でも、このゲスいカオスなシーンがあってこその本作でもあったのか…とも映画を見終わって数時間経った今思い返される。何故なら観てるリアルタイムは必要ないと思っていたどーでもいいシーンばっかりが観終わった今は印象に残っているから。
あと、映画全編通して音楽がステキだった。何故か音楽だけは本当に心地良くて…あの黒人トランペッターのくだりとかも色々ステキだった。音楽最高!

正直、もう一度観たいか?と聞かれたら「もうお腹いっぱいですすいません」と答えるけど、でも一度は絶対に観ておいた方がいい…不思議な引力を感じる作品でした。

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