天網恢恢疎にして漏らさず

映画レビューを中心に(基本ネタバレバレです)スキーやグルメ他、日々どうでもいいような事をダラダラと綴っています。

【映画】「旅猫リポート」@46作目

2018年11月07日 | 映画感想
「旅猫リポート」

有川浩氏著の同名タイトル小説を実写映画化。自分原作小説未読です。
今空前の「猫ブーム」と言われてますわね。ブーム呼ばわりされた猫ちゃん達は知ったこっちゃないでしょうけどw
まあ言うても自分も猫大好きなので予告編見て「猫と福士蒼汰君の組み合わせ…コレはズルいヤツだなw」と思いつつ鑑賞決定☆

あらすじ
「ナナ(声:高畑充希)」は誇り高き野良猫だったが、ある日車に轢かれてしまい瀕死の所を「悟(福士蒼汰)」に助けられ、以降は悟の飼い猫として生きてきた。
幸せに暮らしてきた5年後、ある事情でナナと暮らせなくなった悟はナナの引き取り手を探してかつての同級生達の元へナナを連れて訪れる事に…

うん、まあ、あざといよね(薄笑)
可愛い猫ちゃんが出てきて、これがまあ呆れる程の芸達者で(とりあえずスクリーンでアップになるだけで猫好きさんは満足度MAX)、その相棒が芸能界屈指の好青年・福士蒼汰君よ。
もうこの絵ヅラだけで文句のつけようがないのに、話はこれでもかこれでもかと観客の涙腺を刺激する展開になっている。
正直、本作観て涙が1㎜も出ない人っているの?よっぽど猫に何かトラウマでも持ってる人or福士蒼汰君に激しい恨みを持った人以外は漏れなく自然に涙出てるだろ、レベル。
よっぽど泣かせる映画でも昨今なかなか泣けなくなっている超ひねくれものの自分ですら本作あちらこちらで泣き散らかしましたから^^;

でもやっぱりひねくれているので色々ケチつけたくなる(コラコラ
先ず根本的に「猫にアテレコは必要なのか?」問題。多分この部分に引っかかる人は非常に多いと思う。自分もそう。
猫に人間の言葉で語らせるやり方は古くは「吾輩は猫である@夏目漱石」からの流れを汲む、ある意味王道展開ではあるものの(実際本作も吾輩は猫であるの冒頭文の引用から入っていたし)
それやっちゃうと話が一気にファンタジー色が濃くなって…やり方間違えると安っぽくor子供っぽくなってしまう。
ただ、コレに関しては本作の原作小説がどうやら「猫からの視点」で物語展開しているらしいので猫の一人語りは不可避な模様。
ナナの声を充てたのは高畑充希ちゃん。なかなかお上手なんだけど声に特徴があってチラチラと高畑充希ちゃんの顔が浮かんでくるので正直プロの声優さんにやって貰った方が良かったのでは?と。

それから…多分コレも原作小説の設定と展開なのだろうから(原作者の有川氏は本作の脚本も手掛けられています)文句付けるのは筋違いなのは重々承知しているものの…
主人公の「悟」が不幸展開過ぎやしないかい?流石にさー(滝汗)
生まれた瞬間からほぼ一度もいい事がない人生ですよ。まあ彼の人生で良かった事と言えば出会った友人達に恵まれていた事、それから猫の「ハチ」と「ナナ」に出会えた事、それくらい。
「友人達に恵まれただけでも充分過ぎる程幸せだろうよ」と思う向きもあるかもしれないけど、それにしてもそれ以外の部分の不幸度が余りにもエゲツない!^^;
それにも関わらず世を恨むでも人を恨むでも自分の人生を嘆くでもなく、常に笑顔を絶やさず誰に対しても底なしに優しく接して生きている…こんな好青年、嘘臭過ぎる!
普通なら「どうして俺ばっかりこんな目に遭わなくちゃいけないの!?」位には思って多少(いや相当)腐るのが人間ってもんなんじゃないの?
余りにも邪気のないキャラクターって現実味がないんですよね。清濁併せ持つのが人間というモノでしょう?仙人じゃないんだからさ~…位はツッコミ入れたくなりますわ。

ん、でも福士蒼汰君可愛いからね。←本日NO.1のパワーワードw

話が始まっていきなり子供時代の回想シーンがガッツリ尺取っているので「え、ナニコレ【君の膵臓をたべたい】系?」って思ったんだけど、この子役シーンが思いの外良かった。
多分ほとんどの人がまず「第一涙腺崩壊シーン」だったろうと思うのが、幼馴染みの「幸介(山本涼介)」から「よーじやのあぶらとり紙」を手渡されるシーン。
この子役ちゃん達本当にお上手だったなぁ。ぶっちゃけ福士蒼汰君と山本涼介君より上手かった。もしかしたら本作の中で一番いい演技が見られたクライマックスだったかもしれないw

後、本作「旅」がキーになっているので日本のアチコチの美しい風景ショットが見られるのも魅力かも。
菜の花畑は何処でロケってるんだろーキレイだったなー。それにしてもあの菜の花畑シーンで一瞬ナナを見失ってしまった悟が激しく動揺して泣きながらナナを探すシーンがあるのですが
アレは多分ナナを飼い猫にするきっかけが交通事故だった事、それから子供時代に買っていた「ハチ」が飼い主の不慮で…というトラウマからの動揺なんだろうと想像が付くものの
いきなり目をカッ☆と見開いたかと思ったら狂ったようにナナの名前を呼んでアタフタするって…ちょっと唐突に見えるかなと。猫の心情をアレだけガンガンアテレコで入れていくんだったら
例えばこのシーンで過去のトラウマをフラッシュバック映像で差し込んだ方が自然だったんじゃないか?と思ったんですけどね。

そもそも猫の名前に関しても多分原作小説では何かエピソードや理由が描かれているのだろうけど(子供時代に飼ってた猫のハチは多分ハチワレ猫だったから?とか想像してたよ)
映画は尺の関係で何の説明もなかったし…きっとそういう「足りない部分」はアチコチにあるんだろうなぁ。原作既読者には本作色々物足りないと思っているんだろうなぁ~と。
まあしゃーない。長編小説の映画化ってそういうモノだよね。原作小説を映画が越えるってなかなかある事じゃない。正直原作者にしてみれば映画に越えて欲しくないんじゃ?(苦笑)

とりあえず泣けるし。正直人の生き死にをネタに泣かせるのってズルいと思うけど(+動物ネタ絡ませるってズルいの極みw)、そんなの昔から星の数程繰り返されている事。
たまには誰だって分かり切ってる「泣かせ映画」で思いっきり泣きたい時だってある。そういう需要に見事にマッチングした一作。
コメント
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