天網恢恢疎にして漏らさず

映画レビューを中心に(基本ネタバレバレです)スキーやグルメ他、日々どうでもいいような事をダラダラと綴っています。

【映画】「バッド・ジーニアス 危険な天才たち」@44作目

2018年11月01日 | 映画感想
「バッド・ジーニアス 危険な天才たち」

日本で公開されるのは非常に珍しいと思われる…タイの作品。
本作はタイで2017年に公開されると批評家達から大絶賛され、観客動員数を増やしまり世界各国でも拡大公開される事になり、タイ映画史上歴代NO.1大ヒットを記録したそーです。
因みに元ネタは実際に中国で起こった大規模集団カンニング事件らしい。そのトリックはネットでググれば直ぐ分かりますが本作の重要なネタでもあるので敢えてここに書くのは控えておきます。
自分、タイ映画って多分過去1度観た事があったよなー…程度のレベルなので監督さんは勿論の事、出演されている俳優さんも誰1人分かりません^^;

あらすじ
教師をしているバツイチの父親と2人暮らしの「リン(チュティモン・ジョンジャルーンスックジン)」は頭脳明晰で成績優秀だったため、バンコクでも指折りの名門高校に特別特待生として途中編入した。
同じクラスで仲良くなった美少女「グレース(イッサヤー・ホースワン)」は印刷会社の御令嬢で性格はいいものの成績はイマイチ。
ある日ひょんなきっかけで試験中にグレースに自分の答えをカンニングさせてやったのだが、それを聞きつけたグレースの彼氏でセレブのバカ息子「パット(ティーラドン・スパパンピンヨー)」が
「ギャラを支払うから今後試験の答えを自分と自分の金持ち仲間達にも教えて欲しい」と持ち掛けられた。学校側も生徒の親から賄賂を貰って事前に試験問題を手渡しているという事実を知ったリンは
組織的にカンニングさせる方法を考え出して金儲けを始めたのだが…

これはなかなか面白い。
系統で言うと「オーシャンズ11」シリーズ的なハラハラドキドキの綱渡り的クライムサスペインスといった作り。最初は上手くいってたカンニングルールも、そのカンニングルールすら覚えられない
超絶ウルトラアホタレ生徒のせいでリンの「カンニングシンジケート」を全く知らなかった…リンと同じく貧民ながら成績優秀で特別特待生だった「バンク(チャーノン・サンティナトーンクン)」を巻き込んでいく事になる。
こういう「ちょっとしたミスから綻びが出来てきて計画変更も止む無く」展開もクライムサスペンスの王道かと。

で、本作の背景としてタイの余りある貧富の格差と東南アジアあるあるな「袖の下文化」、そして苛烈な学歴社会と「米国留学が勝ち組へのパスポート」なタイセレブ事情をネットリと見せていく。
タイの、いやまあコレは世界中ほとんどの国がそうなんだろうけど基本は「金を持っている者が全てを享受する」という当たり前ルールがあって(苦笑)、それがかなりデフォルメされている感じ。
デフォルメされてる…よね?(滝汗)もしも実際にタイのバカセレブが金で成績を操っているとすれば、タイに明るい未来はほぼないと断言出来るでしょう^^;

見せ場は当然だけどリンがカンニングさせるシーン、と言うよりもカンニングが成功するか失敗するかのギリギリの綱渡り感を見せる部分。
カメラワークがスタイリッシュで観客にリンやバンクの焦燥感を物凄く煽ってくる。リンが試験会場から抜け出して逃げるシーンとかコッチも心臓が早鐘を打ったかのようなドキドキ感満載でした。

同情出来る部分は多分にあるものの、やってる事は不法行為でしかないので決して見ていて気分のいいものではないし本作のオチも個人的には超微妙な着地点だったなぁと思う。
きっと本作をハリウッドが作ったらリンやバンクはギリギリの所でウルトラC的な解決策を思いついて逃げ切る事が出来て、まんまとバカセレブ同級生達とパーリーピーポーどんちゃん騒ぎで大団円♪
みたいなオチになっただろうと思う。それをそうしなかったのはやっぱりタイのお国柄事情と国民感情を慮った結果なんだろうな~と思わされ。

インド映画は既にすっかり日本人に受け入れられていると思いますが、今後はタイやフィリピン、インドネシアやシンガポール等広く東南アジア各国の作品も日本に受け入れられて
どんどん日本で公開されるようになってほしいですね。非常に質の高い作品だったと思います。

コメント
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