高校2年生のころだったか、ある国語の先生が「若いときは、たくさん詩を読むべきだ」と熱弁をふるわれた。それから、時間を見つけて詩を読むようになった。家にあった詩集。石川啄木、三好達治、島崎藤村・・・進学し学生生活の最後のほうになると、理工科系の学生だったが、文科系のサークルに所属し文学に親しんでいて、現代詩やリルケなども読むようになっていた。
サークルで投稿しあって文集を作ったが、その中にOさんの詩があった。
ひえびえとした
哀しい郷愁にこころをさいなまれながら
待つのです 待つのです
静かな恵みの時の到来を
静かな恵みの時の到来を
詩集 原風景への道程 第一集 79ページ 岡村光章著 文芸社 2021年
私は幼児洗礼でカトリックであったが、青春時代からは教会から離れていた。しかし、母が熱心な信者であったこともあり、Oさんの詩の最後の3行が心に刻み込まれたようだった。そして、それから25年くらい経って、40歳代後半の迷いの時代に、その言葉に導かれるように宗教書を読んだり、NHKの宗教の時間を見たりするようになった。そして迷いの頂点に至ったある日、ふと訪れたカトリック教会で恵みの時を得たのだ。その至福の平安感と共に、幸福への旅がはじまったが、それからも当然ながら、混迷の状態を何度も体験したようだ。そんな中でも、光を見出せたのは、心の奥からの魂の詩だった。
詩は厳しい時にこそ力になる。ありがたいことに日本には詩の文化がある。俳句や和歌は今でも多くの人に愛されている。8世紀の4500首を収めた万葉集など、ひょっとしたら文字のない縄文時代に起源をもつような歌まで入っていそうだ。
私の縄文小説でも詩は特別の意味を持っている。
9/10 明るく生きるとは
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縄文中期の関東・中部地方を中心にした愛と魂の物語です。
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森 裕行
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