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縄文小説家・森裕行のブログです。身近な縄文を楽しみ生き甲斐としています。「生き甲斐の心理学」の講師もしています!

自由は制約とのバランスから現れるのだろうか?(心の世界は今も縄文時代も 1/10)

2020-08-11 | 第三章「無意識の世界」

 ブログを書き始めて14年、小説を書き始めて6年であるが、制約の有無ということを最近よく考える。制約がない方が書きやすいように一見思えるのだが、実はそうではなくきちっと制約を設定したほうが俄然書きやすいし、時には怪しいほど創造的にもなれる。猛暑について書いてくださいと言われるより、例えば猛暑についてロジャースの19の命題を踏まえて飛鳥時代の貴族の生活を中心に書いてくださいというように(イヤーかえって書きにくいか!?)。
 もう一つ例を。芭蕉の「荒海や佐渡に横たふ天の川」をあらためて鑑賞して感動したが、ご存じのように季語がどうだとか五七五と言う制約のある俳句の世界の傑作だ。長い伝統のある和歌の世界を背景に、大きな世界を描くことができていることに圧倒される。狭い意識だけの世界でなく、無意識の世界の扉を開いているようだ。五七五の俳句の制約がなければこのような世界は描けなかったかもしれない・・。

 さて、自由と制約のことを考えているのだが、最近は年をとったのか子供がとても可愛く感じる。無邪気に遊んでいるかわいい子供。自由だなと思うが、親からいろいろ注意されたまらない顔をしている姿も見ることもある。母親は慈愛に満ちている側面もあるが、時に圧倒的に制約(というより支配)の顔を見せる時がある。「生き甲斐の心理学」で時々U先生から学ぶユング心理学の原型の中に、グレートマザーがある。日本神話の中に出てくる黄泉の国の支配者・イザナミ。恐ろしい顔をしてイザナキを追撃する女神。そんな恐ろしい女性のイメージが浮かぶことがある。


 自分の友達、ちょっと合わないと感じる人たち、気が合っている人たち、妻、家族・・いろいろな人間関係を私も結んでいるが、自分の母親のイメージ(特に幼少期)とこうしたお一人お一人のイメージを比較してみるとどうだろう。母親のイメージは様々な関係にいろいろな影をおとしているように感じてしまう。そして、自由に羽ばたく孫悟空がお釈迦様の手のひらから出られなかったように、グレートマザーはどこかで自分を支配しているところがある。


 それで何か?と訊かれると、少し困ってしまうが、自由と支配の不思議な関係を俯瞰すると、自由の意味合いが現れてくるように感じてしまう。

 先日、家の近くの縄文遺跡の土器が展示されているとのことで見に行った。約5000年前の縄文中期の勝坂式土器は、火炎式土器や中央高地の芸術的土器と比べるとやや地味な印象であるが、なじんでいくと、その魅力が深まっていく。そして、もともと土器は縄文時代の時代や地域をはかる物差し的なところがあって、10,000年以上の日本の歴史を覆いつくす、土器を通して土器作者の意識・無意識、そして10000年の大河の流れをどこかに感じてしまう。グレートマザーの何か恐ろしげな部分もあれば、それに対抗するような自由で軽やかな部分もある。

 (写真は2年前の東博での特別展縄文)

 俳句や和歌と同じように、土器も道具という衣装の中で表現した芸術であることには間違いない。

心の世界は今も縄文時代も 1/10 

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