一対一の人間関係でも、国と国の関係でも、和解と平和への重大な障害は、当事者のもつ独特の悩み。
では、問題を一つ。悩みとは何か?
急に訊かれると考え込んでしまう問いかけである。心理療法やカウンセリングの世界では病理論として、いろいろ説明がしているが、その考え方は、そのまま治療や予防と関係するツボである。『生き甲斐の心理学』では、次のように説明している。
その人のもつ理想と現実のギャップで悩みが生まれる。
例えば、写真のコップ。水が半分入っている。現実は半分くらいだが、コップの水への理想は高ければ、半分しかないというような強烈な悩みに通じる。
一方、理想が低くければ、水が半分もあるという、ポジティブな反応になったり、時にはコップの存在にも気づかなかったりする。
そして、悩み=理想ー現実 という公式は、悩みを解決する一歩でもある。
理想と現実。一見客観的なようだが、その解釈は両者とも本人・生育史次第。悩みの原因を理想と現実に分解して考えてみると、変な理想や現実の存在に気付くことも。育った環境から、いつの間にか借り物の理想をもっていたり、いつの間にか、幼い自己認識が無意識の中で悪さをしていたりする。
そんな、悩みの謎解きで力を発揮するのは、やはり人間観なのだろう。回答は自分の中。愛そのものが自分の中にもある。こういう人間観は、意外なところで力を発揮する。
さて、今日の話を次の一句でまとめよう。
『悩んだら 理想と現実 分けて観る たかがコップの 中の出来事』
みんなの病理論 1/10