太極拳の師匠、A先生から教えていただいた小川空(おがわそら)さんの漫画、「中国いかがですか?」を楽しんでいる。特に興味深いのは延安という、毛沢東の生誕の地(農民の平均年収が800元-10,400円 1元13円とすると-に満たず、都市部の1/10以下の所得といわれる)での生活だ。日本ではふんだんにある水すら制限されている貧しさに驚いたり(計画停電は経験したが、計画給水は?しかも給水のタイミングが極めて厳しい)、作者の異文化体験、人間の愛の体験というかをなぞることができる。
日本も3.11で何かが変わり、何かありのままで素朴な本物志向が強まっているように私は感じている。しかし、3.11よりずっと前から中国に(それも延安などに)長期に住まわれている小川空さんのバイタリティには頭がさがる。
極貧の生活。私は戦後生まれだが、食べ物に困った時代ではすでになかった。父母の世代からが、そうした本物の貧しさを経験したようだ。貧しい生活でしかも、兄弟が多い時代は、今と比べると随分違う。父母の話などを聴くと、そういう時代に生き抜いた楽しい話が思い浮かぶ。ある種の自己顕示が、漫画のようにおかしかったりだが、それは健全でむしろ美しい。
しかし、今の世の中では、こうした健全でない自己顕示が存在し問題のようだ。誰でも(私を含め)、大なり小なり、そうした傾向があると思うのだが、自己愛パースナリティ障害の特徴のひとつに<絶え間なく注視と賞賛を希求する自己顕示的態度>がある。何かはだかの王様のような感じで、自慢話をちゃんと聞かないと不機嫌になったり、人に迷惑をかけることも。原因は深層での愛の孤独の対処のしかたのようだ。詳しくは左のU先生の「生き甲斐の心理学」の第一章を参照のこと。
個性の美 5/10