ベルリンの壁が崩壊し冷戦が終わったとき、これからはきっと良い時代になると思ったが、あれから何十年かたって、今は相当に厳しい時代だ。子や孫の世代を考えると、いろいろ心配になる。
しかし、思えば自分の若いころも激動の時代だった。激動の時代を潜り抜けると、古き良きものが簡単に崩され、そしてもとには戻らないという事実を骨身にしみて知る。ただ、その中においても、破壊を潜り抜けるものもあるようだ。
私にとっては、20歳前後にI先生の理論を知ったこと。それゆえに専門課程も決まり、何か自分の「傾向と渇望」注1の線路に、時には脱線しつつも辿ることだったようだ。その延長線上にU先生の生き甲斐の心理学があった。
自分の、本当に「わくわく」すること。これは自分の「傾向と渇望」の鉱脈を知らせる何かなのだろう。そして、それは使命というか悔いのない何かと結びつく。世間体とか富とか様々なフリルは、それこそ激動の時代の中で破壊されるかもしれない。しかし、自分の「傾向と渇望」はいわば魂そのもの。「わくわく」感を大事にし、努力することが長い目でみて良いと思う。
でも、食べてゆくことも大事!
注1:カールロジャースの人格形成理論の命題④を次に参考までに記します。
有機体は、一つの基本的な傾向と渇望をもっている。すなわち、体験している有機体を現実化し、維持し、強化することである。
人生を大切に 1/10