イキイキと生きる!

縄文小説家・森裕行のブログです。身近な縄文を楽しみ生き甲斐としています。「生き甲斐の心理学」の講師もしています!

表層と深層!

2010-01-08 | 第三章「無意識の世界」

 サリンジャーのキャッチャー・イン・ザ・ライを先日から、ぼちぼち味読しているが、いろいろ考えさせられる。20歳前後に読んだ時は、何故惹かれたのかうまく言い表せなかったが、今、味読していると、主人公のホールデンの日常の出来事に反応する感情の機微と暖かい魂といったもののシンフォニーのようなものかなと思う。

 寮の同室のストラドレイターやアックリーに対する嫌悪感、微かな希望・・・亡くなった弟に対する深い愛情。歴史の先生、タクシーの運転手などへの様々な感情。冬の公園での凍った池にまつわるアヒルへの心配など・・・主人公の感情は好き嫌いをベースに彩られている。

 そして、好き嫌いといった湧きおこる感情はそれとして、魂のような静かで落ち着いた世界もでてくる。嫌いなストラドレイターに愛する弟の野球ミットについて、作文を書いてあげるところなどは、何とも味わいがある。結局は、諍いでその作文を破り捨ててしまうが。

 空は地表を吹く風もあるが、高いところにはジェット気流といった別の流れがある。海流も日本海流や黒潮といった海流もあるが、最近判ったことで、深海を流れる海流もあるという。海洋学の研究をしている知人から以前学んだ。

 有限な肉体と、生育史からなるこころの世界の他に、人間であれば深層を流れる海流のような魂を仮定してみると、別の世界が開け、解釈が広がるように思う。先日の土方歳三の俳句:

水の北 山の南や 春の月

 これも、水(多分川とすると俳句にならなかったので水としたのでは)の北 山の南やの自分や同僚のつくる有限の世界と、春の月といった無限の世界の織りなす不思議を描いているのでは。そんなことを考えると芸術が、楽しくなる。

写真はモノレールから浅川周辺で富士山方面を撮った写真。

(生き甲斐の創造 5/15)

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