1日の土曜日、家内が会員となっている七尾演劇鑑賞会主催の第82回例会で演劇版少年Hを観劇しました。
300万部を越えたというベストセラー「少年H」。妹尾河童さんの自伝的小説を舞台化したもので関西芸術座によるお芝居。(脚色:堀江安夫、演出:鈴木完一郎)
ご近所で漁師をしながら民宿をしているTさんは、東京で演劇の役者をしていたという方。この方も鑑賞会のお世話をしています。
Tさんのお勧めで家内が会員に。会員は例会の参加無料ですが、私と娘はフリー券を購入しての入場です。
本当は、会員の席とフリー客の席は離れているのですが、なんでも家内の隣の2席が空席確定とのTさん情報で、家族並んで座れました。
隣の席は、会員のI君夫妻。I君は家内の幼馴染で私とも呑み友達です。
さて、この記事を書く段階でネット検索をして、この原作がかなりの話題(問題)を振りまいたものだと知りました。
「間違いだらけの少年H- 銃後生活史の研究と手引き-」(山中恒等著)の書評
・児童文学書評:野上暁氏
・wad's 読書メモ
「少年H」出版当時著者は、記憶に基づいて書いたとしているものの、史実に照らすとかなり矛盾・問題があるという指摘を膨大な資料で示したというらしいです。
原作は読んでいませんので、どちらの論評もできませんが、お芝居のパンフレットには、「妹尾河童さんの自伝的小説…」とあるのは、このあたりの経緯があるからなのでしょう。
さて、そういうこととは露知らずお芝居を観たものの、知ってしまってから判るのですが、お芝居のストーリーでは「問題」と指摘された(らしい)部分は、ほぼ割愛されていたのではないかと思います。
いきなり、神戸空襲の惨状から始まるあたり、完全な出サビ。
後、時代は遡って、戦前の穏やかな頃から、徐々に人々の心の深い部分に影を落としていく様子が、妹尾さんらしいコミカルなタッチをそのまま受け継いで、お話が進んでいきます。
全編を通じて、随所にオーバーアクション的な要素があり、若手の役者さんたちによるエネルギッシュな演劇になっています。一芝居終わったらかなり疲れるのではないかなぁ…と思ってしまいました。
家内の親戚に、やはり東京の劇団に所属して子どもたち向けの芝居をしている方が居られたり、Tさんから伺うと劇団の運営はかなり大変だとのこと。このお芝居も僅か10人の役者さんで演じ分けられています。その他スタッフ11人。
場面はかなり多岐にわたりますが、大道具は一つだけで、色々な工夫で場面を表現していたことにも感心させられました。
今でも記憶にはっきり残っている台詞は、
・父親が特高に連行され一時帰宅した際につぶやいた「ウワサでも人を抹殺できる…」
・その後、クリスチャンでありながらも一家が生き残るため辛い選択をする際の「普通に生きていくことが難しい…」
これらの言葉は、程度の差こそあれ、今日でも立派に通用するのではないか。
そう思えてなりません。哀しいことですが…
「過ちは繰り返しませぬ」と誓ったはずの過ち…。
それは戦争という政治レベルのものだけでは無かったはず…
・史実に基づいた正確な伝達
・史実に矛盾するも人々の心を掴む物語
どちらが善いかではなく、伝えること・伝わることが第一歩のように思います。
よいお芝居だと思います。
隣のI君夫妻の席は、とうとう空いたままでした。
子供といっしょに、「河童」(題名は忘れてしまいました^^;)のミュージカル劇を観たことがあります。
唄や、セリフ、舞台セットなど、生で観ると
迫力を肌で感じられますね。
子供も真剣にみていました。
「環境問題」にからませたストーリーでしたが、子供ゴゴロに、伝わるものがあったようです。
>史実に基づいた正確な伝達
>史実に矛盾するも人々の心を掴む物語
どちらが善いかではなく、伝えること・伝 わることが第一歩のように思います。
同感です。
変えることができるんだぁという驚きと
河童が本名だという驚きと
いやはや、凄い河童…
河童で街づくりをしている処で記憶にあるのは、佐賀(だったはず)。県庁近くの商店街にせせらぎと河童の可愛い姿がたくさんあったように記憶しています。
河童。不思議な「生き物」ですね…