はじめに
兵庫県でのキンキコルリとニシコルリの分布境界調査について
中部地方で発見したコルリクワガタ種群は
便宜上「キンキコルリ」のカテゴリーで覚書しています。
カテゴリー「キンキコルリ」から入ると一連の調査につながります。
下図は調査した場所の略図で、初調査日時順にA〜Hです。
(青=ニシコルリ・緑=キンキコルリ・グレー=未検・背景色なし=発見できなかった)
鶯色三角型は、位置関係をわかりやすくするためのもので深い意味はありません。
今回は早春ということもあり、GエリアとHエリアの分布調査と同時に
中部地方のコルリクワガタ種群の発生時期を知るチャンスでもありました。
よって記事構成は、調査日時順になっています。
↓ 新たにG・Hの二カ所を調査
Gエリア
日時:2024年4月13日 9:45~10:40
場所:兵庫県中部(Fエリアから南方向に直線で1.9㎞・Bエリアまで南方向に直線で約1.5㎞)
標高:910m前後
天候:晴 気温:16℃前後
結果:発見なし
調査した場所は日当たりがよく、林床はやや乾燥気味でした。
林床を1時間ほど探しましたが、産卵痕すら発見できず
また、スイーピングもしましたが成果はありませんでした。
ここは斜面が急であったりして探せる範囲が限られました。
↓ 極一部の木のみ芽吹き
Bエリア:キンキコルリの発生状況
日時:2024年4月13日 11:00~14:30
場所:兵庫県中部Bエリア
標高:930m前後
天候:晴 気温:22℃前後
結果:未発生と判断
Bエリアは既に調査済みで、キンキコルリが分布しています。
背の高い広葉樹の樹冠付近は膨らんでいましたが
林全体で見ると、新芽が、ひこばえが、どうのこうのいう状態ではありませんでした。
春はも少し先のようです。
林床には蛹室で待機する新成虫の姿があり
4月13日現在、発生には至っていないと判断しました。
↓4月13日、新成虫は蛹室で待機していた
↓ 待機中のメス
↓ メス腹面色調(胸の色は黒〜褐色で個体差有)
↓ メスによる誘因トラップ(成果無し)
Hエリア
日時:2024年5月11日 14:45~16:20
場所:兵庫県中部(Fエリアから南方向に直線で約2.2㎞・Bエリアまで西南方向に直線で約1.5㎞)
標高:735m前後
天候:晴 気温:19℃前後 半袖で寒い
↓ 沢沿いで、標高のわりに気温が低い
キンキコルリがいるBエリアまでは直線距離で約1.5㎞
標高はBエリアより200mほど下がりますが、ひんやり肌寒い沢沿いでした。
とはいえ、5月の11日にもなるとコルリクワガタが好んで潜り込むような
所謂「ひこばえ」みたいな樹木の状態はほぼ過ぎており
周囲の木々は新緑に染まっていました。
↓ 5月11日現在、新緑全開!
探し始めて30分ほどで産卵痕の付いた朽ち木を発見。
毎度のことながらそこから生体は出てきませんが
この谷にもコルリクワガタがいることはわかりました。
↓ 古い産卵痕発見
↓ これも古い産卵痕
少し急な斜面で見つけた半埋木を抜き出してみると
産座周辺に真新しい木屑が付いていました。
それは、かなり新しい産卵痕です。
↓ 齧り屑の付く真新しい産卵痕!
スマホの撮影を止め、朽ち木表面をチェックすると産卵途中のメスがいました。
コルリクワガタは警戒心が少なく、飼育下でも産卵の様子を簡単に観察できます。
このメスも直接触れるまでは材を齧っていました。
↓ 朽木を齧る正体発見! オスの姿はなし
中部地方の発生時期について
4月13日に蛹室内にとどまる新成虫を複数見たこと、空の蛹室を見なかったこと
5月11日にはHエリアで産卵中のメスが単独でいたこと
更には周辺木々から感じとれた季節感なども合わせて推察すると
兵庫県中部地方におけるコルリクワガタ種群の今年の発生は
4月中旬頃から始まり、5月12日現在は終盤を迎えていると判断します。
これは、今年の北部のニシコルリと似たようなタイミングであったと考えます。
Hエリアで採集したコルリクワガタのメスは材とともに飼育下において
今年の冬には種の同定に繋げたいと思います。
↓ メスの腹面色調
↓ メスと材を持ち帰り飼育
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