貧乏石好き

つれづれなるままに石をめぐりてよしなきことを

スミソナイト

2021-12-14 21:00:23 | 単品

ジェームズ・スミスソン(James Smithson、1765-1829、英)の名前は知らなくても「スミソニアン博物館」はだいたいの人が知っているのでは。恐竜の展示が有名だけれども、自然史博物館を始め19もの博物館・教育研究機関を抱えた超巨大学術機関。
これが変な話で。
イギリスの侯爵家の私生児としてパリで生まれたスミスソンは後に貴族として認知され、鉱物学や化学の研究に打ち込み、王立協会フェローにもなった。独身を通したため遺産相続人がおらず、莫大な遺産はなぜかアメリカ合衆国に「知識の普及と向上」のために寄付された。自身はアメリカに一度も行ったことがなく、なぜそんなことをしたのかはわかっていない。合衆国はこれを受けて1846年にスミソニアン協会を設立、以後、博物館や研究機関が次々と開設された。スミスソンの生涯は不明なところが多く、研究ノートや収集品は火災で焼失。
何ですかね、これ。まあ昔のイギリス貴族は大金持ちだったらしい。けど、なぜ縁もゆかりもないアメリカに寄付したのか。日本……はまだ徳川幕府だったか。とにかく、謎の歴史。
しかしいいことですね。お金持ちはこういうお金の使い方をしていただければ、などと余計なお世話ですか。

で、石に名前がついた由来。
もともと、亜鉛を含む鉱石として「カラミン」と呼ばれる美しい鉱物があった。
で、この「カラミン」は、結晶両端の形が異なるヘミモルファイト(異極鉱)が主だったのだけれど、その中に異なる鉱物を見分けたのがスミスソンさん。で、死後、その鉱物に彼の名前がつけられた。
ヘミモルファイトは Zn4Si2O7(OH)2・H2O、スミソナイトは ZnCO3。ずいぶん違うけれど見た目での区別は難しいらしい。塩酸への溶け方が違うので、試せばすぐわかるとか。え? 溶けてなくなっちゃうじゃん。

ヘミモルファイトは、ちょっとほしいなと思っていたのですけど、お手頃のものは砂糖掛けみたいだし、結晶ものだと高いしで、やめていた。
一方スミソナイトも、けっこう高い。特に名産地のソコロ産は美しいけどとても高い。
何なんですかね。両方とも二次鉱物なので産出が少ないのかもしれない。
で、またまたですが、エヌズミネラルさんのサイトを見ていたら、けっこう美しい青の母岩付きクラスターがでていたので、バーゲンということもあって、ぽち。

お菓子のような白っぽく明るい青が、可憐で美しい。案外この手の色の石は少ないかもしれない。
もっともこの青は包含物によるもので、ほかにも色があるみたいだけど。

亜鉛と言えばスファレライト(Sphalerite 閃亜鉛鉱、ZnS)。これもいろいろな色があるけれど、前に出したように朱赤のものは美しい。



亜鉛そのものの名前を持ったジンカイト(Zincite 紅亜鉛鉱、ZnO)は亜鉛工場の煙突に生成するとか。それって石じゃないんじゃない? オレンジというか朱というか、色は美しい。持ってないけど。

亜鉛というのは……よくわからない。合金とかあるんだろうけど。地殻構成金属としても多くない。知っているようで知らない、ググっても何となく要を得ない。捉えどころのない金属ですな。
と思ったら、何と男性ホルモンの代わりとなるとかで、サプリになっていたわ。昔ちょっと試してみたことがあるけど、あんま影響なかったような記憶がある。ジジイとなった現在では無駄だしね。
いや、スミソナイトでそういう話をしてはいけない。

亜鉛を含む鉱物にはほかに次のようなものがある。
・アダマイト(Adamite アダム鉱、水砒亜鉛鉱) Zn2(AsO4)(OH)
・フォスフォフィライト(Phosphophyllite 燐葉石) Zn2Fe2+(PO4)2・4H2O
・ローザサイト (Rosasite 亜鉛孔雀石) (Cu,Zn)2(CO3)(OH)2
フォスフォフィライト(つまらんギャグはやめときなさい)は青が美しい石だけど、なぜかものすごく高い。まあ諦め。


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