古代日本国成立の物語

素人なりの楽しみ方、自由な発想、妄想で古代史を考えています。

新元号「令和」への思い

2019年04月01日 | 雑感
 新元号が「令和」に決まりました。出典や意味を知る前の第一印象は、漢字から受けるイメージ・音の響きなど、どれも「ええやん、ええ感じ」というものでした。「明治」「大正」「昭和」のどれもが角ばったイメージの漢字で、伝統や格式といったちょっと堅苦しい印象がありました(私は昭和生まれなので「昭和」には愛着がありましたが)。それが次の「平成」になった途端にカドがとれて剛から柔に急に優しくなって、ちょっと締まりのない印象を受けたことを覚えています。こういった過去の経験も含めて今回の「令和」の印象は「昭和」でもない「平成」でもないちょうどいい感じ、と思ったのです。

 「令和」の英字表記は「Reiwa」となります。この「R」の響きも軽やかでいいですね。調べてみると「大化」から「平成」までこれまでに247個の元号が制定されていますが「R」で始まるのは3つしかないのです。ひとつは奈良時代の「霊亀(Reiki)」、ふたつめが鎌倉時代の「暦仁(Ryakunin)」、みっつめが南北朝時代に北朝が制定した「暦応(Ryakuou」です。話は少しそれますが、学生時代に車を運転するようになって自動車メーカーがつける車の名前に興味を持ったことがありました。そのときに、各社とも多くの車種にラ行のどれかの文字を入れるケースが多いことに気がつきました。カローラ、カリーナ、クラウン、セリカ、コロナ、センチュリー、カムリ、ランドクルーザー、スカイライン、ブルーバード、パルサー、セドリック、グロリア、フェアレディZ、プレジデント、レパード、ローレル、スタリオン、デリカ、シャリオ、ミラージュ、ランサー、パジェロ、ギャラン、コルト、レジェンド、プレリュード、、、各社がラ行を意識していたのか、それとも偶然なのかわかりませんが、この時代の車でラ行のついていない車名を挙げるほうが難しいと思います(サニーとかシティとか少しはありますが)。当時、私はこのラリルレロの音から軽快に颯爽と走る車をイメージしていました。「令和」の「令」の音にそのイメージが重なりました。

 「令和」の出典は万葉集だそうです。日本の文献を出典にしたのは初めてとのことで、これまでの慣例や伝統を破ったと批判的に捉える人もいるようですが、そもそも今の時代にあって中国の文献にこだわる必要は全くないですよね。日本が中国の統治体制や文化を取り入れて国家としての体を構築しようとしていた奈良時代や平安時代ならまだしも、あるいは漢字の歴史が浅い時代ならまだしも、日本は漢字を使うようになってすでに千数百年の歴史を持つのです。歴史書も含めて膨大な漢字文献の蓄積があるのです。これこそが伝統であると思います。

 その出典である万葉集の巻五「梅花の歌32首」の序にある「初春令月、気淑風和。梅披鏡前之粉、蘭薫珮後之香」ですが、岩波文庫「万葉集(二)」によると「しょしゅんのれいげつ、きうるはしくかぜやはらぐ。うめはきやうぜんのこにひらき、らんははいごのかをりにかをる」と読んで、その意味は「初春のよき月、気は麗らかにして風は穏やかだ。梅は鏡台の前の白粉(おしろい)のような色に花開き、蘭草は腰につける匂袋のあとにただよう香に薫っている」ということです。恥ずかしながら、この歳になって初めて「令」という字に「良い」とか「立派な」という意味があることを知りました。「命令」「法令」「号令」「発令」など、どれも上意下達のようなニュアンスで使うことばかりだったので少し意外でした。この「令」の字が元号で使われるのは初めてのことです。
 「和」は、やわらぐ、なごむ、穏やか、仲良くなる、混ざり合うなど、争うことなく良い関係になること、良い関係でいることを表していて、この「和」の字が使われるのは過去に19回ありました。いつの時代にあっても争いのない平和な時代が望まれたのでしょう。

 「令和」は、新しい時代を今よりもいい時代にしたい、平和な時代でありたい、という私達の願いを上手く言い表した良い言葉だと思います。様々なシーンで西暦表記が一般的になってきていますが、それはそれとして、日本の伝統として定着している元号が将来にわたって続いてほしいと願っております。




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