古代日本国成立の物語

素人なりの楽しみ方、自由な発想、妄想で古代史を考えています。

高橋貝塚・阿多貝塚

2018年05月30日 | 遺跡・古墳
2018年5月25日、南九州実地踏査の第五弾。この日の最後の目的地は高橋貝塚。(高橋貝塚については当ブログ「南九州の遺跡」で少し触れています)

薩摩半島の西には日本三大砂丘のひとつとされる吹上浜があります。その吹上浜の砂丘の南端に玉手神社があり、その境内にあるのが高橋貝塚です。縄文時代晩期から弥生時代中期にかけての遺跡で、籾痕(もみこん)のある土器や石包丁が見つかったことから南九州でもっとも早く米作りが行われた場所と言われています。また、琉球産のゴホウラ貝を加工した腕輪の未製品も出土。ゴホウラ貝の腕輪は北九州の立岩遺跡からも出ているため、この高橋貝塚は琉球から貝を仕入れて貝輪に加工し北九州へ販売していたと考えられ、南九州の海洋交易の拠点あるいは加工貿易の拠点であったと言えます。もちろん、古代には貨幣がないので物々交換でした。そういえば、一方の立岩遺跡は石包丁の産地でした。

南さつま市の市街地を抜けて「阿多」の交差点を曲がって高橋貝塚に向かう途中の風景。

少し小高くなった砂丘が連なっているのがよくわかります。目的地はこの砂丘の南端(写真では左端あたり)です。

実はここでまた悩ましい場面に遭遇。少し走ると川があって橋を渡ります。ナビではこの橋からすぐを左折して少し行ったところが目的地になっています。ところが、橋を渡ってすぐの交差点に「←高橋貝塚 約300m先右折」という小さな案内板が見えたのでナビを無視して左折しました。左折すると川の堤防を走ることになりますが道は広いので問題ありません。300メートルといえばすぐそこです。ところが、です。300メートル走ると「→高橋貝塚」の案内板が見えたのですが、そこには道路はありません。なんと幅1メートルほどの坂道があって、その先が高橋貝塚だというのです。おいおい、誰のための案内板やねん。

今回もストリートビューでお見せします。これが左折の案内。

どう見たって曲がるでしょ。

そして右折の案内。

畑の向こうのこんもりしたところが目的地。

ナビは神社の裏手に出るルートを示していたのであきらめて、とにかく堤防の下に見えている細い道に入ろうと来た道を戻った。車一台がやっとの細い道なので対向車が来ないことを祈りながらゆっくり走って神社の正面に到着。しかし、到着したのはよかったのだけど、またしてもUターンができない場所だった。

車の目の前が神社の入口。

この階段の分だけ周囲よりも高くなった場所に遺跡があるということです。

階段の左手に由緒がありそうな石碑。近づいて目を凝らして読んでみると「日露戦役記念碑」とあった。


境内に土俵があります。なぜここに土俵があるのかはあとで知ることに。


社殿の奥に説明板があります。


近くへ寄ります。

遺物は持ち帰らないように、とあるけど社殿裏の遺跡は金網で囲われていて入れないぞ。でも、少し前までは囲いはなくて誰でも入れたそうです。

帰りは結局バックで戻ることに。今日一日でまた車の運転が上手くなった気がします。

そして堤防へ戻って遺跡のある場所を撮影。この遺跡はてっきり砂丘上にあるのかと思っていた。境内に登る階段が砂丘南端にあることを示しているとも思っていた。でも、あとで遺跡の報告書を読むと、この遺跡は砂丘上ではなくて眼の前の川(堀川という)の河岸段丘の上ということになっていました。

これで本日の踏査は終了の予定でしたが、この高橋貝塚に来る途中に道路脇に建つ「阿多貝塚」の説明板を見つけたので、帰りにそこに寄ることしました。

この阿多貝塚は堀川を挟んで高橋貝塚と反対側の河岸段丘上に位置します。


段丘上というのがよくわかります。右側に堀川があります。


阿多貝塚は縄文時代前期から弥生時代にかけての遺跡で、このあたりは明治の頃から貝殻がよく見つかったので貝殻崎と呼ばれていました。近くには貝殻崎城跡の立派な石碑が建っています。


貝殻崎城は鮫島城とも呼ばれます。源頼朝が征夷大将軍になった年、平家追討の戦いで功を挙げた駿河国の鮫島氏は阿多郡の地頭としてこの地に派遣され、貝殻崎城を築いて本拠としました。その鮫島氏の末裔が小泉家につながったことから、小泉元首相の筆による碑が建てられたということらしい。

さあ、これで本日の踏査は完了(実はあと1ケ所あったのですが、すっかり忘れていました)。この日の踏査は結果的に1年半前に書いた記事「天孫降臨(薩摩の野間岬)」を確認する踏査となりました。

市内へ戻って予約しておいたビジネスホテルにチェックイン。近くにレストランなどはなく、疲労困憊で出かけるのが億劫だったので近くのコンビニで食料を調達して部屋で晩ご飯。心地よい充実感に浸りました。
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