チコの花咲く丘―ノベルの小屋―

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ADHDとともに「君の星座」第7章 断ち切れない鎖 その40

2013-11-07 19:12:46 | ADHDとともに「君の星座」
 それはまた寂しいわね。一番お世話になった方なんでしょ?仕方ないよ。職場ってこういうお別れはよくある。よくしてくれた人が去っていくなんていくらでも・・・
『ツキシロさん。シフト決めましたのでよろしくお願いします。』
マエハラさんからの手紙がロッカーに入っていた。・・え!そうなら、メールで先に言っておいてよ!時間を気にしながらお母さんにメールを送って、受付に駆け出した。
 今度は、奥さんから。
「おはようございます。あの、聞いていただいたでしょうか?・・・ですので、一日通しの日は、午前は二時で上がってください。それで、四時半に戻ってきていただけますでしょうか?」
 その午前中が終わり・・・どうしよう?家にカエルにも片道三十分、往復したら一時間。おじいちゃんもいるし、かえって落ち着かない。よし、医院の近所にいよう。この辺にはそれなりに楽しめるところも多いし。信号を渡って、あそこにコーヒー飲み放題のお店があるんだ。
「すみません、ホットコーヒとアンパン一つください。」
給料安いから。ぐっと抑えなきゃ。やれやれ・・・空いているソファに座り、アンパンを少しずつかじって甘いコーヒーで流し込みながら、今朝マエハシさんの手紙に目を通していた。
 月曜日は一日通し。火曜日は午後だけ。水曜日はお休み、木曜日は一日通し、金曜日は夜だけ、そして、土曜日は午前だけ。一気に仕事増えたな。たくさん働けるのは嬉しい。お金だけじゃなくて、私は仕事を任せられる人間だってことだから。
「あ、コーヒーおかわりください。」
お店には、中高生らしい子達がたくさん入って来た。そろそろ下校時間なのかな?まだ学校始まってないはずだし、部活帰りかな?なんか、楽しそうだな。今の中高生って。部活も強制じゃないんだよね。その辺がうらやましいな・・・・ファァァァァ。ちょっと眠い。転寝させてもらおう・・・
 こうして、一週間四十二時間勤務、水曜日は家事当番、日曜日は婚活という、休みのない日々が幕をあけた。