チコの花咲く丘―ノベルの小屋―

チコの小説連載中!完結作は「でじたる書房」より電子出版!本館「ポエムの庭」へはリンクでどうぞ!

ADHDとともに「君の星座」第7章 断ち切れない鎖 その50

2013-11-17 18:57:27 | ADHDとともに「君の星座」
 いい歳して、家出なんて格好悪いことしないで。だいたい、女の子が夜中に一人で街にいるなんて、いい獲物よ!悪い人に連れて行かれたらどうするの!・・・そういう家出に追い詰めたの、誰だよ!
 連休の間、親とは口を利かず。自室に閉じこもってパソコンやゲーム。ツカツカツカ!お母さんだ。
「ハルカ、ナガタさんと会う日、早く決めなさい。追いかけていきなさいよ!」
「・・・・。」
やれやれ。ケータイを開いて、ナガタさんへのメールを下書きし始めた。
 その前に、また仕事だ。
「おはようございます。」
今日は一日通し勤務。そろそろ半袖のポロシャツ一枚でもいい時期なのにカーディガンを着てるのは、体に出来た赤い発疹が引かないから。お医者さんには悪いものではないといわれたけど・・・。あーあ。この四月から忙しくなって、一週間に三食、つまり、一日は食事を取ってない状態だもの。その上、休みらしい休みが一日もない。
『若いんだから!そのぐらい出来る!』
 受付開始。本格的な仕事の始まり。今日こそは失敗しないように、がんばらないと!
「こんにちは。今日は?」
リハビリ、それだけの人はリハビリ票を渡してカルテにはこのハンコ。診察の人は、注射の人は。保険証が変わった人は。保険会社の書類を持っていた人には・・・間違えないように、一生懸命やるほど、
「受付してもらっていいですか?」
途中で仕事を中断させられて。もう!いい加減にしてよ!
 午前中はアライさん・・・休憩時間、午後診のお仕事・・・夜の十一時十分。こんな時間でも結構、バス停に人がいる。ブルルルル!私のケータイだ。この歌は電話の着信。マエハシさん?!
「はい、ツキシロです!」
『あの、マエハシです。ツキシロさん、夜のゴミ出しですけど、ダンボールが残っていました。』
え!
「そうでしたか!すみません!」
『言ってましたよね、ダンボールのゴミも一緒に出すって。』
すみません・・・ケータイを耳にペコペコ謝って、通話終了。きっちり三十秒の説教だ。
 マエハシさん。午後診の一番の厄介者はこの人だ。そりゃ、出し忘れたことは悪いかもしれないけど、ゴミの出し忘れぐらい、次のゴミの日に出せばすむのに!腹を立てながら、系統番号を青く灯しているバスに乗り込んだ。