チコの花咲く丘―ノベルの小屋―

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ADHDとともに「君の星座」第7章 断ち切れない鎖 その26

2013-10-24 14:22:34 | ADHDとともに「君の星座」
 家族四人の夕食を終えて、平和なのはここまで。
「申し込みは来たか?今日は!」
お父さんの怒鳴り声と共に、恐怖の婚活の時間へ。パソコンを持ってきて、サイトを開く。
「今日は、この四人の人。」
「・・・・。」
年齢、写真、最終学歴、職業、今住んでいる都道府県名、家族構成、趣味、資格。せいぜいこの程度の情報しかない。交際を申し込めば、もうちょっと詳しいのが見られるようになるんだけど。
「まあ、この情報だけなら、この二人しかないだろうな。」
「そうね、ハルカ、申し込みなさい。」
ボタンを押すと、申し込みの受理が相手に伝えられる。ここからしばらく、メールで話をすることになるんだけど・・・
 今、そのメール交際中の人が二人いて。あ、一人返信が来てる。
「え!返事来た?見せなさい!」
無理やり隣に座ってくるお母さん。メール文面の添削するっていつもこうなんだ。
「へー、なるほど・・・返事の文章下書きして。終わったらまた見せて。」
で、書き上げると、
「何してるの!これ、書き直しなさい!本当にもう、あんたは放っておいたら!」
左耳がつぶれるぐらいの声で怒鳴り散らされる。
 辛いけど、これも生きていくため。私のためだ・・・キーボードで打ちながら、押し付けられた矛盾と葛藤していた。この年齢になっていきなり、深い関係になる異性を探して交際しろなんて。
 私、中学高校は女子校だった。あの頃うちの親は、男の人とはしゃべるな、目も合わせるな、たとえセールスの電話でも男の人とはしゃべるな。そう言われてきた。
『お前は男の子を知らないんだから!』
何で女子校なんかやられたんだろう?公立なら共学だし、そんなこと言われなくてすんだのに・・・
 大学は共学だったから、男の子もいた。でも、話すことはなかった。慣れてないとかじゃない。私にはナオキっていう弟もいるし。むしろ、人間全てに不信感があったのだ。
「正月に帰ってきた時に、ナオキが言ってたわよ。姉貴、もうちょっと身を構えって。ナオキもね、お姉ちゃんがいいところにお嫁にいって幸せになってほしいって思ってるのよ!」
 そういうけれど、私はすでに、嫁に行けば解決という発想は切り捨てている。あんたらだけだよ、いつまでもしがみついてるの。あれだけうまくいかなかったのに、どうして目が覚めないの!

女の子は嫁にやったらいい。そこまで綺麗な状態で置いておき、うまく嫁がせたらすべてが解決する・・・