チコの花咲く丘―ノベルの小屋―

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ADHDとともに「君の星座」第7章 断ち切れない鎖 その15

2013-10-13 19:10:47 | ADHDとともに「君の星座」
 ハルカ、十二歳。中学一年生。
 黄金週間を迎える前に、私はすでに一人だった。
「あんた、相棒はいないの?」
「ネクラ!キモい!」
 部活動は一応、マンガ部。週三日で楽そうだし、ほら、私アニメ好きだしその話が出来るかと思って。だけどそこも。
「あんたなんかどこにも就職できないわ!」
「どこいっても三日で来なくていいって言われるわ!」
何で・・・担任までさ、
「ツキシロさん。お弁当も一人よね。クラスに友達いるの?部活はどうなの?楽しいの?」
「あ、はい・・・」
そう答えるしかなかった。どうして・・・あれだけ勉強させられて入学した学校なのに!意地悪ばっかり!女の子嫌い!女の子怖い!
 お父さんお母さんも。
「大人になったと思うな!」
バシッ!
「クラブ、週にたった三日だけ?この不良が!」
バシッ!
「前髪が伸びた!」
バシッ!
「何で椅子がこけた!」
バシッ!・・・何で殴るの?中学生になったとたん。ナオキ、あんたはいい子ね。よしよし・・・中学生だから殴られるの?制服がないから?校則が緩いから?じゃあ、どうしてそんな学校に受験までさせて入れたの!
 小学校時代の仲良し、シオリちゃんとナツコちゃん。時々電話するんだけど、
『ごめんね、その日は部活なんだ。』
『試験が近いし、勉強しないと。』
・・・。勉強って、そんなにやりたいかな?そう言えば、学校の教室でも、
「英語の問題集買った!」
なんて話を聞く。同じく、受験してきた子ばっかりなのに。私、もう二度と嫌だよ。あんなしんどいこと。小学校時代を返してもらって思いっきり遊びたいよ。皆、そう思わないのかな?
 どんどん大人になっていく。心も体も、皆はどんどん大人になっていく。私は学生のままなのに。もともと中学生になるの嫌だったけど、本当にもう嫌だ。・・・あれ?あの子、名前なんだっけ?私、中学に入ったとたん、クラスメイトの名前が覚えられなくなった。隣の席の子もわからない。
 昔から思ってたけど、やっぱり私、皆と違う。中学になって今まで以上にはっきりそう思うようになってきた。