チコの花咲く丘―ノベルの小屋―

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「希望の樹」第4章 ここにいて、いい人 その38

2012-08-25 19:25:39 | 福祉の現場から「希望の樹」
所長、またお給料の金額が。明細と違うんですけど。
あ、ごめんなさい。そういう時は、来月修正しますから。

おはようございます!
「あの、すみません。アカリちゃんの支援の事ですが。」
また何かやり合ってる、サカキさんと所長さん。しかもアカリちゃんって、今日来ないし。だいたい、あのスケジュールボードも、普段アカリちゃんがここでやってる事を単純に写真張りしただけのような気がする。
 今日は珍しく、サカキさんと一緒に送迎だ。
「よろしくお願いします。珍しいですね、この組み合わせ。」
「そうですね!」
嬉しそうなサカキさん。だいたい、常勤職員さんが土曜日に出てくるってこと自体珍しいけど。
「タマキさんは、土曜日大丈夫なんですか?」
「はい。私は、お仕事がある方がありがたいんで。」
所詮、週三日の勤務。他の平日と日曜日が空いてるもん。だから、土曜勤務でもどうって事ない。
「僕はね、正直、土曜日は出たくないんです。」
「どうしてですか?」
「いや、バンドの活動してるんですよ。その練習があって。毎週じゃないですけどね。」
へぇ、それは意外!だって、丸坊主だし。まあ、それだと色々ヘアピースとかつけやすいのかな?だけど、正職員なのに、土曜日は出たくないとか!
「ツリーハウスってね、土曜日やる意味あまりない気がするんですよ。」
「え?でも、所長さんがやるって言ってるんでしょ?それがうちのポリシーだって。」
「そうなんですけどね。第一、スタッフが集まらないし。利用者さんにとっても、あまりニーズがないんじゃないかって気がするんですよ。」
その辺は、どうかわからないけど。逆に、土曜日に預かってほしいって親御さんも多いんじゃないかって気もするんだけどね。
 あ、そうだ。
「あの、アカリちゃんの事なんですけど。」
「ん?何ですか?」
こんな事聞いていいのかな?
「あの、彼女って何が問題なんですか?」
どうしよう・・・サカキさん、黙っちゃった。怒られる?
 冷や汗が出そうになった時、サカキさんが口を開いた。
「いや、問題というか。」
「アカリちゃん、何か悪い事しました?」
そうだよ、他の利用者さんの迷惑になってる?
「いえ、彼女があまりにもほったらかしにされてるんで。」
って、いつもムラタさんとアサクラさんがつきっきりじゃない。
「少しでも一人で過ごせるように、手がかからないようにするのが支援じゃないんですか?」
私が支援学校で学んできた事から言えるのは、それだよ。
「まあ、それも含めてですけど。」