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イタリア国債急落 利回り一時7.4%、「危険水域」に

2011年11月10日 06時27分29秒 | ニュース
ユーロ圏3位の経済大国であるイタリア財政に対する市場の不安が止まらない。9日には同国の10年物国債利回りが通貨ユーロ導入後の最高(国債価格は最低)を更新し、中長期の財政運営の持続性が危ぶまれる7%を突破した。8日夜にベルルスコーニ首相が辞意を表明したが、投資家の売り圧力は強い。欧州連合(EU)や欧州中央銀行(ECB)などによるイタリア支援の強化も課題に浮上しそうだ。



 イタリア国債は今夏に価格が急落し、8月上旬からECBが断続的に買い支えている。今月初めには国際通貨基金(IMF)が財政再建の進み具合を点検する専門家を送ることになった。ただ、EUも含めた支援の枠組みは債務危機のギリシャに集中している段階だ。イタリア支援の拡大まで想定しておらず、市場の懸念が先行している。

 9日の欧州市場では朝方(日本時間9日夜)からイタリア国債への売りが先行し、10年債利回りが前日の6%台後半から一時7.4%台へ上昇した。2年債は同7.5%台、5年債は同7.7%台まで急上昇。

 アイルランドとポルトガルは10年債の利回りが7%を超えた後に上昇に歯止めがかからなくなり、EUなどから資金繰りを支えるための融資を受けた。金融市場では自力で資金調達を続ける目安として「7%」は大きな節目とみられてきた。

 投資家がイタリア国債を売り急いだ直接のきっかけは、欧州の証券決済機関であるLCHクリアネットがイタリア国債の取引に必要な証拠金を引き上げた動きとみられる。同国債取引に伴う一時的な負担の増加を嫌った投資家が保有国債を一斉に手放したもよう。ベルルスコーニ首相が財政安定法案の成立後に辞任する意向を示したものの、市場心理は大きくは好転しなかった。14日に予定する次回以降の国債入札にも影を落とす。

 イタリアは政府債務残高が2011年の予測で国内総生産(GDP)の約120%と高く、欧州の銀行などのイタリア国債の保有残高もギリシャやポルトガルよりはるかに多い。同国債の値下がりが続けば銀行の潜在的な損失が膨らみ、損失処理に伴う自己資本の縮小を通じて欧州のみならず世界の金融システムを揺るがす恐れがある。

 欧州連合は10月末の「包括戦略」で、財政不安国の支援に使う欧州金融安定基金(EFSF)が扱う資金を1兆ユーロ規模に拡大する方針を打ち出した。ただ、新興国や民間の資金の活用など具体策はまだ固まっていない。EFSFが緊急融資などでイタリア支援を拡充することになれば、1兆ユーロ規模では足りないとの民間試算もある。信用不安の広がりを抑える対策も急務になってきた。
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