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イタリアへ不安連鎖 政局混迷、国債売り

2011年11月09日 06時51分06秒 | ニュース
 欧州債務問題で、市場参加者の視線がギリシャからイタリアに移ってきた。ベルルスコーニ首相の与党内での求心力が急速に低下し、経済規模でギリシャを大きく上回るイタリアの財政再建が遅れることへの懸念が強まっている。与野党による連立政権樹立が決まったギリシャも財政緊縮策の実行に懸念が残り、債務不安の火だねはくすぶり続けている。

 【ジュネーブ=藤田剛】ギリシャで暫定連立政権の樹立が決まり、同国の資金繰りに対する不安がひとまず後退した7日の欧州市場。財政懸念の後退で国債への買いが活発になるはずなのに、むしろ売りが優勢となった。売りを誘ったのは、イタリアの政治に対する不安。ベルルスコーニ首相に対する辞任要求が激しさを増し、政局が流動化している。




 「与党は過半数を確保しておらず、総選挙に踏み切るべきだ」。ANSA通信によると、連立与党の北部同盟に所属するマローニ内相は6日夜(日本時間7日未明)、テレビ番組でこう語った。連立相手からも総選挙を求める声が上がった背景には、与党「自由国民」で首相の求心力が急速に低下していることがある。

 3日に2人、6日には1人の議員が同党から離党し、地元メディアはさらに22人以上が新グループの結成を検討中と報じている。10月14日に下院で実施されたベルルスコーニ内閣の信任投票は賛成316、反対301で信任案が可決された。しかし、その後の与党議員の離反で過半数割れに陥る可能性も出てきた。

■首相の辞任観測浮上

 11月8日には2010年度の会計報告に関する法案が採決される。これは足元の財政再建策とは無関係だが、10月11日に与党議員の欠席などで1度否決されており、再び否決されれば事実上の「内閣不信任」となる恐れがある。現地報道によると7日にはベルルスコーニ首相の辞任観測が浮上し、同首相が「事実無根」と否定する場面があったという。

 国際通貨基金(IMF)による監視の受け入れも火だねとなる。イタリアは北部に自動車メーカーなど製造業が集積し、経済規模はユーロ圏で3番目に大きい。そのイタリアがIMFの監視下に入ったことに対して国民の間では失望感が広がっており、これがベルルスコーニ政権の支持率低下につながる懸念がある。

 野党・民主党は首相が「IMFの監視は我々が依頼したことなので、望むときにいつでも中止できる」などと発言したことに対して「財政再建への決意が疑われる」と批判のトーンを強める。

■内外から批判

 欧州中央銀行(ECB)理事のメルシュ・ルクセンブルク中央銀行総裁はイタリア紙とのインタビューで「イタリアが約束した改革を実行することができないと分かれば、これまでの決定を変更する」と述べ、イタリア国債の買い入れを停止する可能性を示唆した。

 イタリアの10年物国債利回りは7日に一時、心理的な節目である7%が視野に入る水準まで上昇(価格は下落)した。国債利回りの上昇が止まらないようだと投資家の買いが入らず、イタリアは市場での資金調達が難しくなる。ギリシャやポルトガルは10年債利回りが7%前後に上昇すると、金融支援の受け入れを余儀なくされた。内外で批判が強まっているベルルスコーニ首相は、市場にも追い詰められている。
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