最近弁護士さんの窮状を扱った新聞報道や雑誌の記事等がよく目に付く。
私も,関係者らとの接触の中でそうした認識を持つことがときどきある。
司法試験合格者の急増と民事事件の受理件数の減少により,司法修習を終えながら,勤務先の法律事務所に就職できない法曹たちが4割にも達しているそうである。
驚いたのは,地裁の民事受理事件の約半数が,消費者金融会社に対する過払い利息の返還請求絡みの事件であり,簡裁も同様にその割合が4割強に達するということである。
すでに過払い利息の請求は減少し始めており,これまで任意の返済に応じていた消費者金融の体力も低下し,任意返済の原資が枯渇しつつある。さらに,貸金規正法の改正と相まって,過払い事件そのもののが縮小ないし消滅する可能性が高くなってきている。
そのような状況になったときの弁護士さんたちはどうなってしまうのだろうか。大変な時代の到来が迫りつつある。
これと同じような現象は,小泉政権下において推進された規制緩和の波の下で,タクシー事業の参入自由化が認められ,路上にタクシーがあふれ出して一般の通行にも支障を及ぼし始めたのと軸を同じにする。
規制緩和の大きな流れが日本の隅々に広がり始め,それまでの既得権益的な職種に安住していた人たちの生活を根底から変えようとしている。
参入障壁の崩壊や経済の縮小化により,弁護士だけでなく,公認会計士,税理士,歯科医,大学院を卒業したが大学教員になれない大量のオバードクター等も共通する問題に直面している。
ところで,現在の日本経済は,約40兆円のデフレギャップが存在し,経済の縮小現象が長期間にわたり常態化しつつあるのであって,少なくなる一方のパイの奪い合いが熾烈になっている。
巨大なデフレギャップは,日銀が市場に大量のマネーを供給することにより,インフレとバブルを発生させて解消しようとする意見がある。
しかし,GDPを増加させて名目成長を果たさなければ根本的な解決にはならないはずである。企業の収益力を強化し,勤労者の給料を上げて購買力を増加させなければ,デフレギャップの解消には至らないだろう。
市場に大量のマネーを供給すれば,余剰資金が株や不動産に向かって資産インフレを起こし,それがひいては購買力の増加に結び付くという考え方もひとつの方法かもしれないが,経済成長を恒常化させる経済政策にはなりえないのであって,ひとつ間違えれば,悪性インフレを招くことになる。
では需要を増大させることは可能かということになる。
日本は,高度経済成長を達成し終えた国であり,国民は,衣食住あらゆる面で,一応の満足を得ているのであるから,新しい需要を喚起することはほとんど不可能である。
家電製品にしろ情報機器にしろ,これ以上の機能を付けても,大きな需要の増大にはつながらない。
水道,電気,電化製品,車もろくにない中国やインド等とはスタートラインがまったく異なるのである。
ではどうすればいいのか。
結局,身の丈にあった生活を志向するしかないのだと思う。
この前,水木しげるさんと奥さんのインタビュー番組があったが,そのなかで,インタビュアーから,「みずきさんは漫画家として成功し,ずいぶんお金持ちにもなりましたが,今幸せですか」ということを聞かれていた。
すると水木さんは,「ぜんぜん幸せじゃないよ。好きなぼた餅をたくさん買えるようになったが,食べられるのはせいぜい3個なんだよ。」と言っていた。
本当の幸せが何かなど私にも分からないが,人間の欲望は,なにがしかのバランスの上に立って追及されなければならないのだろう。
しかしそんなことは水木さんのように成功して初めて分かることなのかもしれないが。
食えなくなりつつある弁護士さんの話から始めたが,だいぶ議論が大きくなってしまった。
しかし,需給のアンバランスは必ず修正されなければならないのであって,これまで法律や制度で保護されてきた産業や業種の既得権的な利益はどこかで需給のバランスが取れるまで失われていくだろう。
なお,新しい需要(国民にとって真に必要な法的サービス)の創造について,あまりにも保護され過ぎてきたきらいのある弁護士さんたちからの発信が全くない。
聞こえてくるのは,司法試験合格者を1500人に減少させるべきだなどという後ろ向きの議論だけだ。
私も,関係者らとの接触の中でそうした認識を持つことがときどきある。
司法試験合格者の急増と民事事件の受理件数の減少により,司法修習を終えながら,勤務先の法律事務所に就職できない法曹たちが4割にも達しているそうである。
驚いたのは,地裁の民事受理事件の約半数が,消費者金融会社に対する過払い利息の返還請求絡みの事件であり,簡裁も同様にその割合が4割強に達するということである。
すでに過払い利息の請求は減少し始めており,これまで任意の返済に応じていた消費者金融の体力も低下し,任意返済の原資が枯渇しつつある。さらに,貸金規正法の改正と相まって,過払い事件そのもののが縮小ないし消滅する可能性が高くなってきている。
そのような状況になったときの弁護士さんたちはどうなってしまうのだろうか。大変な時代の到来が迫りつつある。
これと同じような現象は,小泉政権下において推進された規制緩和の波の下で,タクシー事業の参入自由化が認められ,路上にタクシーがあふれ出して一般の通行にも支障を及ぼし始めたのと軸を同じにする。
規制緩和の大きな流れが日本の隅々に広がり始め,それまでの既得権益的な職種に安住していた人たちの生活を根底から変えようとしている。
参入障壁の崩壊や経済の縮小化により,弁護士だけでなく,公認会計士,税理士,歯科医,大学院を卒業したが大学教員になれない大量のオバードクター等も共通する問題に直面している。
ところで,現在の日本経済は,約40兆円のデフレギャップが存在し,経済の縮小現象が長期間にわたり常態化しつつあるのであって,少なくなる一方のパイの奪い合いが熾烈になっている。
巨大なデフレギャップは,日銀が市場に大量のマネーを供給することにより,インフレとバブルを発生させて解消しようとする意見がある。
しかし,GDPを増加させて名目成長を果たさなければ根本的な解決にはならないはずである。企業の収益力を強化し,勤労者の給料を上げて購買力を増加させなければ,デフレギャップの解消には至らないだろう。
市場に大量のマネーを供給すれば,余剰資金が株や不動産に向かって資産インフレを起こし,それがひいては購買力の増加に結び付くという考え方もひとつの方法かもしれないが,経済成長を恒常化させる経済政策にはなりえないのであって,ひとつ間違えれば,悪性インフレを招くことになる。
では需要を増大させることは可能かということになる。
日本は,高度経済成長を達成し終えた国であり,国民は,衣食住あらゆる面で,一応の満足を得ているのであるから,新しい需要を喚起することはほとんど不可能である。
家電製品にしろ情報機器にしろ,これ以上の機能を付けても,大きな需要の増大にはつながらない。
水道,電気,電化製品,車もろくにない中国やインド等とはスタートラインがまったく異なるのである。
ではどうすればいいのか。
結局,身の丈にあった生活を志向するしかないのだと思う。
この前,水木しげるさんと奥さんのインタビュー番組があったが,そのなかで,インタビュアーから,「みずきさんは漫画家として成功し,ずいぶんお金持ちにもなりましたが,今幸せですか」ということを聞かれていた。
すると水木さんは,「ぜんぜん幸せじゃないよ。好きなぼた餅をたくさん買えるようになったが,食べられるのはせいぜい3個なんだよ。」と言っていた。
本当の幸せが何かなど私にも分からないが,人間の欲望は,なにがしかのバランスの上に立って追及されなければならないのだろう。
しかしそんなことは水木さんのように成功して初めて分かることなのかもしれないが。
食えなくなりつつある弁護士さんの話から始めたが,だいぶ議論が大きくなってしまった。
しかし,需給のアンバランスは必ず修正されなければならないのであって,これまで法律や制度で保護されてきた産業や業種の既得権的な利益はどこかで需給のバランスが取れるまで失われていくだろう。
なお,新しい需要(国民にとって真に必要な法的サービス)の創造について,あまりにも保護され過ぎてきたきらいのある弁護士さんたちからの発信が全くない。
聞こえてくるのは,司法試験合格者を1500人に減少させるべきだなどという後ろ向きの議論だけだ。