ゲゲゲの女房は,漫画家水木しげるの夫人武良布枝が著した自伝を原案として,実話を基に作られた現在放送中のNHKの連続テレビ小説です。
松下奈緒演じる主人公の飯田布美枝は,島根県安来市で生まれ,29歳のとき,太平洋戦争で南方に出征し,片腕を失って帰還後,ハンデを持ちながらも東京で漫画雑誌を執筆していた当時39歳の水木しげると結婚し,その後貧乏生活や様々な試練を乗り越えながら,売れっ子の妖怪漫画家として成長していく水木しげるを支え奮闘していくというのがこのドラマです。
布美枝は,幼少のころからおっとりした性格で目立たない子であり,「電信柱」とあだ名がつく長身にコンプレックスを持ちながらも,心優しく,いざとなったときには大胆な行動に出ることもできる大らかな女性でした。
その布美枝の父伝平は,婚期を逸した布美枝に持ち込まれた縁談話にあたり,他の家族らが反対するにもかかわらず水木との縁談話を積極的に勧めるのです。
水木は,戦争で片腕を失ったが,誰にも頼らずまさに腕一本で仕事に取り組む男であり,みてくれがどうのとか,いい学校を出ているのかどうかというよりも,40年,50年連れ添う相手としては水木のような男が良いと言って,水木との結婚を布美枝に勧めるのでした。そして布美枝も父の助言を素直に受け入れて難しい結婚に踏み切ったのです。
布美枝と水木の結婚生活は,もちろん順風満帆とはほど遠く,多くの困難に遭うのですがそれを乗り越えながら一つの夫婦の在り方を形作って行くのですが,ドラマの方は快調にすすんでいます。
なお,水木しげるの「ゲゲゲの鬼太朗」は,確か少年サンデーに連載され,妖怪少年の鬼太朗が,一反木綿に乗って飛びながら,針の髪の毛を発射して悪い妖怪たちを退治してくれるとストーリーでした。
一方の勝間和代は,公認会計士である傍ら,今旬の女性経済評論家として活躍中であり,最近は主に働く女性に向けられた自己啓発関連本を次々に著し,その支持者は「カツマー」と呼ばれています。
勝間は,東京葛飾のテ-プレコーダーのヘッドを製造する町工場の家に4人兄弟の末っ子として生まれ,慶応の付属中・高を経て,慶大商学部を卒業しているのですが,大学在学中に公認会計士試験に合格しています。
2度の離婚を経て,女性としての新しい行き方を追求するその弁舌は切れ味鋭く,最初はとっつきにくい風貌と相まって,ストレートな主張は反発も買ったようですが,内容はなるほどと思わせる部分も多いのです。
柔らかな細髪を肩まで流し,鼻の穴を広げて話す顔には,自ら困難を乗り越えて現在の成功をつかんだ自信のようなものを漂わせています。
「利益の方程式」「インディでいこう!ナチュラル&インディペンデントな生き方実践ガイド」「無理なく続けられる年収10倍アップ勉強法」「起きていることはすべて正しい,運をつかむ勝間式4つの技術」「勝間和代の成功を呼ぶ7つの法則」「断る力」「会社に人生をかけるな」「目立つ力」「勝間和代のお金の学校ーサブプライムに負けない金融リテラシー」「綺麗が勝ち」等タイトルを見ただけで面白そうな本が立て続けに出版されとどまるところがありません。
勝間は,先日行われた女子大生らとのテレビ討論番組で,「結婚に期待しすぎてはいけない。いい結婚生活を続けるためには年収が700万円はある相手を選ぶべきである。経済基盤が脆弱になると愛も冷めて,結婚生活は破綻していく。しかし同世代の男性で年収700万円が確保できる人は14パーセントしかない。恋愛感情の賞味期限は4年間で,その間は脳はハイテンションの状態を維持するが,その後には愛も恋もなくなり離婚が増える。だから結婚の継続は4年がひとつの目処になる。」などと従来からの主張を熱っぽく語っていました。
勝間のリサーチは徹底しているから,言うことには説得力があるのですが,これでは非婚化・晩婚化を助長させるばかりで,少子化に歯止めがかかりません。
好き嫌いもあるかもしれませんが,女性のオピニオンリーダーとしては男性に劣らないパワーと真摯さを持つものの,少し引いてしまう男性も多いのでは。
私の知る限りにおいては,勝間の思い描くサクセスストーリーというものは,どうも彼女流のアイデンティティーをとことん追及していくことであって,アメリカ型の競争社会においてあくまで勝者として生き抜いていこうというものであることに尽きるように思われます。
それは経済合理性を限界まで追求した分析に基づくものであり,彼女がマッキンゼーで経営コンサルタンととして,JPモルガン・チェースで証券アナリストとして勤務した経歴等で培ったものがベースになっているのでしょう。
彼女の著書の中には,過酷な競争社会からの離別を志向するような表現もあるものの,全体をみるとやっぱり形を変えた勝ち組の勝利宣言のように聞こえてしまうのであって,だから批判も結構根強いものがあるのです。
しかし勝間自身も認めているように,彼女の私生活は必ずしも順調だったとはいえなかったようです。大学在学中の21歳で出産し,3女の母親であるが,2回の結婚を失敗し,長女は最初の父親の元で暮らしているのであって,普通に幸せな家族を築くことはできなかったと自身の著書の中で紹介しています。
女性の幸福は,良い家庭を持つことなのかそれとも男と同様に仕事で成功を収めることなのかという2者択一型の「そもそも論」があるのですが,布美枝と勝間のそれぞれの生き方を比べて見ると,まさにこの議論に行き着いてしまいます。
勝間は,人生を戦略的に生きようと提案しますが,彼女も含め誰も計算どおりに行かないのが人生であり,またそもそも戦略を立てる前に,とにかく目も前の問題を解決して生きていかなければならないのが普通に生きる多くの人間なのです。
香山リカも,「しがみつかに生き方」や普通の幸せを手に入れることの大切さを説き,勝間和代の生き方は無理を強いると言って批判しています。
島根の片田舎にある商家に生まれ,片腕の漫画家水木茂の妻となった古風な布美枝の生き方と,町工場の娘に生まれて,自分の才能と努力で社会的な成功を収めた自己啓発型の勝間和代の生き方,さてどちらが素敵だといえるのでしょうか。
松下奈緒演じる主人公の飯田布美枝は,島根県安来市で生まれ,29歳のとき,太平洋戦争で南方に出征し,片腕を失って帰還後,ハンデを持ちながらも東京で漫画雑誌を執筆していた当時39歳の水木しげると結婚し,その後貧乏生活や様々な試練を乗り越えながら,売れっ子の妖怪漫画家として成長していく水木しげるを支え奮闘していくというのがこのドラマです。
布美枝は,幼少のころからおっとりした性格で目立たない子であり,「電信柱」とあだ名がつく長身にコンプレックスを持ちながらも,心優しく,いざとなったときには大胆な行動に出ることもできる大らかな女性でした。
その布美枝の父伝平は,婚期を逸した布美枝に持ち込まれた縁談話にあたり,他の家族らが反対するにもかかわらず水木との縁談話を積極的に勧めるのです。
水木は,戦争で片腕を失ったが,誰にも頼らずまさに腕一本で仕事に取り組む男であり,みてくれがどうのとか,いい学校を出ているのかどうかというよりも,40年,50年連れ添う相手としては水木のような男が良いと言って,水木との結婚を布美枝に勧めるのでした。そして布美枝も父の助言を素直に受け入れて難しい結婚に踏み切ったのです。
布美枝と水木の結婚生活は,もちろん順風満帆とはほど遠く,多くの困難に遭うのですがそれを乗り越えながら一つの夫婦の在り方を形作って行くのですが,ドラマの方は快調にすすんでいます。
なお,水木しげるの「ゲゲゲの鬼太朗」は,確か少年サンデーに連載され,妖怪少年の鬼太朗が,一反木綿に乗って飛びながら,針の髪の毛を発射して悪い妖怪たちを退治してくれるとストーリーでした。
一方の勝間和代は,公認会計士である傍ら,今旬の女性経済評論家として活躍中であり,最近は主に働く女性に向けられた自己啓発関連本を次々に著し,その支持者は「カツマー」と呼ばれています。
勝間は,東京葛飾のテ-プレコーダーのヘッドを製造する町工場の家に4人兄弟の末っ子として生まれ,慶応の付属中・高を経て,慶大商学部を卒業しているのですが,大学在学中に公認会計士試験に合格しています。
2度の離婚を経て,女性としての新しい行き方を追求するその弁舌は切れ味鋭く,最初はとっつきにくい風貌と相まって,ストレートな主張は反発も買ったようですが,内容はなるほどと思わせる部分も多いのです。
柔らかな細髪を肩まで流し,鼻の穴を広げて話す顔には,自ら困難を乗り越えて現在の成功をつかんだ自信のようなものを漂わせています。
「利益の方程式」「インディでいこう!ナチュラル&インディペンデントな生き方実践ガイド」「無理なく続けられる年収10倍アップ勉強法」「起きていることはすべて正しい,運をつかむ勝間式4つの技術」「勝間和代の成功を呼ぶ7つの法則」「断る力」「会社に人生をかけるな」「目立つ力」「勝間和代のお金の学校ーサブプライムに負けない金融リテラシー」「綺麗が勝ち」等タイトルを見ただけで面白そうな本が立て続けに出版されとどまるところがありません。
勝間は,先日行われた女子大生らとのテレビ討論番組で,「結婚に期待しすぎてはいけない。いい結婚生活を続けるためには年収が700万円はある相手を選ぶべきである。経済基盤が脆弱になると愛も冷めて,結婚生活は破綻していく。しかし同世代の男性で年収700万円が確保できる人は14パーセントしかない。恋愛感情の賞味期限は4年間で,その間は脳はハイテンションの状態を維持するが,その後には愛も恋もなくなり離婚が増える。だから結婚の継続は4年がひとつの目処になる。」などと従来からの主張を熱っぽく語っていました。
勝間のリサーチは徹底しているから,言うことには説得力があるのですが,これでは非婚化・晩婚化を助長させるばかりで,少子化に歯止めがかかりません。
好き嫌いもあるかもしれませんが,女性のオピニオンリーダーとしては男性に劣らないパワーと真摯さを持つものの,少し引いてしまう男性も多いのでは。
私の知る限りにおいては,勝間の思い描くサクセスストーリーというものは,どうも彼女流のアイデンティティーをとことん追及していくことであって,アメリカ型の競争社会においてあくまで勝者として生き抜いていこうというものであることに尽きるように思われます。
それは経済合理性を限界まで追求した分析に基づくものであり,彼女がマッキンゼーで経営コンサルタンととして,JPモルガン・チェースで証券アナリストとして勤務した経歴等で培ったものがベースになっているのでしょう。
彼女の著書の中には,過酷な競争社会からの離別を志向するような表現もあるものの,全体をみるとやっぱり形を変えた勝ち組の勝利宣言のように聞こえてしまうのであって,だから批判も結構根強いものがあるのです。
しかし勝間自身も認めているように,彼女の私生活は必ずしも順調だったとはいえなかったようです。大学在学中の21歳で出産し,3女の母親であるが,2回の結婚を失敗し,長女は最初の父親の元で暮らしているのであって,普通に幸せな家族を築くことはできなかったと自身の著書の中で紹介しています。
女性の幸福は,良い家庭を持つことなのかそれとも男と同様に仕事で成功を収めることなのかという2者択一型の「そもそも論」があるのですが,布美枝と勝間のそれぞれの生き方を比べて見ると,まさにこの議論に行き着いてしまいます。
勝間は,人生を戦略的に生きようと提案しますが,彼女も含め誰も計算どおりに行かないのが人生であり,またそもそも戦略を立てる前に,とにかく目も前の問題を解決して生きていかなければならないのが普通に生きる多くの人間なのです。
香山リカも,「しがみつかに生き方」や普通の幸せを手に入れることの大切さを説き,勝間和代の生き方は無理を強いると言って批判しています。
島根の片田舎にある商家に生まれ,片腕の漫画家水木茂の妻となった古風な布美枝の生き方と,町工場の娘に生まれて,自分の才能と努力で社会的な成功を収めた自己啓発型の勝間和代の生き方,さてどちらが素敵だといえるのでしょうか。