昼下がりの午後珈琲を飲んでいると、若いカップルの男女が公証役場にやって来た。
男は無精髭をはやしているがスーツを着せて決めればそれなりのイケメン。
一方女は赤ちゃんを抱きながら夫の浮気に怒り心頭の可愛い若妻。
生々しい浮気の事実関係が書かれた文書を持参してしていた。
離婚に伴う養育費や慰謝料の給付義務を定める公正証書の作成依頼かなと思って
話を聞いていくがどうも筋が違ってきた。
なお夫には前妻との間に設けた長男とその後の妻との間に設けた男女3人の幼子がいた。
妻の話によれば、今のところ夫との離婚までは考えていないが、
今度また夫が浮気をしたらその時は離婚して慰謝料を500万円、
自分との間にできた3人の子供の養育費を一人当たり月5万円払ってもらう
旨の公正証書の作成をしてほしいというものでした(夫も了解済み)。
しかし夫婦間の契約は婚姻期間中はいつでも取り消しできる(民法754条)ので、そ
のような慰謝料等の給付義務を定める公正証書の作成は意味がないですよとお答えした。
また離婚という前提事実が存在してはじめて慰謝料や養育費の請求が可能となるのであり、
離婚の成立が将来の不確定な浮気という事実にかからせる給付条項に
強制執行力を持たせるのも難しいことなのです。
婚姻が継続している以上、法律は家族間の問題には干渉しないのが原則です。
それでは交際中の相手が浮気したら慰謝料を払わせるという契約は有効でしょうか。
そういう契約は面白くて社会的な需要はありそうですが、答えは無効です。
独身だから恋愛の自由があり誰と付き合おうが勝手なので、
このような自由(ひろく言えば自己決定権ないしプライバシー権)を
拘束する契約は公序良俗に反し無効(民法90条)となります。
もっとも2人が婚約段階に達していれば、婚姻中の浮気は婚約破棄に繋がる
婚姻予約契約の不履行ととらえることができるので、債務不履行責任ないし
損害賠償責任の追及が可能になるでしょう。
このように最近、離婚給付契約公正証書の作成依頼はマグマが噴き出すように
増えています。
夢見て結婚したが、現実は厳しい。シングルマザーとなれば本人も子供も苦しみ
酷い格差の温床にもなる。また再婚は難しく再婚したとしても更なる困難を招く危険がある。
じゃどうしたらいいの。
答えなんかありませんが、世間体を振り払った生き方を通すことも求められる
ような気がします。
どうも結婚という制度自体が制度疲労を起こし基礎から揺らいでいるのではないかと
ふと感じてしまうのです。しかし、それを法制化(事実婚の立法化、離婚制度の修正等)
するにはさらなる社会的事実(立法事実)の積み重ねと、それに伴う意識の改革が
必要なのは言うを待ちません。
今回は、僕から説得すると、2人はもう一度がんばって見ますと言いながら
公証役場を後にした。
なお、以上に述べた事実は全てフィクションですのでよろしく願いします。
男は無精髭をはやしているがスーツを着せて決めればそれなりのイケメン。
一方女は赤ちゃんを抱きながら夫の浮気に怒り心頭の可愛い若妻。
生々しい浮気の事実関係が書かれた文書を持参してしていた。
離婚に伴う養育費や慰謝料の給付義務を定める公正証書の作成依頼かなと思って
話を聞いていくがどうも筋が違ってきた。
なお夫には前妻との間に設けた長男とその後の妻との間に設けた男女3人の幼子がいた。
妻の話によれば、今のところ夫との離婚までは考えていないが、
今度また夫が浮気をしたらその時は離婚して慰謝料を500万円、
自分との間にできた3人の子供の養育費を一人当たり月5万円払ってもらう
旨の公正証書の作成をしてほしいというものでした(夫も了解済み)。
しかし夫婦間の契約は婚姻期間中はいつでも取り消しできる(民法754条)ので、そ
のような慰謝料等の給付義務を定める公正証書の作成は意味がないですよとお答えした。
また離婚という前提事実が存在してはじめて慰謝料や養育費の請求が可能となるのであり、
離婚の成立が将来の不確定な浮気という事実にかからせる給付条項に
強制執行力を持たせるのも難しいことなのです。
婚姻が継続している以上、法律は家族間の問題には干渉しないのが原則です。
それでは交際中の相手が浮気したら慰謝料を払わせるという契約は有効でしょうか。
そういう契約は面白くて社会的な需要はありそうですが、答えは無効です。
独身だから恋愛の自由があり誰と付き合おうが勝手なので、
このような自由(ひろく言えば自己決定権ないしプライバシー権)を
拘束する契約は公序良俗に反し無効(民法90条)となります。
もっとも2人が婚約段階に達していれば、婚姻中の浮気は婚約破棄に繋がる
婚姻予約契約の不履行ととらえることができるので、債務不履行責任ないし
損害賠償責任の追及が可能になるでしょう。
このように最近、離婚給付契約公正証書の作成依頼はマグマが噴き出すように
増えています。
夢見て結婚したが、現実は厳しい。シングルマザーとなれば本人も子供も苦しみ
酷い格差の温床にもなる。また再婚は難しく再婚したとしても更なる困難を招く危険がある。
じゃどうしたらいいの。
答えなんかありませんが、世間体を振り払った生き方を通すことも求められる
ような気がします。
どうも結婚という制度自体が制度疲労を起こし基礎から揺らいでいるのではないかと
ふと感じてしまうのです。しかし、それを法制化(事実婚の立法化、離婚制度の修正等)
するにはさらなる社会的事実(立法事実)の積み重ねと、それに伴う意識の改革が
必要なのは言うを待ちません。
今回は、僕から説得すると、2人はもう一度がんばって見ますと言いながら
公証役場を後にした。
なお、以上に述べた事実は全てフィクションですのでよろしく願いします。