振り返ってみても、死の意味を考えることなどほとんどありませんでした。
先日、ベッドの上で、Kは、最後の力を振り絞って僕を迎えてくれました。その数日後、全身に広がった癌の痛みに耐えながら静かに息をひきっとったのです。
苦しみに悶えている人の姿は誰も見ていられません。でも、そのとき、その人はどんな生き方をしてきたかの意味をよく考えていたのかもしれません。
死期が迫っていて、それが避けられないことが、前提にあるのだったら、最後に残るのは、どういう風に死んでいくかというエンディングの選択だけなのです。
これまで生きてきた歴史をどうやって閉じるか位は、他人が干渉するべきではないのですから。
意識が薄れていく、声が出せない、水も飲めない、目の前にいる人が誰かもわからない。
そのような状況の中で交わす微かな言葉から受け取ることができるものが、「自尊心」のようなものだったと思いました。
「死」なんて茫洋とした世界にたった一人残されて、枯れていく草木と同じように土に帰っていくだけのことなのですから、最後のわがまま位は許してあげてください。
そばにいるのは、「延命」を願う肉親や関係者だけなのかもしれませんが、どのような思いでそこに彼らがいるのかなど考えずに、少しでも自分の死に方にこだわりをもたせやるのが、死者にとって一番うれしいことなのでしょう。
やっぱり大切なのは、何を信じて、どんな人生を送ってきたのかであり、それが死と最後に結びついて一つの物語の完結となるのです。
俯いたまま涙するだけなのか、誰を見つめてきたのか、もう涙も枯れた頬にも窓からの風が吹いていました。
先日、ベッドの上で、Kは、最後の力を振り絞って僕を迎えてくれました。その数日後、全身に広がった癌の痛みに耐えながら静かに息をひきっとったのです。
苦しみに悶えている人の姿は誰も見ていられません。でも、そのとき、その人はどんな生き方をしてきたかの意味をよく考えていたのかもしれません。
死期が迫っていて、それが避けられないことが、前提にあるのだったら、最後に残るのは、どういう風に死んでいくかというエンディングの選択だけなのです。
これまで生きてきた歴史をどうやって閉じるか位は、他人が干渉するべきではないのですから。
意識が薄れていく、声が出せない、水も飲めない、目の前にいる人が誰かもわからない。
そのような状況の中で交わす微かな言葉から受け取ることができるものが、「自尊心」のようなものだったと思いました。
「死」なんて茫洋とした世界にたった一人残されて、枯れていく草木と同じように土に帰っていくだけのことなのですから、最後のわがまま位は許してあげてください。
そばにいるのは、「延命」を願う肉親や関係者だけなのかもしれませんが、どのような思いでそこに彼らがいるのかなど考えずに、少しでも自分の死に方にこだわりをもたせやるのが、死者にとって一番うれしいことなのでしょう。
やっぱり大切なのは、何を信じて、どんな人生を送ってきたのかであり、それが死と最後に結びついて一つの物語の完結となるのです。
俯いたまま涙するだけなのか、誰を見つめてきたのか、もう涙も枯れた頬にも窓からの風が吹いていました。