ひからびん通信

日頃思ったことなどについてコメントします。

夕映えと同じ悲劇の色だね

2013年10月23日 | 物語
惜しみなく夢のシャワーが煌めく

でも、覚めていたのは僕たちだけだったね

都会の森に猥雑な夏が帰ってくる

僕たちが知り合って、一緒に歩んできた果て無き道は

出口のない迷路の方がよかったのかもしれない

窓から見える景色はどこまでも続く

幾千の屍が列をなして僕たちを見つめ返す

「そばに居てください」と君は囁くけど

もう道は分かれている

コンクリートの雑踏で待ち合わせたのは何時のことだったか

僕は僕を嫌い、君は君を遠ざけたから

早く街の夜陰に帰ろう

億光年の優しさがウィンドウに映ると

破られた約束もすぐに忘れることができる

そして僕たちは、もう一度、震え合って抱き合う

ブリッジの上で見上げた空に虚しさも消えていき

君は僕のバックを下げて素直な気持ちになって何を見る

海岸線に涙の雫が飛び散る

もっとスピードを上げなければ

沖に流される君を見失う

僕たちはいつまでも瞼を閉じ、嘘を裏返して尽きる

旅立ちの夕映えと同じ悲劇の色に染まるように