アボルダージュ!!

文芸及び歴史同好会「碧い馬同人会」主宰で歴史作家・エッセイストの萩尾農が日々の思いや出来事を語ります。

やっと、春?のはずだけど・・          萩尾農

2012-04-07 | その他


例年よりも寒かった冬が終わったのかな?
梅は例年よりも3週間も遅れたが、3月なのに、寒風が吹いた中で咲いたし、木によってはまだ梅の花が残っている間に、とにかく、桜が開花した。
都心は満開、武蔵野地区も半分以上の蕾が開花していた。
我が家の庭に桜はないけれど、見事な雪柳がある。
随分前に、幹(といえるのか)も1㎝ほど、高さなどは20㎝あるかどうか・・という雪柳を購入して植えた。ひどく弱弱しかった。
ところが、雪柳は見かけによらず、実は強い植物で、種がこぼれたところからはかなりの確率で芽が出て、翌年には花を咲かせた。
そうして、現在の我が家の雪柳は画像の通り。
桜の開花で「春がきた」と思う人々が多いけれど、私は、我が家の雪柳の開花で春を自覚(?)する。
半月ほど前は殆ど、枝だけに見えていた。よ~くみると、ポチポチと満遍なく蕾がついていたけど・・。
1週間前に二つ三つ開花して、
「春が来るなぁ、今年は遅かった」
と、思っている間に、次々と咲き始めた。
朝見て、夕方みるーという短い時間の間でも、花の数は増えて、
「春が遠い…と思っていたけれど」
と、朝だけでなく、氷点下の気温の日もあった今年の長くて寒い冬をちょっと、振り向いて、
「春は来るとなったら、一気に押し寄せてくるなぁ」
と、季節(自然)の偉大さに、敬意を払ってしまった(笑)

そう、自然は偉大で力強いものだ。
新聞のコラムに、僧侶の人が書いていたが、普段は優しく人を包んでいる自然は時に牙をむくーと。
それが、昨年の大震災だった。
続く、人災ともいえる原発事故―。
科学が自然の力を抑え込むことができると過信した一部の人々の大きな過ちだ。
憤りを抑えきれない事実が次々と露わになった。
そして、日本のこれまでの原発政策も安全対策も、「科学」とはいえないシロモノだったことがよくわかった。
あまりにも、ずさんだった安全管理、それ以上に、利権追求の欲望の凄まじさ、そして、再稼働への結論を生みたいだけとしか思えない政府と電力会社の対応。
政府は「再稼働にむけた事業者(電力会社)任せでの新基準」である「新しい安全基準」を正式に決定した…とか。
「容認できるわけがない、この国の主権者である国民が…。」
と、思ったのだけど、大和民族というのは、そんなにも諦めの早い種族だったのかなぁ、おとなしすぎるよ、国民!
福島の子供たちの中には甲状腺にしこりができた子もいると聞いた。
そういう状況下、福島原発の事故が収束していない現在、原発を再稼働しようとする、その姿勢が理解できない。
政府は昨年末、収束宣言をしたけど、逆に国際社会に不信を招いた。これらを首相はじめ閣僚は理解できない。
同じ「理解できない」でも、中身は相当違う。
「資源の少ない我が国で、原発を再稼働させなければ、経済の発展はない」―そんな考えを持っているような首相や閣僚たち。
でも、私たちは、もう世界の経済大国などでなくてもよい。世界で何位・・・云々より、つつましくても国民一人一人が安全で安心に暮らせる祖国であればよいーと私などは思うけれど…、どうなんだろう、他の人々の考えは…。
5月5日には現在稼働しているただ一基の北海道の原発も定期点検でとまり、稼働〇になるという。
全部止まっていれば安心だ―と勘違いしそうだが、あの中には核燃料が入っている。冷温停止していても、大災害が原発の建屋を襲い、倒壊したら、放射性物質は飛び散る。その事を忘れてはならない。
また、水蒸気爆発を防ぐために行う核容器内のベント時(排気)に放射性物質を取り除くフィルターは殆どの原発で設置されていなかったという事実。震災以来、各電力会社に要請したが、現在でも取り付けられていない原発が多いという現状。その設置などの重要対策も先送りを決め、その期限は電力会社任せ―そんな決定をした首相と閣僚。私たちは、そういう国に住んでいる。
それが、私たちの祖国だ。
本当の意味での祖国は政府には作れない事を改めて知った、この一年だった。

それでも、春は来た。
何があろうと、自然は芽ぶき、この季節ほど、自然の力の強さを知る時期はない。
この力強さが国民の一人ずつに確実に齎されていればいいな―と、我が家の力強い雪柳をみながら、ふいと思った。