ふりかえれば、フランス。

かつて住んでいたフランス。日本とは似ても似つかぬ国ですが、この国を鏡に日本を見ると、あら不思議、いろいろと見えてきます。

DSK事件に新たな展開が・・・ぜひとも、映画化を!

2011-11-29 21:22:38 | 政治
先週末、“The New York Review of Books”という隔週刊の雑誌に、あるアメリカ人ジャーナリストの文章が掲載されました。そこで扱われているのは、DSK事件・・・IMF専務理事のポストも、そして有力視されていた大統領の椅子もふいにした、あの性的暴行事件です。DSK自身、モラルに反したことは認めているものの、陰謀説がなかなか消えません。

そこへ、新たな一石を投じたのが、このアメリカ人ジャーナリストによる記事です。事件の経過を追って、かなり詳細に紹介しています。フランスで伝えているのは、25日の『ル・モンド』(電子版)・・・

ニューヨーク・ソフィテルで起きた事件は、すべてが明らかになったと言うには程遠い状況だ。5月14日に客室係から性的暴行で訴えられたドミンク・ストロス=カン(Dominique Strauss-Kahn:DSK)は刑事訴追を免れた後、モラル上の過ちを認めている。しかし、事件はすべてが解明されたわけではない。新たな闇に隠された部分が、エドワード・エプスタイン(Edward Epstein)の長い記事によって明るみに出された。

DSKが失い、まだ見つかっていない携帯電話“BlackBerry”に何が起きたのだろうか。盗聴されていたのだろうか。DSKが宿泊した部屋と同じフロアにあり、訴え出た客室係、ナフィサト・ディアロ(Nafissatou Diallo)がDSKと会う前、そして後に数度出入りしていた2820号室では、何が起きていたのだろうか。アメリカ人ジャーナリスト、エプスタインはホテルの防犯カメラがとらえた映像を見た上で、5月14日に起きた出来事を分単位で再現している。

・朝早く
DSKは持っている携帯の一つBlackBerryに重大な問題があることを知らされた。個人的メールや仕事上のメールをやり取りしているこの携帯がどうも盗み見られていたようなのだ。与党・UMP(国民運動連合)のパリ本部で文書係として働いているDSKの女友達の一人が、「DSKがBlackBerryで妻のアン・サンクレール(Anne Sinclair)に送った個人的メールの少なくとも一通がUMP本部で読まれていた」とメールで知らせて来たのだ。

・10時07分
心配になったDSKは問題のBlackBerryでさっそく妻に電話をした。6分とかからなかった会話の中で、重大な問題に直面していることを知らせるとともに、ステファン・フック(Stéphane Fouks)と連絡を取るよう頼んだ。フックは広告会社ユーロRSCGの会長で、2012年の大統領選へ向けて、DSKのコミュニケーション戦略を4年前から担当していた。DSKは妻への電話で、自分がパリへ戻ったらすぐに専門家にBlackBerryとiPadを調べてもらえるように手はずを整えておくよう、フックに依頼してほしいと伝えた。

・12時06分~07分
ソフィテルで客室係として3年前から働いているナフィサト・ディアロが、DSKが宿泊しているスイート・ルームに入った。その時、DSKの証言によれば、個人的持ち物が部屋に入ってすぐのところに見える状態で置かれていた。「通常、客が部屋にいるのに客室係が入室するようなことはない」とエプスタインは語っている。

その直後の6~7分で、何が起こったのだろうか。エプスタインは、大急ぎの性的関係というニューヨーク検察の報告を思い出すにとどめる。12時13分、DSKは昼食を一緒に取ることにしていた娘のカミーユ(Camille)に電話をして、遅れるかもしれないと伝えた。

・12時26分
ナフィサト・ディアロはDSKの部屋と同じフロアにある2820号室に入った。エプスタインによれば、彼女はすでに午前中に数回、この部屋に入っていた。「ディアロがDSKと会う前や後に、彼女以外にこの部屋に誰かいたのだろうか。もしいたとすれば、それは誰で、そこで何をしていたのだろう。そして一体全体、彼女はこの2820号室に入ったことをなぜ否定したのだろう」と、エプスタインは自問する。この件についてDSKの弁護団に尋ねられたソフィテルを経営するアコー・グループ(Accor)は答えを拒んでいる。

・12時28分
DSKはホテルを後にして、タクシーで6番街にあるレストラン“McCormick & Schmick’s”へ向かった。レストランの監視カメラには、30分ほどしてDSKが到着した映像が映っている。

・12時51分
BlackBerryの運営会社の記録によれば、この時間にDSKのBlackBerryが繋がらない状態になり、GPS機能も作動しなくなった。「もし事故の可能性を排除すれば、携帯をこのように繋がらない状態にするには、BlackBerryの機能や技術に関するかなりの知識が必要だと専門家が言っている」とエプスタインは説明する。

・12時52分
ナフィサト・ディアロはホテルのセキュリティ担当者に会って状況を話している。

・13時03分
アコー・グループのセキュリティ部長であるというジョン・シーハン(John Sheehan)が、ソフィテルからの電話を受けた。ホテル従業員へのサポートを依頼され、彼はホテルへと向かったが、その途中、車の中から少なくとも一度、電話を掛けている。誰に、そしてなぜ・・・だが、それを知ることは不可能だ。エプスタインは次のように記すにとどめている。「アコー・グループのセキュリティ担当のトップ、つまりシーハンの上司にあたるのはルネ=ジョルジュ・ケリー(René-Georges Querry)であり、ケリーはかつて警察のギャング対策チームのメンバーであった。そこでアンジュ・マンシーニ(Ange Mancine)と一緒に働いていたのだが、そのマンシーニは、今、サルコジ大統領の情報コーディネーターの職にある。」

・13時33分
ソフィテルのエンジニア、ブライアン・イヤウッド(Brian Yearwood)と名前は分からないが、ナフィサト・ディアロをセキュリティの部署へ連れていったもう一人の男、この二人はディアロとその周囲にいる人たちからこっそり遠ざかった。そして人々の視界から外れると、二人はハイタッチをし、お祭りのような激しいダンスを3分ほど踊った。二人はなぜ、このような喜びを表す行動を取ったのだろうか。しかし、ホテルの監視カメラに録画された映像を見たエプスタインは、一切の仮定を慎んでいる。

・14時05分
二人の警官がソフィテルに到着した。

・14時15分
DSKは空港へと向かうタクシーの中で、パリで専門家に見てもらおうと思っていたBlackBerryが見当たらないことに気づいた。もう一台の別の携帯で、DSKは娘に連絡を取り、レストランに引き返し携帯が置き忘れられていないかチェックするよう頼んだ。娘のカミーユは14時28分、父のDSKにBlackBerryが見つからなかったことを伝えるメールを送った。15時01分、DSKはタクシーの中で手にしていた携帯からBlackBerryにコネクトしようとしたが、できなかった。その30分後、DSKはついにソフィテルに電話をして、宿泊した2806号室にどうも携帯を忘れてきたようだと伝えた。

・15時42分
ソフィテルのある従業員がDSKに電話をした。彼は警官の前で電話したのであり、DSKに携帯が見つかったと「誤って」伝えた。そして携帯を届けると告げた。DSKはエール・フランスのターミナル、4番搭乗口に駐機している23便にいると答えた。

・16時45分
警察はパリへ向かうことになっているエール・フランスの機内でDSKを逮捕した。件のBlackBerryは未だに見つかっておらず、メールが盗み見られたという疑いは専門家の分析による確認がなされていない。

・・・ということで、状況からは、いろいろな推測ができそうです。陰謀だったのか、もしそうだとすれば、陰にいるのは誰なのか。陰謀でないなら、DSKの携帯BlackBerryはどこへ消えたのか。客室係は、スイート・ルーム・フロアの別の部屋へ、なぜ出入りしていたのか。わずか6~7分で、性的暴行が可能なのか。

はたして、真相は解明されることになるのでしょうか。政界に良くある、真相はやぶの中、で終わってしまうのでしょうか。推測の域を出ない情報も多いのかもしれませんが、映画化したら、さぞや面白いだろうとういう、状況になってきつつあるようです。
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